VCVSフィルターの利点は非反転増幅なので位相が反転しないこと。欠点は高周波が漏れるので注意が必要。「サレンキー型フィルタの“落とし穴”」
多重帰還フィルターは位相が反転するが高周波は漏れない。また、VCVSに比べてOPAMP自体の周波数特性(GB積)もそれほど要求されないようだ。
プログラムで波形を生成するので位相の反転は妥協して「多重帰還」で考えてみることにした。
LTSpiceでシミュレーション
前回のシミュレーションではOKAWA Electric Designの計算ツールの結果をそのまま使ったのでCの容量が3.3pFとか68pFとかになってしまっていたので手持ちの部品の容量を指定してバターワース特性でシミュレーションしなおした。「やりなおしのための実用アナログ回路設計」に載っていた手計算で定数を決めて行く方法もやってみたが、OKAWA Electric Designの計算ツールでやったほうが精度がよかったのでこのツールで定数を決めた。また、TIの「Filter Pro」は非推奨になっていて、代替ツールと思われる「WEBENCH® Filter Designer」Filterツールよりこっちの方が使い勝手がいいような気がする。
回路図
カットオフ周波数を200kHzにすると192kHzの基本波も減衰しすぎるので400kHzをカットオフ周波数にした。
R1、C1で構成される1段目の1次LPFとそのあとの2次MFB(多重帰還) LPFの間にボルテージフォロワーを入れるのが普通らしいが、直結している。計算ツールではC3は68pFになったが、持ってないので100pFに変更した。
過渡解析
青が入力の200kHzの三角波、赤が1段目の出力、緑が3次MFB LPFの出力。
AC解析
利得、位相ともに周波数特性はきれいだが、400kHzで-10dB以上減衰している(ほんとは-3dBになってほしい)。また減衰の傾きは-60dB/decになって欲しいのに-40dB/dec程度になっているようだ。あれ?
FFT
カットオフ周波数を200kHzから400kHzに上げたので前回のシミュレーションより悪化しているが仕方ない。
LPFの前段に減衰用のPOTを入れてみる
信号源とLPFの間に10kΩの可変抵抗の代わりとしてR5とR6で分圧し、.step paramでパラメトリック解析をしてみた。
AC解析
利得のカーブを見てみると、R5とR6の分圧の比率でカットオフ周波数やカーブの肩の感じが変わってしまっている。減衰のカーブが変わっても、基本的に正弦波を通すので結果として出力波形の歪率が変わるだけだと思うが、ちょっと悔しい。
メモ:
3次なのに-40dB/decになっているのはLPFの1段目と2段目の間にバッファを入れて分離する?利得カーブは分圧とLPFの間にバッファを入れたらましになる?
バッファを入れるにしてもできればデュアルOPAMP1個で済ませたいので妥協して2次LPFで我慢する?
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