2017年11月5日日曜日

Tr回路の実験 プッシュプル

NPNトランジスタとPNPトランジスタを使って正側と負側の電流増幅をそれぞれ担当させるエミッタフォロワ。

単純なプッシュプル


シミュレーション回路図

シンプルなプッシュプル回路でR1とR2で分圧してバイアス・ポイントを決める。バイアス回路の電流は1mA流すことにしてそれぞれ4.7kΩとした。

信号源は1kHz/2Vp-pのサイン波。

入出力

出力はスイッチング歪がハッキリと出ている。出力の振幅は負荷RLが100Ωのときで±1.2Vp-p程度、負荷RLが47Ωになるとさらに低下。

エミッタ電流

スイッチング歪はQ1のエミッタ電流Ie(Q1)とQ2のエミッタ電流Ie(Q2)が交代するところで電流が流れないため発生する。

ダイオード1個でオフセットをかけたプッシュプル


シミュレーション回路図

トランジスタのVbe分をダイオードで相殺した回路。バイアス回路の電流は同じく1mA流れるようにしている。

入出力

負荷RLが22Ωあたりまでは大きく歪むことなく出力できている。(10Ωだとはっきり歪む)

また、負荷RLが47Ωと軽いときでも±1.7Vp-p程度に振幅が小さくなっている。

スイッチング歪

出力を拡大してみるとまだスイッチング歪が残っている。

AC解析

高周波数で利得が上がっている。原因不明で高周波数なので実験での確認もできません(^q^;

ダイオード2個でオフセットをかけたプッシュプル


シミュレーション回路図

バイアス回路ではダイオード2個分の電圧をトランジスタにかけて、エミッタ抵抗(R3, R4)でエミッタ電流を制限している。エミッタ抵抗は出力インピーダンスになるので100Ωとした。

入出力

負荷抵抗RLが100Ωの時(青色の線)出力振幅は±1.1Vp-p程度で入力は±2Vp-pなので出力インピーダンスは100Ω程度。RLが47Ωのときは波形が歪んでいる。

スイッチング歪

出力を拡大してもスイッチング歪は見られない。

エミッタ電流

アイドル時のエミッタ電流は概算では<ダイオードのVf> / <エミッタ抵抗> = 0.6V / 100Ω = 6mAになる。2Vp-pの入力で振幅が最大の時は2V / 100Ω = 20mAになる。


Ie(Q1)はQ1のエミッタ電流、Ie(Q2)はQ2のエミッタ電流。シミュレーションではアイドル時で4mA程度、最大16mAp-p程度になった。

負荷RLが200Ωのときはあまり電流が流れないのでNPNとPNPでスイッチングせずにA級動作している。

エミッタ抵抗



V(ve1)はQ1のエミッタ電位、V(ve2)はQ2のエミッタ電位で、この差分(0.8V~2V程度)がR3とR4にかかる。

エミッタ抵抗に流れる電流はエミッタ電流と同じなので、±20mAとしてP = I^2 * R = 20mA × 20mA × 100Ω = 40mWなので、エミッタ抵抗は1/4Wタイプで大丈夫だろう。(実用する場合はもう少し考える必要がありそうですが)

AC解析

高周波数側の減衰はほとんど見られない。

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