2023年3月20日月曜日

三端子レギュレータ(NJM7805FA)とDC-DCコンバータ(M78AR05-1)

NJM7805FAのサーマルシャットダウン


回路図

入力は15V 2出力のトランスを使用しています。
ヒートシンクをつけない状態で大きな電流を流し、サーマルシャットダウンする様子を測定しました。


入力: 15V AC
出力: 5V
負荷抵抗: 20Ω

15V入力、5V出力なのでドロップ電圧が10Vとなり、この分が三端子レギュレータの発熱として消費されます。出力電流は、5V / 20Ω = 250mAです。

表面温度

出力電圧

NJM7805FAは表面温度125℃でサーマルシャットダウンし、表面温度が下がると再び動作します。動作範囲内の温度でも出力電圧に変動があります。

NJM7805FAの出力


入力が15Vと高い場合、出力できる最大電流はかなり制限されます。ヒートシンクをつけた状態でNJM7805FAの表面温度を測定しました。

回路図


表面温度 RL=20Ω

出力のリプル RL=20Ω

出力電流は、5V / 20Ω = 250mAです。ヒートシンクをつけても160秒程度で表面温度が80℃に達します。動作範囲は85℃までなので出力250mAでは運用できません。

M78AR05-1の出力


三端子レギュレータとピンコンパチのDC-DCコンバータ、MINMAX M78AR05-1に差し替えて出力と表面温度を測定しました。M78AR05-1はコンデンサなど外付け部品は不要です。

回路図


負荷抵抗20Ωの場合


NJM7805FAと同じ条件で負荷抵抗20Ω(出力電流250mA)の場合の出力のリプルです。

出力のリプル RL=20Ω

表面温度はほとんど変化せず、出力のリプルもNJM7805FAと変わらないようです。

負荷抵抗5Ωの場合


定格の1A出力です。5V / 5Ω = 1A。

表面温度温度 RL=5Ω

出力のリプル RL=5Ω(開始時)

出力のリプル RL=5Ω(30分経過後)

30分程度通電しましたが、表面温度は15℃程度上昇するだけでリプルも良好です。別途出力電圧のログも取りましたが大きな変動はありません。


MAX 4.97257 V 11.05 mV
MIN 4.95722 V -3.81 mV
AVG 4.96152 V -

M78AR05-1の容量負荷


データシートによるとM78AR05-1の容量負荷は最大470uFとなっています。100Ωの抵抗と470uF、1000uFのケミコンを並列につないで出力を観測しました。出力電流は、5V / 100Ω = 50mAです。



C=470uF

C=1000uF

簡単な実験では1000uFの負荷容量でも出力に問題はないようです。出力電流が大きい場合に問題が出る可能性はあると思います。

L7812CV L7912CVの出力


+12VのL7812CV、-12VのL7912CV(STMicro製)の出力と表面温度を測定しました。

入力: 15V AC
出力: ±12V
負荷抵抗: 20Ω

出力電流は12V / 20Ω = 600mA、負荷の消費電力は7.2Wです。

測定の様子

L7812CV/L7912CV 出力のリプル RL=20Ω 開始時

L7812CV/L7912CV 出力のリプル RL=20Ω 30分経過後

L7812CV表面温度

L7912CV表面温度

発熱は65℃程度なので±12Vで出力600mAは実用的と言えます。

もう少し出力電流を大きくしてみたいのですが、30分通電後に負荷抵抗の表面温度が116℃まで上昇したため、これ以上は抵抗の発熱対策が必要です。

実験に使ったメタルクラッド抵抗

今回は放熱器をつけないで使用しましたが、消費電力が大きい場合相当発熱します。目安として5W程度で100℃近くまで発熱するので、それを超える場合は相応の放熱器に取り付ける必要があります。

メモ:


入力15V、出力5Vでは三端子レギュレータの発熱が大きく実用的ではないようです。もちろんトランスの出力電圧が低いもの(例えば7V程度)を使えば三端子レギュレータの発熱は小さくなります。

三端子レギュレータの入力に直列にドロップ抵抗を入れて電圧降下させ、三端子レギュレータの入力にかかる電圧を下げる方法があります。500mAで5Vドロップさせると、5V × 0.5A = 2.5W 分抵抗が発熱します。