2020年10月30日金曜日

PCM5102Aの出力に8次多重帰還LPF(ベッセル特性/96kHz/10dB)をかけてみる その2

PCM5102A_FGの出力と8th MFB LPFを直結すると信号波形が歪むため、間にバッファとしてOPアンプのボルテージフォロアを入れて測定し直しました。


OPアンプは、アクティブフィルタ、バッファ、仮想GNDともNJM4580DDを使用しました。

ノコギリ波


100Hz

1kHz

10kHz

44kHz

入力波形の崩れがなくなり出力波形もきれいになっています。10kHzからはノコギリ波の立ち下がりの遅れがはっきりしてきます。44kHzでは1波形ごとに参照するテーブルの要素が異なるため、出力にうねりが現れています。

スペクトラム


PCM5102A_FGから44kHzの正弦波を出力し、Analog Discovery 2 + WaveFormsのSpectam機能でTHD、THD+Nを計測しました。

バッファなし

バッファあり

バッファを入れることにより歪率(正弦波)も改善するようです。

OPアンプの品種を変えてみる


OPアンプの品種を変えて、歪率が改善されるか見てみました。

アクティブフィルタ、バッファに使うOPアンプを変更し、仮想GND用のOPアンプはNJM4580DDです。

NJM4580DD

NJM072D

OPA2134PA

OPアンプの品種による歪率はあまり変わりません。44kHzあたりになるとOPアンプの性能より、PCM5102Aから出力される波形のガタガタとDDSのテーブル参照によるの出力波形の周期性などの方が問題になるようです。

2020年10月26日月曜日

PCM5102Aの出力に8次多重帰還LPF(ベッセル特性/96kHz/10dB)をかけてみる

以前作ったオーディオ用DACのPCM5102Aを使ったファンクションジェネレーター(PCM5102A_FG)の出力に8次多重帰還LPFをかけてみました。

PCM5102A_FG

設計


PCM5102A_FGは32bit/384kHzですが、出力波形はもろにデジタルのガタガタが現れています。


PCM5102A_FGは波形テーブルを使っているので、正弦波だけではなくプログラム次第で任意の波形を出力できます。過渡特性を良くして波形を崩さないようにベッセル特性で設計しました。

サンプリングレートが384kHzなので半分の192kHzより上を遮断域にすればよいのですが、ベッセル特性は次数を上げてもカットオフ周波数付近のキレが悪いので、今回は様子見としてカットオフ周波数96kHzにしました。

また、PCM5102Aの出力振幅は2.1[VRMS]ですので、使いやすいように利得を10dBとしました。単純計算では6.3[VRMS]の出力となります。

シミュレーション回路図

周波数特性

192kHzでは約-17dBの減衰です。(利得10dBから見て)

ステップ応答

特性の実測


製作した基板

仮想GNDを使って単三電池x6の9Vの単電源を電源としています。OPアンプはNJM4580DDを使用しています。

周波数特性

ステップ応答

PCM5102A_FGの出力にかける



フィルターに10dBの利得があるため、直結すると電源電圧の制限で出力がクリップしてしまうので、途中に10kΩのPOTを入れて出力を減衰させました。

フィルターを通したあともPCM5102A_FGの出力と同じ振幅になるようにPOTを調節しています。

また、今まで使っていた4次VCVS LPF(バターワース特性)も同じ条件で測定しました。

出力周波数は少し意地悪して44kHzとしています。

PCM5102Aの生の出力

4次VCVS LPF

8次MFB LPF


8次MFB LPFでは4次VCVS LPFと比較しても歪さが取れてきれいな正弦波になっています。

スペクトラム


PCM5102Aの生の出力

4次VCVS LPF

8次MFB LPF

高周波数でのピークがかなり取れています。Measure機能でTHDとTHD+Nを%表示させていますが、8次MFB_LPFでは

THD:     0.0843%
THD+N: 1.313%

とかなり良好だと思います。デジタル歪は高調波歪(基本周波数の整数倍)とは限らないのでTHD+Nの値も重要です。

今回はカットオフ周波数96kHzとしましたが、100kHz付近にまだピークがみられます。これは高調波歪のようです。

ノコギリ波


100Hz、1kHz、10kHz、44kHzのノコギリ波を出力して8次MFB LPFを通してみました。

100Hz


1kHz

10kHz

44kHz


ノコギリ波の底の部分で波形が歪んでいます。入力側も歪んでいるのでフィルターに入力する前にバッファを入れれば改善するかも知れません。(←淡い期待)

いずれにせよ、高周波数になると素の波形がはっきりと階段状になってくるので、ノコギリ波では10kHzぐらいが上限だと思います。

この点、アナログ発振器は小細工しなくてもきれいなノコギリ波を得られるので有利だと思います。

 

2020年10月23日金曜日

OPアンプ比較 周波数特性とステップ応答 低電圧品

低電圧駆動のOPアンプの特性を比較しました。最大電源電圧に制限があるため、電源電圧を±2.5Vに下げて測定しました。


NJM4580DD 参考
NJM2732D フルスイング
AD8532A フルスイング
NJM2137D 高速・超広帯域
TDA1308 ステレオヘッドホンアンプ

TDA1308は製品区分としてはヘッドホンアンプICとなっていますが、普通のDual Opampと同等の動作をします。

非反転増幅回路で、帰還抵抗は18kΩ:2kΩで利得20dB、負荷抵抗RL=2kΩとして測定しました。

電源はAnalog Disocovery 2のSupplyから±2.5Vを出力しています。

周波数特性


Analog Disocovery 2のNetwork機能を使っています。20dBの利得なので出力が振り切れないよう、入力は±100mVppとしています。

NJM4580DD

NJM2732D

AD8532A

NJM2137D

TDA1308


ステップ応答


Analog Disocovery 2のWavegen機能とScope機能を使っています。Wavegenで100kHz/±100mVppの矩形波を入力しています。

NJM4580DD

NJM2732D

AD8532A

NJM2137D

TDA1308

高速、超広帯域のNJM2137DはLME49720に特性の傾向が似ていますね。
 

2020年10月19日月曜日

OPアンプ比較 周波数特性とステップ応答 4558系 5532系 BJT入力

FET入力のOPアンプに続いて、BJT入力のOPアンプの特性を比較しました。


OPアンプの系統については、秋月のWebサイトに掲載されている系譜図を参考にさせていただきました。

4558系

NJM4558D         NJR
NJM4556AD NJR
NJM4580D         NJR
NJM4580DD NJR
NJM2068D         NJR
uPC4570C         NEC

5532系

NE5532P         TI
NJM5532DD NJR
NJM2114DD NJR

その他BJT入力

MUSES8820 NJR
LME49720NA TI

FET系のときと同じく、非反転増幅回路で、帰還抵抗は18kΩ:2kΩで利得20dB、負荷抵抗RL=2kΩとして測定しました。

電源はAnalog Disocovery 2のSupplyから±5Vを出力しています。

周波数特性


Analog Disocovery 2のNetwork機能を使っています。20dBの利得なので出力が振り切れないよう、入力は±100mVppとしています

NJM4558D

NJM4556AD

NJM4580D

NJM4580DD

NJM2068D

uPC4570C

NE5532P

NJM5532DD

NJM2114DD

MUSES8820

LME49720NA


ステップ応答


Analog Disocovery 2のWavegen機能とScope機能を使っています。Wavegenで100kHz/±100mVppの矩形波を入力しています。

NJM4558D

NJM4556AD

NJM4580D

NJM4580DD

NJM2068D

uPC4570C

NE5532P

NJM5532DD

NJM2114DD

MUSES8820

LME49720NA


LME49720NAは周波数特性、ステップ応答とも非常に優れています(広帯域、高速)が、ステップ応答の天井と底にノイズのような波形が重畳しているのが気になります。以前LME49720を使ってノイズに悩まされたことがあったので、なにか関係があるのかも知れません。