2024年10月28日月曜日

MIDI - ステレオミニプラグ変換ケーブルの作成

シーケンサーのKORG SQ-64とドラムマシンのKORG drumlogueをMIDIケーブルで接続する場合、SQ-64側にMIDI-ステレオミニプラグ変換ケーブルが必要となります。Rolandから発売されていますが結構お値段がはり、何本か必要になりそうなので自作することにしました。

自作したMIDI - ステレオミニプラグ変換ケーブル

配線


Type-AとType-Bがあります。ステレオミニプラグのTipとRingへの接続が逆になります。


※コネクタのはんだ端子側から見た図

SQ-64の説明書にはType-Aを使うように書かれています。

普通のDIN 5PINのジャックで試験



DINコネクター5P中継ジャックで製作


使用したMIDI側の中継ジャックは マル信 MJ-52です。これも1個400円強と安いものではありませんが、信頼のマル信製です。

DINプラグの分解も分かりにくいものですが、このジャックもプラグと同じようにぐりぐりしてカバーを外す必要があります。


樹脂製のカバーと1つ内側のメタル製のパーツの1か所くぼんでいる部分に、精密ドライバー(-1.5程度)を差し込みぐりぐりしながらカバーを外していきます。カバーは柔らかいのである程度外れたら内部のパーツを引き抜きます。

メタル製のパーツは2分割で外せますが、外す時に位置関係をしっかり確認しておきます。

普通のDINジャックより端子の間隔が狭いので、はんだ付けの難易度はステレオミニプラグのはんだ付けと同程度かやや難しい程度です。


※導線がはみ出していたり良いはんだ付けとは言えません。この後ニッパーで整えましたが端子間が狭く本体が樹脂製なのではんだ付けには注意が必要です。

SQ-64とdrumlogueのMIDI接続


デフォルトのMIDI設定で、SQ-64のMIDI OUTからdrumlogueのMIDI INにつなぐと、SQ-64がマスターとなりテンポが同期します。SQ-64のDトラックで打ち込んだシーケンスでdrumlogueを鳴らすこともできます。

2024年10月21日月曜日

ArLFO Arduino(ATMega328P)とSPI DAC(MCP4922)を使ったLFOの構想

以前、Arduino NanoとMCP4922を使ったLFOを製作しました。

電池駆動のガジェットタイプのモジュールで、Eurorackでは多少使いにくく、基本コンセプトはそのままにEurorackモジュールとして製作することにしました。

踏襲する要件

  • Arduinoを使ってMCP4922を駆動
  • サイン波、三角波、ノコギリ波(上昇)、ノコギリ波(下降)、矩形波(PW可変)
  • サイン波はDDSで生成
  • MCP4922は12bit DACなので出力にフィルターを掛けデジタルノイズを低減する(定数見直し)
  • Sync入力で位相をリセット

新たに設ける要件

  • Eurorackモジュールとして製作する
  • Arduino nanoではなく、ATMega328Pをそのまま使ってArduino IDEでプログラミング可能とする
  • 出力はGND~+5Vの単電源波形と-5V~GND~+5V両電源波形を出力する
  • 出力周波数は最大20Hzと最大200Hzを切り替え
  • LFOの出力レベルインジケータLEDを付ける
  • Arduinoのスケッチでユーザー定義の波形を出力を可能とする

テスト基板の製作


フィルター以外を1枚の基板でテスト実装しました。

回路図

結果


Arduino IDEからプログラミング

USB Serial変換モジュールを使ってArduino IDEからプログラミングできました。

DTRは回路図のように10kΩで+5Vにプルアップ、DTRからAVRのRESET(1PIN)に0.1uFのコンデンサでカップリングする必要があります。TX、RXはAVR側とUSB Serialモジュール側とで入れ替えてTX→RX、RX→TXとします。

VCC(電源)はUSB Serial変換モジュールから供給するとややこしくなるので配線しないでおきます。

使ったUSB Serialモジュール


DTR、UART TX、UART RXが出力できるモジュールなら使えると思います。写真はCH340のモジュールですがFT232RLのモジュールでも同様にプログラミングできます。

Arduino IDEからATMega328PをプログラミングするにはあらかじめArduinoとして使うブートローダを書き込んでおく必要があります。Arduino Unoがあれば多少の追加投資で書き込みできます。「Arduino UNO のブートローダ書き込み」の「3 Arduino UNO をプログラマにして、Atmega328 に書き込む」を参考にしてください。

MCP4922の出力の両電源波形化

回路図のOPアンプU1Aの回路で、MCP4922のGND~+5Vの単電源波形を-5V~GND~+5Vの両電源波形に変換できました。

LTSpiceのシミュレーション結果を示します。



実際の回路の出力を示します。


出力フィルタの製作

以前8次MFB(多重帰還)LPF用の基板を作っていたので、小細工して4次用に実装しました。定数はベッセル特性、カットオフ周波数6.25kHz、4次MFBで設計しました。

シミュレーション結果

AC解析

過渡解析(@1kHz ±1V)

回路図

8次MFB用で単電源でも使える用にした基板パターンなので、ジャンパ線をはって不要な部分をバイパスしています。


測定結果

周波数特性

過渡応答 (@1kHz ±1V)


Core基板とFilter基板を接続


サイン波拡大画像


フィルターを掛けない場合(青色)階段状の波形です。製作したフィルターを掛けると(黄色)平滑化されます。

ノコギリ波(下降)トップ


オーバーシュートが出ています。アナログ発振器でもオーバーシュートは発生します。アナログ発振器の場合さらに急激なオーバーシュートになることが多いです。


ノコギリ波(上昇)ボトム


下側にもオーバーシュートが出ます。


矩形波トップ


一番なじみがあると思います。ベッセル特性の応答です。

矩形波ボトム


アンダーシュートがなくノイズが載っています。MCP4922からの出力の最小値はGNDなのでGNDのノイズでしょうか。


2024年10月7日月曜日

ERK01x2 ユーロラック84HP2段ケースの製作

去年84HP、1段の持ち運び用ユーロラックケースを製作しました。頑丈で扱いやすいのですが、さすがに手狭になりました。タカチのサブラック用フロントレール(FFRシリーズ)とベニヤ板の木工で組むのは素人のDIYでもなんとか形になることがわかったので、同じ作戦で2段バージョンを製作しました。

今回使用した主な材料と価格を示します。


品名 メーカー 型番 単価 個数 小計
フロントレール タカチ FFR-43N 標準タイプ 2140 4 8560
バーナット タカチ BN43-M3 1290 4 5160
電源トランス RSコンポーネンツ トロイダルトランス 2x15VAC 50VA 5670 1 5670
ラワン合板 ホームセンター 900x600mm 12mm厚 3000 1 3000
水性ニス アサヒペン 透明クリア 100ml 800 2 1600

以上で23,990円(税抜)になります。他に電源用基板の製造費、部品、塗装用の消耗材、木ねじ、ナット、サンドペーパーなど細々したものが必要です。

板材はホームセンターでカットしてもらえますが精度を出して木工用ボンドで確実に接着するためには、ハタガネ、コーナークランプなどの治具が必要になります。

そして大事なことですが、必ずしも完成して実用出来るレベルに到達できるとは限りません。タカチのフロントレールはしっかりしたものなので、これだけでユーロラックケースの機能の半分は実現できます。もし木工の初心者なら、ガワはMDFで仮組してもとりあえずは実用できます。最初は欲を出さずに少しずつ試していくのが良いと思います。

私の場合は、以前からMDFで仮組していたケースに使っていたフロントレール/バーナットが手持ちにあり流用できること、自作のユーロラック・モジュールの奥行きが長い(Max.100mmあります)ため市販品ではおさまらない可能性があったことから自作することにしました。もちろん少しでもお金を節約しつつ、工作を楽しみたいというのが大きいです。

電源の製作 

ラックの機能要件は2点あります。

  1. モジュールを取り付けて操作しやすくする
  2. 各モジュールに電源を供給する

電子工作初心者は電源の重要さがわかりません。私もそうでした。そんなもん適当に電池とかACアダプタとかで間に合わせればよいではないか。と思っていました。

まあ、試作の場合はそれでも間に合うんですが、ちゃんと回路を設計して製作し、問題があれば検査して、何年にもわたって使っていくためには電源は非常に重要です。内部的には最大DC24Vで感電しても大したことにはなりませんが、元になるのはAC100Vの商用電源です。簡単に感電、発火、火災事故につながります。難易度は高いと思ってください。

電源基板 ERK01-PSU Ver.1.3

MINMAX M78AR05-1を+5V電源として使うことにして基板を起こしました。±12VはリニアレギュレータのL7812/L7912(STmicro)を使っています。

回路図

基板



電源分配コネクタ基板 ERK01_PSU_EXT Ver.1.2

以前から使っているものと同じですが、LEDの配線ミスを修正、電源基板間の配線に16Pin MILコネクタではなく5Pin XHコネクタを使うようにしました。

回路図


基板



筐体の製作

12mm厚のラワン合板をホームセンターでカットしてもらって利用しました。シナ合板の方が見た目がきれいですが、値段が2倍程度します。

材の厚さ12㎜なのでビス打ちが難しく、木工用ボンドで貼付けのみで組み立てました。MDFは木工用ボンドが効きませんが、合板は比較的しっかりと接着出来ます。しっかりと接着するためにはクランプ、ハタガネなどで圧をかける必要があります。

フロントレールにはあらかじめダミーのパネルを取り付けておきます。これが組み立ての基準になります。私はElecrowで加工してもらって汎用的に使っているアクリルパネルを使いましたが、Doepferのアルミのブランクパネルが数百円で販売されているのでそちらの方が確実だと思います。

側板にフロントレールを固定するための穴を開けます。最初図面をもとに曲尺で墨付けして穴あけしましたが、大幅にずれてしまってやりなおしました。新たに板材を購入してホームセンターでカットしてもらいました。

手作業で墨付けするのではなく、いつもやっているようにCADで原寸で製図しプリントアウト、スプレーのリで板材に接着し穴あけのガイドとしました。家にあるA4のプリンターだとはみ出してしまうので、コンビニプリントを利用してA3用紙にプリントしました。

木口にペーパーをかけて滑らかにし、濡らしたウエスできれいにして、木工用ボンドを片面に塗布、コーナークランプで直角を出し、ハタガネで圧を掛けます。この段階では底面は接着せず、仮置きしています。


上面、側面の接着が終わり、底面に置く電源部品の位置決めをし、ねじの下穴を開けました。

底面の加工が終わったら底面の接着です。


自作のモジュールがちゃんとおさまるか確認。

電源部品を実際にねじ止めして配置を確認。


ここまで加工して、塗装に移ります。木材以外はすべて取り外します。

筐体(木部)の塗装

今回は去年宣言した通り、ニス塗装を施しました。油性ニスの塗装も何度かやったことがるのですが、準備や後始末が大変です。今はマンション住まいなので汚損すると厄介なことになります。

水性ニスはアクリルニス(普通の水性ニス)とウレタンニスがあります。机や椅子など実用家具ならウレタンですが、最初は安い方から試した方が良いという個人的な経験則があるので水性(アクリル)ニスを使うことにしました。

ニスを塗装する前に、60番のペーパーで面取り、120、240、400と番手を上げてペーパーをかけました。400番までは空砥ぎぺーパーです。

塗装は1層あたり、主に上面と主に下面の2回に分けて行いました。十分乾燥させて600番の耐水ペーパーを掛けます。このときほとんど力を入れず、なでるように。湿らせたウエスでふき取って次の塗りに貼ります。ニス塗装は3回行いました。

1回目の塗装時にねじ穴部分の確認が甘く、ニスが垂れてしまいましたが、軽くペーパーをかけておけば最終的にリカバリーできました。

ニス垂れ

サンディング後2回目塗装した状態

仕上げとして、600番、1000番、2000番、4000番と番手を上げて耐水ペーパーで仕上げ砥ぎをしました。霧吹きで湿らせながら水砥ぎです。


4000番はやりすぎかと思いましたが、仕上がりの光沢が違います。

ニスを塗り重ねる場合のコツはしっかりと乾燥させることです。ニスの説明書きにおおよその乾燥時間が書かれていますが、乾燥しすぎることはありません。サンディングする前に丸一日乾燥させましょう。

塗装が終わったらフロントレールを取り付けます。ニスがねじ穴に入ってねじが通らなくなるので、ドリルで穴をきれいにします。枠が完成した状態でフロントレールを取り付けるのは難しいので、各工程で確実にフロントレールを取り付けられるように練習しながら作業を進めた方が良いでしょう。

塗装時に、ワークベンチに直接、塗装対象を置くと、下端の塗装が難しくなります。ホームセンターの端材をこまめにチェックして三角材の端材を入手しておきました。三角材を塗装対象の下に敷くと接触面積が少なく作業が捗ります。

電源の取付

フロントレールを取り付ける前に、電源を取り付けます。電線はタイラップや裏がシールになっている電線固定用のコードクリップを使って整理しました。


※フロントレールはねじ止めしていない


マスキングテープで電線の位置決め


電源配線に使った部材です。

  • 電源電線 AWG26/UL1007 5本
  • コードクリップ ELPA PE-714NH 粘着テープ付きVFF0.75~2.0mm
  • インシュロック L:80mm W:2.2mm

電源モジュール配線図

写真ではわかりませんが、カプラーの圧着時にオス・メスを間違えました。ACジャック側がメス、トランス側がオスが正しい配線です。

完成



メモ:

2段にするとレールを取り付けるのが難しくなる。少しのずれで修正不可能。レール取付用のねじ穴は正確に。

曲尺を使って墨付けをする方法ではズレが大きい。CADでドリル穴の位置を製図して、当寸でプリントしスプレーのリで板材に貼付け。

ドリルをあてる位置を正確に決める方法は試行錯誤中。ポンチを打つ時もずれる。ポンチ穴はコンマミリのズレでも最終的な穴の位置への影響は多大。

ベニヤ板でも砥の粉で目止めした方がよかったか。木口の導管の部分が荒れる。

電源スイッチのフロントパネルはPCBで製造する予定。