2021年8月17日火曜日

4入力ミキサー Eurorack仕様 MIX04の製作

Eurorack仕様の4入力ミキサーMIX04を製作しました。



プリント基板はfusionPCBに依頼しました。


以前、スタンドアロンの4入力ミキサーMIX0401を製作しましたが、9Vの単電源で動作し仮想GNDを使っているので入出力をACカップリングしています。動作電圧が低いので信号の振幅が稼げず、ACカップリングしているため制御用のDC信号は扱えません。アナログシンセのルーティング中にオーディオ信号やCV信号をMIXするには不向きです。

また、OPアンプを使った増幅器の利得を可変するためフィードバック抵抗の値をPOTで可変するようにしていますが、POTのワイパーに電流が流れるためガリの原因となっています。

一般的には増幅器の利得は一定とし前段のPOTで信号を減衰させて、利得可変としていることが多いようです。これもPOTのワイパーには電流が流れません。(OPアンプの入力インピーダンスは非常に高いため)

前回のMIX0401ではPOTをレオスタットとして利用しています。これはワイパーに帰還電流が流れます。
今回のMIX04では下図ようにワイパーに電流が流れないようにしています。ただしPOTによる分圧比がR8との合成抵抗になるため、A特性ではなくB特性のPOTを使用しています。

ガリが出るか出ないかしばらく使って様子をみてみます。

参考「新・低周波/高周波回路設計マニュアル」鈴木雅臣著 p232

MIX04の製作


回路図

C1、C2、C3はかんたんな位相補償用です。

増幅率を測定


増幅率を決める抵抗値は、出力用のPOT(RV1)を中点付近、または入力用のPOT(RV2など)を中点付近にしたときに0dBになるようにしています。POTの位置を調節して増幅率を測定しました。

RV2(INPUT1)最大、RV1(OUTPUT)最大


C1:IN1 C2:OUT

最大で、増幅率 Av = 10.386 / 2.0315 ≒ 5.1倍です。

RV2(INPUT1)最大、RV1(OUTPUT)中点付近

C1:IN1 C2:OUT

出力レベルを中点あたりに設定すると増幅率はほぼ1となっています。

RV2(INPUT1)中点付近、RV1(OUTPUT)最大

入力レベルを中点あたりに設定しても増幅率はほぼ1となります。

RV2(INPUT1)中点付近、RV1(OUTPUT)中点付近

入力、出力ともに中点付近にすると

増幅率 Av = 0.35092 / 2.0080 ≒ 0.17倍

POTの位置合わせはおおよそなので、真ん中、真ん中にすると増幅率は約1/5です。

ミックスの様子


IN1に1kHz、IN2に3kHzの正弦波を入力してMIXの様子を観測しました。測定に使用したAnalog Disocovery 2の波形生成は2chなので2chのみの測定です。

RV2(INPUT1)最大、RV3(INPUT2)最大、RV1(OUTPUT)成り行き

 C1:IN1 C2:OUT

位相反転出力


今回はパネルに端子を出していませんが、位相を反転した信号も出力できます。


C1:OUT C2:INV_OUT

周波数特性


基板には位相補償用のパターンを入れてありますが、まずは位相補償なしの状態で測定しました。入力レベルは最大、利得が0dBになるように出力レベルを設定して測定しています。

OPアンプ:NJM4580DD 位相補償なし

300~400kHzあたりにピークが発生しています。これは危険です。C1とC3に10pFのセラコンを入れてみます。

OPアンプ:NJM4580DD C1=10pF C3=10pF

ピークが抑えられました。位相が180度回った地点の利得が-12dB程度、利得が-3dBの地点が100kHz以上なので、これはこれでありでしょう。

OPアンプをNJM072Dに変更してみました。

OPアンプ:NJM072D 位相補償なし

位相補償なしでもカットオフ周波数付近で多少利得が上がっていますが、NJM4580DDより良好です。C3にのみ10pFのセラコンを入れてみました。

OPアンプ:NJM072D C3=10pF

これが良さそうです。エフェクターや楽器では072系が使われることが多いですがJFET入力で入力インピーダンスが高いこと以外にもメリットがありそうです。過渡特性がまったりしているなど、特性が素直なんでしょうか。


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