2023年8月22日火曜日

3340VCO Ver.1.1の製作

 
AS3340/CEM3340を使ったVCOを製作しました。回路について解説します。組み立てについては別記事をご参照ください。

回路図


CV入力の加算


3340の周波数をコントロールするVFCI(15PIN)はサミング・ノードとなっており入力信号が加算されます。OPアンプの加算回路と同様です。

サミング・ノードでない場合


2Vp-pのサイン波を3つ抵抗を介してバッファに入力しています。3つ入力していますが、出力も2Vp-pです。

サミング・ノードの場合


サミング・ノード(加算回路)の場合、3つの入力が加算され、出力が6Vp-pになります。反転加算回路の場合サミング・ノード(OPアンプの反転入力端子)が仮想GNDとなるため、それぞれの入力が干渉しません。

加算回路の場合、入力抵抗(R1、R2、R3)が加算の比率・増幅率となるので、抵抗値のばらつき・確度が重要となります。

出力振幅をそろえる


3340を±12V駆動した場合の出力振幅は、ノコギリ波は8V、三角波は4V、矩形波は11Vとなります。ノコギリ波の8Vに揃えるために、U4A、U4B周りの回路で減衰、増幅しています。


ACカップリング


3340の出力はGNDより上の波形であるためU2A、U2B周りの回路でACカップリングしています。ACカップリングの本体はC17(1uF)、R30(100kΩ)です。カットオフ周波数fcは

fc = 1 / (2 * π * C * R)
   = 1 / (2 * π * 1 * 10^(-6) * 100 * 10^3)
   = 1.59Hz

R15(220kΩ)を大きな値にするとVCLFOとしても使用できます。その場合ACカップリングが問題となります。

3.43Hz OUT出力(ACカップリングあり)

3.43Hz J5出力(ACカップリングなし)

カットオフ周波数付近になるとACカップリングすると波形が崩れます。さらに低い周波数では信号が出力されなくなります。低周波数で使用する場合C17をバイパスするか、ロータリースイッチのCOM端子から直接出力するなどすると良いと思います。

CV電圧 VS 出力周波数


オクターブSW(3)、通電してから20分後に測定開始、室温29.2℃


想定していたより高精度です。10オクターブのポリフォニック・シンセも組めそうです。

EXT端子(J4)


HARD_SYNC、SOFT_SYNC、LIN_FM(リニアFM)に信号を入力した場合の出力です。

3340VCOの設定: ノコギリ波/440Hz

HARD_SYNC


C1:OUT C2:HARD_SYNC入力

HARD_SYNC入力に380Hz/±4Vp-pのノコギリ波を入力。HARD_SYNCがHになったとき3340VCOの出力の位相がリセットされます。

SOFT_SYNC


C1:OUT C2:SOFT_SYNC入力

HARD_SYNCとは異なる同期の仕方です。

LIN_FM


C1:OUT C2:LIN_FM入力

リニアな周波数変調です。MOD入力と異なりアンチログ回路を通っていません。

MODによる周波数変調

C1:OUT C2:HARD_SYNC入力

MOD入力による周波数変調はLIN_FMよりも変化量が大きくなります。

3340VCOとAnVCOの比較


Analog 2.0を参考に個別部品で作ったAnVCOと比較して、3340VCOは周波数の精度が良いのに加えて、発振周波数が安定しています。AnVCOは起動後しばらく周波数が変動しますが、3340VCO起動直後から周波数が安定しています。

オーディオ用DACとの比較

オーディオ用のDACは量子化歪とDigital Filterの振動が現れることが多いです。自作のPCM2704ヘッドホンアンプからWaveGeneで生成した波形を出力したものと比較します。

PCM2704 48kHz/16bit ノコギリ波/1kHz


3304VCO ノコギリ波/1kHz

CEM3340 Rev.GとAS3340

CEM3340 Rev.Gと差し替えてみましたがAS3340との差は特に無いようです。


AS3340

CEM3340

出力信号の周波数は、AS3340で440Hzに設定してそのままCEM3340に差し替えると180Hzでした。同じ440Hz出力になるようにCVおよびFINEで調整しました。

メモ:

  • FINEつまみが-0.5oct~+0.5octという仕様、-1oct~+1octに変更する?
  • Pulse Widthつまみの設定が0~5Vになっているが、0~4.2Vに修正する。
  • ACカップリングではなくバイアスをかけてDC成分を除去する?

2023年8月14日月曜日

3340VCO Ver.1.1 追加情報 '23夏コミケ頒布分

訂正


解説冊子に誤りがありましたので訂正します。

3340VCOとは

基音がC3(真ん中のC)の場合Eは329.6Hz、Ebは311.1Hz、わずか16Hz程度の違いです。
基音がC3(真ん中のC)の場合Eは329.6Hz、Ebは311.1Hz、わずか18Hz程度の違いです。

調整 2.

CV=1V 220Hz以上の場合はSCALE_ADJ(RV5)を左、220Hz以上の場合は右に回して出力が220Hz付近になるように調整。

CV=1V 220Hz以上の場合はSCALE_ADJ(RV5)を左、220Hz以下の場合は右に回して出力が220Hz付近になるように調整。

3340VCO Ver.1.1 部品表(基板外)

ステレオミニジャック    4

モノラルミニジャック    4

※ステレオミニジャックでもRingをオープンにすれば使用できます。

基板実装例


R15(220kΩ)はピンソケットを使って抵抗値を変えられるように実装しています。この抵抗値を大きくすると発振周波数が低くなり、小さくすると発振周波数が高くなります。

パネル加工図(ご参考)


コミケで展示したモジュールのパネル寸法図です。


PDFファイル(実寸)

外付けの3.5mmモノジャックはマル信無線MJ-355、3接点ロータリースイッチは

秋月で販売されているもの(26mm径)を使用される場合はパネル幅と穴位置を調整してください。

パネル取付のヒント


基板上の可変抵抗、ロータリースイッチの配置の関係で、そのままパネルに取り付けると安定しないと思います。その場合、ボリューム用ナット(M7薄型)を別に用意してパネルの裏側にスペーサーとして入れると良いと思います。

ボリューム用ナットはAmazonなどで販売されています。





2023年8月9日水曜日

'23夏コミ8月13日(日)西か-19a AS3340VCO基板セットを頒布します。

 2023年8月13日(日) 西地区 か-19a 「電磁工廠」でAS3340を使ったVCO基板を頒布します。AS3340の実験用基板と5接点ロータリースイッチ、解説冊子のセットです。

友達のスペースにお邪魔させていただきます。どうぞお立ち寄りくださいませ。