2018年6月5日火曜日

JFETを使った可変電流源

自作の可変電流源は吐き出し型で吸い込み型では使えません。

参考「トランジスタ・ラダー・フィルターの実験 その3

エミッタ側を出力とすれば吸い込み型になるかと思ったのですが思い違いでした。TrをPNPではなくNPNにする必要があります。

トランジスタを使った定電流回路の基本形
Current SinkがNPNを使った吸い込み型の定電流回路、Current SourceがPNPを使った吐き出し方の定電流回路です。

ベースに印加した電圧によって、エミッタ抵抗Rに一定の電流が流れ、エミッタ電流≒コレクタ電流なのでコレクタ側から一定の電流を取り出せるという仕組みです。

エミッタ側に負荷を入れると定電流源にはなりません。

自作の可変電流源を吸い込み型にしようと思うとNPN Trにして作り直す必要があります。

JFETを使った定電流源


自作の可変電流源は入力電圧に比例して電流を取り出せますが、少々回路が複雑です。バイポーラトランジスタではなくJFETを使えばかなり簡単に定電流源が作れます。

「回路の素101」と「続・トランジスタ回路の設計」を参考にしました。


回路図

JFETのゲート・ソース間を直結してVGSを0VにするとJFETのIDSSの定電流源になります。

手持ちの2SK170-BL(IDSS:6.0~12mA)と2SK30ATM-Y(IDSS:1.20~3.00mA)で測定しました。

ブレッドボード配線図


JFETのソース側(吐き出し型/Low Side)とドレイン側(吸い込み型/Hi Side)に直接テスター(OWON B35/mA/DC)を入れて電流を測定しました。ソース電流=ドレイン電流なのでどちらも同じ電流値になります。

2SK170-BL Low Side 8.58mA
2SK170-BL Hi Side 8.56mA
2SK30ATM-Y Low Side 1.82mA
2SK30ATM-Y Hi side 1.82mA

テスターのOWON B35のmA/DCモードは十分に内部抵抗が小さいので(参考「OWON B35を購入しました」)直接回路に入れて測定しましたが、内部抵抗の高いテスターの場合は正しく測れません。

DER EE D-200AのmA/DCモードで測定

同じ回路ですが、測定値は1.93mAになっています。D-200Aでも10Aモードは内部抵抗が低いので精度は粗いですが正しく測定できました。

DER EE D-200Aの10A/DCモードで測定

JFETを使った可変電流源


JFETのソースとゲートの間に抵抗を入れるとソース電流=ドレイン電流を制限できます。

シミュレーション回路図

RIの値を100Ω~100kΩにしてパラメータ解析しました。

出力電流(2SK170)

RIの値によって5uA~2.5mA程度で出力電流が変化しています。

同じ回路でJFETのモデルをJK30に変更してシミュレーションしました。

出力電流(2SK30)

RIの値によって15uA~1.5mA程度で出力電流が変化しています。

2SK170の方が出力できる電流の幅が大きいのは、下の伝達特性のグラフの通りID/VGSの傾き(gm)が大きいためです。

2SK170 / 2SK30の伝達特性

ブレッドボード配線図


Parts Side RI=100Ω RI=1kΩ RI=10kΩ RI=100kΩ
2SK170-GR Hi Side 2.12mA 0.34mA 0.04mA 0.01mA
2SK170-GR Lo Side 2.12mA 0.34mA 0.04mA 0.01mA
2SK30ATM-Y Hi Side 1.46mA 0.59mA 0.10mA 0.02mA
2SK30ATM-Y Lo Side 1.47mA 0.59mA 0.10mA 0.02mA

2SK170-GR+100kΩトリム


2SK170-GRを使ってRIを100kΩのトリムを使って連続可変にしました。

ブレッドボード配線図

トリムを回してドレイン電流は5.1uA~8.47mAに変化しました。2SK30ATMの場合は12.2uA~1.82mAでした。

実験中のトランジスタ・ラダー・フィルターで、カットオフ周波数のコントロール電流源に使ってみたいと思います。

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