2018年5月29日火曜日

トランジスタ・ラダー・フィルターの実験 その2

前回抽象化してシミュレーションした回路を実際のデバイスに置き換えてしてシミュレーションしました。

直流電圧源を抵抗による分圧、eコンポーネント(Voltage dependent voltage source)をOPAMPの差動アンプに変更しました。

なお、カットオフ周波数をコントロールする電流源はcurrentコンポーネントのままです。

カットオフ周波数をコントロール


シミュレーション回路図

NPNトランジスタは2SC1815にしました。

R2+R3+R4+R5+R6+R7=1.19kΩで、電源電圧VCC=12VなのでV1~V5の各ポイントの電位はおおよそ抵抗値÷100となり計算しやすいと思います。

信号源V1はGNDから+2V浮かせる必要がありますが、C7でACカップリングしてV5(約+2V)でバイアスをかけています。

Q1、Q2のエミッタがトランジスタ・ラダーの出力で、MiniMoogやAnalog2.0では後段にディスクリートの差動増幅回路を使っていますが、簡単にするためにOPAMPの差動アンプをつかっています。もっとしっかりと組むためにはOPAMPを3つ使ったインスツルメンテーション・アンプにした方がいいかもしれません。

U1周りの差動アンプの増幅率は、R12 / R10 = R13 / R11 = 100kΩ / 4.7kΩ ≒ 21.3(≒26.6dB)です。

Q値を決めるフィードバックはC1でACカップリングした後、R14(Rq)とR1の分圧によってフィードバック量を調整しています。

周波数コントロールをみるために、Rq=1kΩでフィードバック量を固定して、周波数をコントロールするI1(Ictrl)を10uA~1mAにしてパラメータ解析しました。

AC解析

Ictrl=10uAのとき(緑の線)、カットオフ周波数fc=200Hz付近、Ictrl=1mAのとき(マゼンタの線)20kHz付近でカットオフ周波数が変化しています。Rq=1kΩに固定していますが、カットオフ周波数が高くなるほどQが大きくなっています。

位相をみると、Ictrl=1mAのとき位相が反転していて、出力波形があやしくなりそうです。

V1~V5の電位

V5が+2.0V(線が重なって見にくくなっています)、その上は+1.5Vずつ増加しています。

Q9とQ10のベース電位V(vb9)、V(vb10)とも約+2Vのバイアスがかかっています。

過渡解析

1kHz/1Vp-pのノコギリ波を入力して応答を見ました。

Ictrlの値によって出力振幅が変化し、Ictrl=1mAのとき(マゼンタの線)発振波形があらわれています(^q^/

シンセの出音で言うとこのあたりから「ギョーン」とか「ギョギョギョギョ」といった感じになってくると思います。

Q値(レゾナンス)をコントロール


シミュレーション回路図

こんどはIctrl=500uAに固定して、フィードバック量(Q値)を決めるRqを10Ω~10kΩでパラメーター解析しました。

AC解析

カットオフ周波数fc=10kHz~15kHz付近でQ値が変化しています。Rqが小さいほどフィードバック量が多くなります。Rq=1kΩのとき(赤色の線)もっとも鋭くなっていて、Rq=100Ωのとき(青色の線)、Rq=10Ωのとき(緑色の線)はピークが小さくなって振幅も小さくなり位相も反転しています。

過渡解析

1kHz/1Vp-pのノコギリ波を入力して応答を見ました。

Rq=10kΩのとき(シアンの線)はフィードバック量が最小で振動があらわれていません。Rq=1kΩのとき(赤色の線)よりRqの値が小さくなると出力に派手に振動があらわれています。←緑の線がフィードバック量最大。

過渡解析(フィードバック)

下側のペインのV(vb12)はQ12のベース電位でRq=10Ωのとき(緑色の線)が一番フィードバック量が多く、出力と同様に振動があらわれています。

0 件のコメント:

コメントを投稿