2020年12月31日木曜日

NJM317電圧計付き可変直流電圧源 出力ノイズ測定

デジタル電圧計のDER EE DE-2645で電圧を表示させているので、出力にどれぐらいノイズが乗っているか測定しました。


出力電圧を3.3V/5V/12Vに設定してオシロをAC結合して負荷抵抗の両端の電圧を測定しました。

負荷抵抗は100Ωの酸金を2本並列にしたものです。

電源オフ

3.3V

5.0V

9.0V

12.0V

デジタル電圧計を動作させていてもほとんどノイズは乗らないようです。DE-2645はなかなか優秀ですね。

メモ

デジタル電圧計をOFFにした場合のノイズも測定したほうがよさそうです。

2020年12月27日日曜日

バイアスを掛けられるCVアンプの製作

かんたんなものですが、CV信号にバイアスをかけられる増幅器を作りました。




Arduinoを使ったエンベロープ・ジェネレーター(Arduino_EG)を使っているのですが、出力波形がGNDまで下がりきらないという問題があります。

Arduino_EG シミュレーション回路

Arduino_EG 出力波形

回路図の「Gate」がGNDレベルになることによりC1から電荷を抜き、出力するCV信号の電圧を下げますが、D2の順方向電圧(≒0.6V)があるため出力が完全にはGNDレベルに落ちません。

EGから出力されるCV信号は、主にVCAに入力して振幅をコントロールしますが、CVがGNDに落ちていないと音が切れません。GATE信号を区切ってやって「ピュンッ・ピュンッ・ピュンッ」としたいところが「ピューピューピュー」という感じになってしまいます。休符中も音が鳴り続けます。

バイアスを掛けてやって出力をマイナス側に振れば解決するのですが、Arduino_EGは単電源で動作させているため単体では少し難しかったのです。

今回±12V電源を使えるEurorackモジュールとして製作しました。

回路図
基板図

非反転加算回路ですので、入力抵抗(R1, R2)の値が小さい方が利得が大きくなります。

この回路の場合、利得-∞~10dB、バイアス-2.5V~+2.5V程度になります。

動作のようす


波形の底をGNDまで下げる

CH1:IN CH2:OUT

バイアスをマイナス側最大

CH1:IN CH2:OUT

-2.5V程度バイアスが掛かっています。マイナス側に振りすぎると回路によっては(マイコンの入力端子など)危険なので注意して使う必要があります。

本来はVCAなどCV信号を受ける回路でバイアスを調整できるようにしたほうが良いと思います。

2020年12月23日水曜日

SawVCO(アナログVCO)とNucleo-DCO(デジタルVCO)の出力波形の比較

VCOとして使っているNucleo-DCOと今回製作したSawVCOの出力波形を比較しました。

Nucleo-DCOの筐体

ホコリ被っていますw

Nucleo-DCOの主な仕様は、
  • Nucleo F767ZIベース
  • 内蔵12bitDACより出力
  • サンプリングレート62.5kHz
  • 6次ベッセル特性VCVS LPF(fc=20kHz)
ノコギリ波@110Hz(A1)を出力し、Behringer UMC404HD(32bit/192kHz)に入力してWaveSpectraでFFTしました。

SawVCO

Nucleo-DCO

Nucleo-DCO LPFなし

スペクトラムを比較するとアナログVCOのSawVCOの綺麗さがひときわ目立ちます。帯域が高周波数まですっと伸びており、倍音の間の谷の部分が30dB程低くなっています。

SawVCOとNucleo-DCOでは、同じノコギリ波でもVCFやVCAを通すと質感が異なりますがこの周波数特性が影響しているのだろうと思います。正直ここまで違うとは思っていませんでした。
 

2020年12月20日日曜日

SawVCO、Antilog-NPNO ユーロラックにマウント

調律(V/Oct)がうまくいかないままですが、SawVCOとAntilog-NPNOをERK01にマウントしました。



音出ししてみると、音源が単一であれば音程が狂っていてもそれなりに聴こえます。VCOとしてデジタル音源のNucleo-DCOを使っていましたが、アナログ音源のSawVCOにすげ替えると質感が異なることがわかりました。1VCOでも低音域では野太い音がします。音程の問題はまだ残っていますが、Moogっぽいベース音源として使えそうです。

ラック・マウント用パネル

SawVCO、Antilog-NPNOともHP6(横幅30mm)で加工しました。いつもより薄型です。

出力波形

パネル上のFine/Coarseつまみで周波数を調整できます。CV=1Vとして約55Hz(A0)になるようにつまみを調節して測定しました。


LinFMにサイン波を入力して周波数変調しました。変調波が基本はより低周波数の場合、変調波の電圧に対して基本波の間隔が伸び縮みし、周波数が変調されているのがわかります。

変調波=100Hz

変調波=10Hz

基板上の部品配置


ラックにマウントするとV/Octのスケールを設定する多回転トリムが回しにくい位置にあります。横型の多回転トリムにしてもう少し後ろ側に移動すればマウントした状態でも調整できそうです。

テスト実装のためQIピンを使いましたが、背が高くキツキツです。右隣のTLF01の基板で使ってるJST/XHコネクタは圧着が少しむずかしいですが、コンパクトで背も低くて便利です。普通のピンソケットやQIピンのメスも挿せるのでよく使っています。

基板間配線用の端子は横型(L字)にしてラックに対して後ろ側にまとめれば、すっきりと配線できそうです。
 

2020年12月12日土曜日

NJM317電圧計付き可変直流電圧源の製作

秋月の「NJM317使用可変安定化電源キット」を使って可変直流電圧源を製作しました。



部品表

安定化電源 秋月 AE-KIT45-317
デジタル電圧計 DER EE DE-2645
ケース タカチ SW-100S
可変抵抗 - 2kΩ/B
可変抵抗 - 100Ω/B
トグルスイッチ - SPDT

もとの電源は18650を4本直列にしています。18650はフル充電でだいたい4V程度ですので、合計16V、安定化後14V程度までは出力できます。ACアダプタも使えますが、バッテリー駆動のほうが小回りが利いて便利だと思います。

ケース加工

プラケースでも四角い穴をあけるのは大変ですが、仕上げが多少雑でも電圧計をはめてしまえばわかりません。

ケース背面(ヒートシンク側)には通気孔をあけています。(効果はわかりませんが)


内部配線

ケースはタカチSW-100がジャストサイズだと思います。

キットでは半固定抵抗を実装するようになっているところに、2kΩ/Bと100Ω/Bのパネル取り付けタイプの抵抗を直列に接続しています。2kΩで「粗」100Ωで「精」で出力電圧の調節ができます。普及品を使ってますが、分解能が良くないので、0.01V単位の調節は少しつらいかも?使いやすさを追求するなら小径の通信機用を使ったほうがいいかもしれません。

発熱


100Ω/3Wの酸金を2本並列にしたもの(50Ω)を負荷として、5V出力時のNJM317の表面温度を測定しました。5V/50Ω=100mAの出力で、抵抗1本当たりの消費電力は(5V×5V)/100Ω=0.25Wです。

10分ほど通電してNJM317の表面温度は50℃程度でした。

2020年12月10日木曜日

SawVCOとAntilog-NPNO PCB版を結合

プリント基板で製作したSawVCOとAntilog-NPNOを結合しました。


この回路はAnalog2.0を元に実験させていただいております。



テスト接続図

SawVCO 回路図

Antilog-NPNO 回路図

Antilog-NPNOの仕様を決めるときCVを直に入力する系統を忘れていて、テストではModulationに入力し、Mod_Level(POT)を最大にして測定しました。

V/Octですので1V毎に出力波形(ノコギリ波)の周波数が1オクターブ変化します。入力電圧対出力周波数の割り当ては以下のようにしました。

入力電圧 出力周波数 音階
0V 55Hz A0
1V 110Hz A1
2V 220Hz A2
3V 440Hz A3
4V 880Hz A4
5V 1,760Hz A5

まず基準となる周波数を2V→220HzとしてAntilog-NPNOのRV3(Input_Adj)でバイアス値を調整、その後入力電圧を変化させて出力周波数が音階に合うように、Antilog-NPNOのRV4(Amplitude)を調整しました。

しかし実際にやってみると、この調整は非常に難しいです。出力周波数がなかなか安定しません。クラシカルな「楽器」の製作と調律を行っているような感じです。

IN = 0V →   69.4Hz

IN = 1V →  123.6Hz

IN = 2V →  223.6Hz

IN = 3V →  402.7Hz

IN = 4V →  712.9Hz

IN = 5V → 1260.5Hz

Analog Discovery 2を使っているので、測定環境はかなり恵まれていると思いますがそれでも難しい。特に指数関数の底の調整幅が小さく1V/Octに届きませんでした。

ADCでCVを拾ってデジタル処理したほうがはるかに楽に正確なVCOを製作できますが、これもまた経験です。

今回はひとまずこのまま音出し(ラックにマウント)までやってしまうつもりです。

改善策


指数関数の底を決めるRV4+R12の調整幅を大きくする。

廉価版の多回転トリムを使っているので、高品質なものに変更。

Q1、Q2、R13を熱結合する。


2020年11月30日月曜日

Antilog-NPNO Ver1.1 PCB版

テスト実装しました。


回路図

トランジスタ(Q1、Q2)と抵抗(R13)を熱結合しやすいように配置しました。R13は3300ppmの温度補償抵抗を使い、エポキシ接着剤で固める予定です。

エポキシ接着剤での熱結合のテスト


DC電位


入力をGNDに落とした場合の各部の電位をテスタで測定しました。

シミュレーション

fV、nV、uVという値が表示されていますが、実際にはなかなか測定できませんので0V(GND)として扱います。

測定値

入出力

シミュレーション回路図

CVに与える電圧をパラメータとしてDC解析を行いました。.paramコマンドで出力の振幅を調節するRsを変化させています。

出力電流

出力電流(縦軸:対数軸)

出力電圧([MEAS]の点)

テスト用ブロック図

Analog Discovery 2を使い、±1Vのノコギリ波を入力して出力電圧を測定しました。

テストの様子

Adj=0Vの場合

出力がレファレンス電圧(5V)側に偏っているので、Input_Adjトリム(RV3)を調節します。

約0V~3.5Vの出力、電流検出抵抗10kΩですので、出力は約0uA~350uAの吸い込み電流となります。

Analog Discovery 2でCSVでExportしてエクセルでグラフ化しました。


縦軸は対数軸で、直線であればIoutは指数関数となります。(オレンジの点線は直線)

グラフの乱れはノコギリ波の垂直部分でプロットされているためです。

メモ


POTの端子(1-2-3)が逆。
VCOの場合CVの直入力が必要。