2018年5月31日木曜日

MIX0401_TrialをFFTしてみました。

MIX0401のテスト用にMIXしたものをWaveSpectraでFFTしてXSplitで録画/録音してみました。


後半は勢いでMIX0401のMaster Levelを上げているので波形がはっきりと歪んでいます。オーディオ・インターフェイスへの入力が過大だったためだと思います。
EDMとしてはこれはこれで(^q^;

20kHzあたりに発振と思われるピークが強烈に出ているときがあります。Xsplitで録音しているので音としてはわからないと思いますがどうなんでしょう。

トランジスタ・ラダー・フィルターの実験 その3

カットオフ周波数を決める電流源I1を実際のデバイスにしてシミュレーションしました。

具体的には抵抗1本で置き換えました。

自作の可変電流源は使用不可


最初は自作の可変電流源を使おうと思っていたのですが、この電流源は吐き出し型です。

可変電流源の回路図

VCCからR4、T3、T4を通してJP5に電流を吐き出します。

トランジスタ・ラダーの電流源は回路図の通り、吸い込み型である必要があります。

可変電流源の回路図のJP5に電流値を決める抵抗を挿入して、R4のTR4のエミッタ側を出力とすれば、吸い込み型の電流源になりそうですが、テストがめんどくさいので、一旦抵抗1本を簡易的な定電流源として実験することにします。

<追記:2018.06.05>

R4のTR4のエミッタ側を出力としても吐き出し型にならないです。T3、T4をNPNに変更する必要があります。

参考「JFETを使った可変電流源

</追記>

電源電圧


今まではトランジスタ・ラダー回路の電源電圧を±12Vでシミュレーションしていましたが、BSM02の電源は±9Vなので、今後は電源電圧を±9Vとします。

コントロール電流を決めるRi=1kΩ、フィードバック量を決めるR14=10Ωに固定してシミュレーションしました。

シミュレーション回路図 ±12V電源

シミュレーション回路図 ±9V電源

Q1~Q10のベースに加える電圧は、±9V電源では±12V電源の2/3程度になります。

各部の電位 ±12V電源

各部の電位 ±9V電源

V1~V5は1V電位差があればいいのですが、V5は+1.5Vになるので問題が出るかもしれないので、V5が+2Vになるように値を調整したほうがいいかもしれません。

AC解析 ±12V電源

AC解析 ±9V電源

±12V電源の場合はカットオフ周波数fc=3kHz付近、±9V電源の場合はfc=2kHz付近になりました。

1kHz/1Vp-pのノコギリ波を入力して応答をシミュレーションしました。

過渡解析 ±12V電源

過渡解析 ±9V電源

過渡解析でも、±12V電源の方が振動が多く出ています。

カットオフ周波数をコントロール


コントロール電流を決めるRiの値を1kΩ~100kΩにしてパラメータ解析しました。Rq=100Ωで固定。

シミュレーション回路図

コントロール電流

入力信号につられて、コントロール電流I(R15)が変化していますが、おおよそ10uA~1mA程度でI(R15)が変化しています。

AC解析

カットオフ周波数は200Hz(Rq=100kΩ/暗青の線)~20kHz(Rq=1kΩ/緑の線)で変化しています。

過渡解析

1kHz/1Vp-pのノコギリ波を入力して応答を見ました。Rqの値によって振幅が変化しています。Ri=1kΩ(緑の線)のときコントロール電流I(R15)が最大で、カットオフ周波数が最高になり、振幅が最大になります。また、振動も現れています。

Q値(レゾナンス)をコントロール


Q値を決めるRqの値を1Ω~10kΩにしてパラメータ解析しました。Ri=1kΩで固定。

シミュレーション回路図

AC解析

Rq=100Ω(赤の線)のときピークが最大になっています。Rq=1Ω(緑の線)、Rq=10Ω(青の線)の時はフィードバック量が多く、通過域で-6dB程度まで低下していて、位相も反転しています。

過渡解析

1kHz/1Vp-pのノコギリ波を入力して応答を見ました。Rq=10kΩ(マゼンタの線)の時、フィードバック量最小で振動は現れてません。Rq=1Ω(緑の線)の時、フィードバック量最大で振動が多く現れています。

デバイスを実際のものに置き換えたので、次回はブレッドボードで実験したいと思います。

2018年5月29日火曜日

トランジスタ・ラダー・フィルターの実験 その2

前回抽象化してシミュレーションした回路を実際のデバイスに置き換えてしてシミュレーションしました。

直流電圧源を抵抗による分圧、eコンポーネント(Voltage dependent voltage source)をOPAMPの差動アンプに変更しました。

なお、カットオフ周波数をコントロールする電流源はcurrentコンポーネントのままです。

カットオフ周波数をコントロール


シミュレーション回路図

NPNトランジスタは2SC1815にしました。

R2+R3+R4+R5+R6+R7=1.19kΩで、電源電圧VCC=12VなのでV1~V5の各ポイントの電位はおおよそ抵抗値÷100となり計算しやすいと思います。

信号源V1はGNDから+2V浮かせる必要がありますが、C7でACカップリングしてV5(約+2V)でバイアスをかけています。

Q1、Q2のエミッタがトランジスタ・ラダーの出力で、MiniMoogやAnalog2.0では後段にディスクリートの差動増幅回路を使っていますが、簡単にするためにOPAMPの差動アンプをつかっています。もっとしっかりと組むためにはOPAMPを3つ使ったインスツルメンテーション・アンプにした方がいいかもしれません。

U1周りの差動アンプの増幅率は、R12 / R10 = R13 / R11 = 100kΩ / 4.7kΩ ≒ 21.3(≒26.6dB)です。

Q値を決めるフィードバックはC1でACカップリングした後、R14(Rq)とR1の分圧によってフィードバック量を調整しています。

周波数コントロールをみるために、Rq=1kΩでフィードバック量を固定して、周波数をコントロールするI1(Ictrl)を10uA~1mAにしてパラメータ解析しました。

AC解析

Ictrl=10uAのとき(緑の線)、カットオフ周波数fc=200Hz付近、Ictrl=1mAのとき(マゼンタの線)20kHz付近でカットオフ周波数が変化しています。Rq=1kΩに固定していますが、カットオフ周波数が高くなるほどQが大きくなっています。

位相をみると、Ictrl=1mAのとき位相が反転していて、出力波形があやしくなりそうです。

V1~V5の電位

V5が+2.0V(線が重なって見にくくなっています)、その上は+1.5Vずつ増加しています。

Q9とQ10のベース電位V(vb9)、V(vb10)とも約+2Vのバイアスがかかっています。

過渡解析

1kHz/1Vp-pのノコギリ波を入力して応答を見ました。

Ictrlの値によって出力振幅が変化し、Ictrl=1mAのとき(マゼンタの線)発振波形があらわれています(^q^/

シンセの出音で言うとこのあたりから「ギョーン」とか「ギョギョギョギョ」といった感じになってくると思います。

Q値(レゾナンス)をコントロール


シミュレーション回路図

こんどはIctrl=500uAに固定して、フィードバック量(Q値)を決めるRqを10Ω~10kΩでパラメーター解析しました。

AC解析

カットオフ周波数fc=10kHz~15kHz付近でQ値が変化しています。Rqが小さいほどフィードバック量が多くなります。Rq=1kΩのとき(赤色の線)もっとも鋭くなっていて、Rq=100Ωのとき(青色の線)、Rq=10Ωのとき(緑色の線)はピークが小さくなって振幅も小さくなり位相も反転しています。

過渡解析

1kHz/1Vp-pのノコギリ波を入力して応答を見ました。

Rq=10kΩのとき(シアンの線)はフィードバック量が最小で振動があらわれていません。Rq=1kΩのとき(赤色の線)よりRqの値が小さくなると出力に派手に振動があらわれています。←緑の線がフィードバック量最大。

過渡解析(フィードバック)

下側のペインのV(vb12)はQ12のベース電位でRq=10Ωのとき(緑色の線)が一番フィードバック量が多く、出力と同様に振動があらわれています。

2018年5月27日日曜日

トランジスタ・ラダー・フィルターの実験

以前から作ってみたかったラダーフィルターの実験です。

最初にやみくもに実験したのは2014年4月21日なので、4年越しです(^q^;

参考にしたのは

「gaje.jp」さんの「Analog2.0
「達人と作るアナログシンセサイザー自作入門」(Analog2.0の解説書)
Tim Stinchcombe」さんの「Analysis of the Moog Transistor Ladder and Derivative Filters
Scott Bernardi」さんの「Moog Ladder Filter(og3)」です。


トランジスタではなくダイオードを使ったダイオード・ラダーもありますが、Analog2.0で使われているトランジスタ・ラダー回路をもとに実験してみたいと思います。

いずれにせよ、ディスクリート回路で規模が大きいので一歩一歩やっていきたいと思います。

動作原理


Analysis of the Moog Transistor Ladder and Derivative Filters」に載っている回路をシミュレーションしました。

Voltage Control(電圧制御)の4次LPFとして使うつもりでいますが、基本部分はCurrent Control(電流制御)の4次LPFです。

カットオフ周波数をコントロール


シミュレーション回路図

実際の回路では各部の電圧は抵抗による分圧で作りますが、シミュレーションでは直流電圧源に置き換えています。出力はQ1とQ2のエミッタ電位の差分なので差動増幅回路を使いますが、spiceのeコンポーネント(Voltage dependent voltage source)のE1で置き換えています。

出力をC1とR1でACカップリングしてQ11、Q12の差動入力ペアのQ12のベース側にフィードバックしていて、このフィードバック量によってQ値が変化します。電流源I1の値(Ictrl)によるカットオフ周波数の変化を見るために、E1の増幅率は3に固定しています。←Q値は一定になります。

ラダー・フィルターのカットオフ周波数は電流源I1の電流値Ictrlで決まるので、Ictrlを10uA~500uAにしてパラメーター解析しました。

AC解析

カットオフ周波数(-3dBのポイントorピーク)は、Ictrlが10u(緑色の線)が60Hz付近~500uA(グレーの線)が10kHz付近で変化しています。フィードバック量は同じですが、カットオフ周波数が高いほどQ値が上がっています。これは帰還に入れているACカップリング用のC1の影響です。

「Analysis of the Moog Transistor Ladder and Derivative Filters」の回路図のようにACカップリングの影響を少なくするためにCq=1Fとして(実際にはほぼあり得ない値ですが(^q^;)シミュレーションすると下図のようになります。


<追記:2018.06.03>

Cqの値を「1ファラド」にするつもりで、「1F」と書いてシミュレーションしましたが、Spiceでは1Fは「1フェムト」と解釈されるようです。Cqの値に単位をつけず「1」にしてAC解析すると下図のようになりました。


「1フェムト」だと低周波数だとほぼ絶縁でフィードバックがかかっていないことになります。

Spiceでは「1メガ」のつもりで「1M」と書くと「1ミリ」と解釈されるので「1Meg」と書かなければならないのは有名ですが、ファラド/フェムトは盲点でした。

</追記>

過渡解析 (Cq=0.1uF)

100Hz/1Vp-pのノコギリ波を入力しています。入力信号V(in)はV7によって+2VのバイアスがかかってQ11のベースに入力されています。

出力V(out)はカットオフ周波数の変化によって振幅が減衰しています。Ictrl=10uAのとき(緑色の線)はカットオフ周波数fc=60Hz付近のため、出力振幅はほとんどありません。Ictrl=500uAのとき(グレーの線)はfc=10kHz付近なので振幅が大きくなります。

Q値(レゾナンス)をコントロール


シミュレーション回路図

同じ回路でE1の増幅率Aq(フィードバック量)を変化させてQ値の変化をシミュレーションしました。Aq=3~Aq=6。

シンセのフィルタではQ値をレゾナンスと表記されている場合が多いようです。最初はよくわからなかったし、今でもインダクタのQ値との違いはよく分かっていません(^q^;

AC解析

カットオフ周波数付近でQ値が変化しています。Aq=4(青色の線)でピークが一番鋭くなっていて、それ以上(赤、シアンの線)ではかえってピークが小さくなっています。位相をみると赤色の線で位相が反転しています。

おそらくこのあたりであやしい波形が出てくると思います。

過渡解析

AC解析ではピークが変化しましたが、過渡解析でははっきりとわかりません。増幅率Aqを変えているので出力の振幅が変わっているだけのようにも見えます(@@?

メモ:

「Analysis of the Moog Transistor Ladder and Derivative Filters」もちゃんと読んでいないし(伝達関数やボルツマン定数が出てくると途端に読む気がなくなる…)、細かいところはよくわかりません。

しかし、よくもまあ、こんな複雑な回路を考案した上に安定して動作させているとは驚愕です。

上手くいくかどうかわかりませんが、習うより慣れろで引き続き実験したいと思います。

2018年5月25日金曜日

ダイオード・リミッターの実験 シリコン、ショットキー、ツェナーの比較

ダイオードは半導体の中でも最もプリミティブで、電流を一方向にしか流れなくするデバイスです。

でも、その原理を考え出すと夜も眠れなくなります(^q^;

シリコンは順方向で0.6Vぐらいの電圧降下、ショットキーはシリコンより電圧降下が少なくてスイッチング速い、ツェナーは逆方向で使って品種によっていろいろな電圧を作り出せる。というぐらいの認識でいます。

「回路の素101」にダイオードを使ったリミッターがいくつか紹介されているので、LTSpiceでシミュレーションしつつ実験してみました。


シリコン・ダイオード


シリコン・ダイオードの整流作用と電圧降下を利用して、正負の振幅を制限する回路です。

シミュレーション回路図

負側はGND、正側はVREF(+1V)のレールで振幅を制限します。入力は5Vp-pのサイン波で、シリコン・ダイオードの順方向の電圧降下によって、負側は-0.6V、正側は1.6V程度で振幅が制限されます。

ダイオードは小信号ダイオードの1N4148を使いました。

過渡解析

ブレッドボード配線図


+1VのVREFは100Ωのトリマで分圧して作りました。実測値VREF=1.028V。

オシロで測定

ch1:IN ch2:OUT

1kHz/5Vp-pのサイン波(-2.5V~+2.5V)を入れて、シリコン・ダイオードのリミッターで+1.68V~-0.68Vで振幅が制限されています。

ショットキー・ダイオード


シリコン・ダイオードと同じ回路ですが、より0V~1Vに近い振幅で制限されます。実験は1S4を使いました。1S4はLTSpiceにモデルがないのでシミュレーションはショットキーの1N5817で代用しました。

シミュレーション回路図

過渡解析

シリコン・ダイオードよりGND~+1Vに近い振幅で制限されています。

ブレッドボード配線図


+1VのVREFは100Ωのトリマで分圧して作りました。実測値VREF=1.016V。

オシロで測定

ch1:IN ch2:OUT

1kHz/5Vp-pのサイン波(-2.5V~+2.5V)を入力して、ショットキー・バリア・ダイオードのリミッターで+1.28V~-0.24Vで振幅が制限されています。

入力信号は±2.5Vp-pなのでの1.7Vrmsとして 1.7Vrms / 1kΩ = 1.7mA 流して0.25V~0.3Vの電圧降下といったところでしょうか。

ツェナー


ツェナーダイオード1本で正負両方の振幅を制限する回路です。正側はツェナー降伏(とかなんとか)、負側はダイオードの順方向の電圧降下によるものです。

モデルは(たぶん)トラ技の付録についてたSpiceモデルのEDZV3Bで、BvとVpkの値を1.8に変更して使いました。

シミュレーション回路図

過渡解析

-0.78V~+1.79V程度で振幅が制限されています。

ブレッドボード配線図


オシロで測定

ch1:IN ch2:OUT

1.8Vが定格のツェナーを使いました。型番は不明。

出力は-0.76V~+1.48Vの振幅です。1.8Vのツェナーと言っても流す電流によって電圧は変わります。PANJITのGDZJシリーズのデーターシートを見ると5mA流した時の電圧を定格としているようです。

ツェナー2個


ツェナーダイオード2本で正負両方の振幅を制限する回路です。

シミュレーション回路図

過渡解析

シミュレーションではリミッターが効いてません(@@?

ブレッドボード配線図


オシロで測定

ch1:IN ch2:OUT

実験すると-2.0V~+2.0Vの振幅で制限されています。

メモ:

ダイオードのリミッターと言ってもいろいろと効き方が違うもんだな~と思いました。ツェナーは効き方が丸くなっていて音楽信号を通すと面白いかも?