2018年6月28日木曜日

トランジスタをVbeで選別 その3 JFETで組んで見る。

この間飲みながら書いた記事は結構支離滅裂ですが(^q^;定電流源にバイポーラ・トランジスタを使うよりJFETを使った方が部品数が少なく済み、電源も単電源で測定できそうです。

回路図

Q1は検査対象のNPNトランジスタ(2SC1815)です。

R4は10kΩのトリムで10Ω~10kΩでパラメータ分析しています。R3は電流値を検出するためのシャント抵抗です。

Q1の各端子の電位

Q1のベース・バイアスV(vb)はVCCをR1、R2で分圧して2Vにしています。シミュレーションでは少し低い値になっています。

Q1のエミッタ電位V(ve)は測定するV(vb)からVbe分電圧降下した値になっています。エミッタ(≒コレクタ)に流す電流によって変化しています。

エミッタ電流

N-ch JFET J1の特性によりますが、10kΩトリムのR4の設定値によって100uA(縦軸の0.0001)程度~1mA(縦軸の0.001)程度ぐらいはエミッタ電流を変化させられそうです。

Visでエミッタ電流を測定

R3に流れる電流はQ1のエミッタ電流と同じなので、V(vis)の電位を測定すれば、エミッタ電流Ieは Ie = V(vis) / R3(=100Ω) で測定できます。

実験


ブレッドボード配線図

測定手順


1. 電源電圧が+9V前後なのをチェック
2. A点が2V前後なのをチェック
3. B-C点の電圧Vbc、エミッタ電流Ieとして、Vbc = Ie * 100 と換算して流したいエミッタ電流になるようにトリムR4を調節する。100uA流したい場合は10mV。1mA流したい場合は100mV。
4. ブレッドボード図の「VMeter」のようにテスタをあててVbeを測定する。

エミッタ電流とVbeの関係の実験


トリムR4を調整して、エミッタ電流を変えてVbeを測定しました。


エミッタ電流Ieが多いほど、ベース・エミッタ電圧Vbeが高くなっていて、変化も大きいです。

トリムの調節が難しいので、多回転タイプのトリムのほうがいいかもしれません。

温度とVbeの関係の実験



テスターでVbe、HDC1000不快指数計で室温をロギングしました。どちらも測定間隔は0.5sですが同期はとれていません。

エアコンを入れたり切ったりして室温を変えました。



※Vbeのグラフの縦軸は反転してあります

横軸の0~8000あたりを見ると室温はが29℃~30℃で1℃程度上昇していて、Vbeは574mV~570mVで4mV程度の下降になっています。-4mV/℃程度です。

また、横軸の8000以降では室温が1.5℃程度に下がっていますが、Vbeは2mV程度の上昇です。

これらは室温が変わってもトランジスタの中の接合温度は変化しにくいためだと思います。

テスト測定


室温: 26.42℃~26.64℃
電源電圧: 8.96V
Vb: 1.931V
Vis:10.01mV


横軸の単位は0.5sなので、30s程度待って読み取れば十分そうです。

2018年6月27日水曜日

トランジスタ・ラダー・フィルター TLF01にNPN/PNPアンチ・ログ回路をつなぐ。

トランジスタ・ラダー・フィルター TLF01に以前実験したMiniMoogなどに使われているNPN+PNP型のアンチ・ログ回路をつないで音出ししました。


アンチ・ログ回路は電圧制御なのでArduino LFOをつないでカットオフ周波数を変調しています。


配線図


TLF01回路図

NPN+PNP型のアンチ・ログ回路図

信号源はPCM5102Aファンクション・ジェネレーターから出力したノコギリ波です。

TLF01は回路図のJP8の切り替えで、カットオフ周波数を制御する電流源を内蔵のものと外付けのものを切り替えられるようにしています。

TLF01とアンチ・ログ回路の間に1kΩのRを挿入しています。

電源は±9V安定化電源を使用しました。(+8.95V / -9.05V程度)

TLF01の定数(ピンソケットで差し替え可能にしている部品)

R1 1kΩ
R3 390Ω
R8 200Ω
R9,R10 1.5kΩ
C7 10uF/BP
C3~C6 0.068uF
QCtrl POT 10kΩ/B
U1 TL072

アンチログ回路の定数

VREF 4.98V

2018年6月25日月曜日

トランジスタをVbeで選別 その2

トランジスタのマッチングはかなりシビアな問題です。流す電流や温度によって測定値がコロコロ変わります。

同じ条件でマッチングが取れていたらOKだと思いますが、その条件を確定するのが難しい。

温度は室温で測定するとして、電流値を目で見てわかるようにすることを考えました。

コレクタ≒エミッタ電流



実験中のTLF01を想定して、電源(VCC)は9Vとし、ベースに加える電圧(Vb)は2Vとしました。

回路図のVbとVeの差分がVbeです。I1は電流源で「何があってもこの電流しか流さん」という役目をになってます。

I1の電流値を1uA~1mAにしてパラメータ解析しました。


流す電流によって620mV~420mVまで変わります。

トランジスタの温度係数は2mV/℃の係数があるので、こんなにバラツキがあっては選別が困難です。

選別にはコレクタ→エミッタの電流値を確定する必要があります。

JFETの定電流源にしてみる


Vbの電圧をR1とR2の分圧で2Vにし、定電流源をJ1とR4にしました。


R4の値を変えるとJ1のドレイン-ソースに流れる電流が変わるので電流値を可変できます。


R4の値を500Ω~10kΩにすると、Q1のエミッタ電流(Ie(QA1))はおおよそ50uA~750uAになりました。

1mVの精度でトランジスタを選別するのはむずかしいですが、同じ電流を流し続けられればできるかな(@@?

メモ

J1まわりの定電流源の電流値はR4の両端の電圧を測ればできそう?

2018年6月24日日曜日

Dual OTA VCA プリント基板をはんだ付けしました。

この間焼いてもらったプリント基板に部品をはんだ付けしました。

部品の準備

部品面

ハンダ面

はんだ付けにかかった時間は、部品のフォーミングや簡単なテスト(電源系のチェックと出音の確認)を含めて3時間程度で済みました。ユニバーサル基板のときは12時間程度かかったのでありがたいことです。

時間の短縮はもとより、はんだ付け作業に取り掛かるのが気楽になるのが大きい(^q^/

ハンダ面は小瓶タイプのフラックス洗浄剤「HAKKO No.001-01」を付属のブラシで塗りたくって綿棒で拭き取りましたが、フラックスが取りきれません。スプレータイプのを買おうかなあ。


2018年6月22日金曜日

トランジスタ・ラダー・フィルター TLF01 はんだ付け完了

回路図

基板図

部品面(部品挿入なし

部品面(部品挿入あり)

ハンダ面

試作がやりやすいように、念の為両面基板をつかったので、うっかり隣のホールにつけてしまったハンダは除去するのが大変なので放置しています。

電源用のコネクタは日圧NHを使いました。コネクタの専有面積は大きい方で高さも高い方なのですが、基板側のポストが普通のピンヘッダの様にICクリップやオシロのプローブが当てやすく、ロック機構があるのでケーブル側のコネクタを嵌めると普通のピンヘッダより抜けにくいという代物です。

結線図

<追記:2018.06.27> Cutoff制御用のPOTは100kΩ/C </追記>

簡単に動作確認は行いました。

テストも含めて1日4時間程度の作業で3日かかったので12時間程度の作業です。ユニバーサル基板のはんだ付けは大変なので、これも電圧→電流変換部のテストがうまくいったらプリント基板を焼いてもらおうと思っています。

Github:
https://github.com/ryood/TLF01

メモ:


消費電流:+19.72mA / -10.78mA

2018年6月16日土曜日

トランジスタ・ラダー・フィルター TLF01の構想

波形の測定はブレッドボードでもある程度できますが、VCO/VCAなどをつないでの実験はブレッドボードではきついので、トランジスタ・ラダー・フィルターをTLF01という名前で試作することにしました。

回路図

本来はカットオフ周波数を制御する電流源は、アンチ・ログ(電圧→電流変換)回路で行いますが、簡易的にJFETの可変電流源を使うことにしました。電圧制御ではなくPOTで電流を可変します。

また、外部にアンチ・ログ(電圧→電流変換)回路を繋げられるようにJP8(IctrlSelect)で切替可能にしました。

定数を変更できるように一部の部品はピンソケットで実装して差し替えできるようにしています。

差動増幅回路のR9、R10


R9、R10の値を変更するとIC1B周りの差動増幅回路の増幅率が変わります。10倍増幅と100倍増幅でQが上がる周波数が変わるのは前回実験しました。

R9, R10=100Ω (Av=1000)

R9, R10=1kΩ (Av=100)

R9, R10=4.7kΩ (Av=47)

R9, R10=10kΩ (Av=10)

トランジスタ・ラダーのC3~C6


0.068uFで実験していますが、この値を変更するとカットオフ周波数が変化します(CR LPFのCと同じ)。

C3~C6=0.068uF

C3~C6=0.1uF

C3~C6=1uF

バイアス電圧を決めるR3

R3の値を変更するとT1~T10のベース・バイアス電圧が変化します。Qが若干変わるようです。

R3=10Ω

R3=220Ω

R3=390Ω

帰還に入れるACカップリング用のC7


C7の値を変更すると周波数特性が変化します。

C7=1uF

C7=10uF

C7=100uF

JFET電流源のR16


R16はPOT(JP6)の抵抗値にはかせるゲタです。POTの効きを調整します。

基板設計


基板図

※配線まだ。

部品並べ

2018年6月13日水曜日

トランジスタをVbeで選別

トランジスタのhFE、Vbeの測定にAVRトランジスタテスターを使っていましたが、精度が不明です。測定しなおすと値がまるで違ったりします。

測定時間もそこそこ長くかかります。

定電流源を使ったVbeの測定


「達人と作るアナログシンセサイザー自作入門」で紹介されているVbeの測定方法を試しました。



シミュレーション回路図


Q2が検査対象のNPNトランジスタです。

OPAMP U1とNPNトランジスタQ1周りの定電流源を使ってQ2のエミッタ電流を引っ張ります。Q2のエミッタ電流は100uAになるように定数を決めています。

OPAMP U1はVrefとVe1が等しくなるように働きます。

各部の電位

定電流源の出力電流I(R1)は0.1mA(100uA)になっています。

V(out) - GND間の電圧を測定すればQ2のベース・エミッタ電圧が計測できます。

ブレッドボード配線図


Q1: 2SC1815GR
U1: TL072

トランジスタのVbeは2mV/℃の温度計数があるので、測定時には作業用手袋をしてピンセットを使って熱が伝わらないようにしました。マスクも着用(^q^;


電源はヘッドホンアンプ用に作った±9V安定化電源を使用しました。

実験結果


室温: 25.7℃~25.2℃
電源電圧: +8.95V / -9.05V

Vc1 -1.617V
Vb1 -3.518V
Ve1 -4.102V
U1+ -4.101V

2SC1815GR 80本を測定。

測定時にVbeの値が徐々に大きくなるので変化がゆるくなるタイミングで計測しました。

Vbe(mV) 個数
573 1
574 0
575 1
576 0
577 16
578 34
579 26
580 9
581 0
582 2
583 0
584 2
585 2
586 0
587 1

選別後何本か測定しなおしましたが、誤差1mV程度で収まっているようです。

2018年6月10日日曜日

トランジスタ・ラダー・フィルターの実験 その6

前回実験した回路で一部定数を変更してQコントロール(レゾナンス)の効きを良くしました。


シミュレーション回路図

U1周りの差動増幅回路のR10、R11を1kΩにして増幅率100倍(40dB)としました。また、R2の値を220ΩにしてV5の電位が多少高くなるようにしました。

AC解析

Q値が高くなるカットオフ周波数が前回の定数の時よりも低くなっています。理由はわかりません(^q^;

各部の電位

V5の電位は1.75V付近になりました。

実験での測定


ブレッドボード配線図

電源電圧 +8.92V / -8.99V

Point V Diff(V)
VCC 8.86 1.91
V1 6.95 1.3
V2 5.65 1.314
V3 4.336 1.3
V4 3.036 1.313
V5 1.723