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2018年6月3日日曜日

トランジスタ・ラダー・フィルターの実験 その4

ブレッドボードで回路を組んで実験してみました。

回路図

ブレッドボード配線図

NPN Trは2SC1815で、AVRトランジスタテスタでVbeを測定して選別して使用しました。

ブレッドボード配線図にある通り、Q1、Q2のペアがVbe=628mV、Q3~Q8のペアがVbe=681mV、Q9、Q10のペアが680mVです。

OPAMPはTL072を使用。

各部の電位の測定


Ri=1kΩ Rq=1kΩにしてPCM5102Aファンクションジェネレータ+4次バターワースLPFで1kHz/1Vp-pのノコギリ波を入力しつつ、各部の電位を測定しました。

シミュレーション

電源電圧: +9.07V / -9.10V

測定値(OWON B35/mV/DCモード)

VCC(R2(390Ω)のVCC側) 9.03V
V1 6.07V
V2 4.918V
V3 3.765V
V4 2.658V
V5 1.50V程度 (値がふらつく)

VB11

ch1:IN ch2:VB11

V(中心値) 1.493V

VB12

ch1:IN ch2:VB12

V(中心値) 1.494V

各部の電位はシミュレーションと合致しています。

Qコントロールを測定


1kHz/1Vp-pのノコギリ波を入力して応答を見ました。

Riを1kΩに固定してRqを10Ω、100Ω、1kΩ、10kΩに変更し、フィードバック量を変化→Q値をコントロールするようすを測定しました。Rqの値が大きいほどフィードバック量が少なくなります。

シミュレーション

Ri=1kΩ Rq=10kΩ

ch1:IN ch2:OUT

Ri=1kΩ Rq=1kΩ

ch1:IN ch2:OUT

Ri=1kΩ Rq=100Ω

ch1:IN ch2:OUT

Ri=1kΩ Rq=10Ω

ch1:IN ch2:OUT

Rqの値が小さく、フィードバック量が多くなるほど振動が多くなるのはシミュレーションと合致しています。

シミュレーションより振動(フィードバック量が多い場合は発振と言っていいと思います)が多く出ていますが、許容範囲内かな~と思います。

カットオフ周波数コントロールの測定


1kHz/1Vp-pのノコギリ波を入力して応答を見ました。

Rqを100Ωに固定してRiを1kΩ、4.7Ω、10kΩ、47kΩに変更し、コントロール電流を変化→カットオフ周波数をコントロールするようすを測定しました。Riの値が大きいほどコントロール電流が小さくなり、カットオフ周波数が下がります。

シミュレーション

Ri=1kΩ Rq=100Ω

ch1:IN ch2:OUT

Ri=4.7kΩ Rq=100Ω

ch1:IN ch2:OUT

Ri=10kΩ Rq=100Ω

ch1:IN ch2:OUT

Ri=47kΩ Rq=100Ω

ch1:IN ch2:OUT

Riの値が大きくなりコントロール電流が減少→カットオフ周波数が低くなると出力振幅が小さくなり、振動も少なくなっています。

AC特性の測定


WaveGene+WaveSpectaで周波数特性を測定しましたが、ピークがうまく現れませんでした。

シミュレーション

Ri=1kΩ(緑の線)~Ri=100kΩ(暗青の線)でstep octでシミュレーション。

Ri=1kΩ Rq=100Ω

Ri=4.7kΩ Rq=100Ω

Ri=10kΩ Rq=100Ω

周波数特性のピークは現れませんが、Riの値(コントロール電流値)によってカットオフ周波数はコントロールできているようです。

サイン波を入力


PCM5102Aファンクションジェネレータ+4次バターワースLPFでサイン波を出力してオシロで観測すれば周波数特性を測定できるかと思ったのですが、測定方法がよくわかりません。

入力はサイン波ですが、出力は振動が出てしまうのでどの値を測定すればいいのか(@@;

一応、オシロのMeasureでVp-p(Vp)とVrms(Vk)も表示させておきました。

Ri=1kΩ
Rq=1kΩ

100Hz

ch1:IN ch2:OUT (以下同)

200Hz

500Hz

700Hz

1kHz

3kHz

Rq=100Ωにしてフィードバック量を増やすと出力が発振します。

ch1:IN ch2:OUT

メモ:


測定の正確さではなく、音にしたときどう聞こえるかがメインのテーマなので、実際に音を出す方向で作戦を考えたいと思います。

2018年5月31日木曜日

トランジスタ・ラダー・フィルターの実験 その3

カットオフ周波数を決める電流源I1を実際のデバイスにしてシミュレーションしました。

具体的には抵抗1本で置き換えました。

自作の可変電流源は使用不可


最初は自作の可変電流源を使おうと思っていたのですが、この電流源は吐き出し型です。

可変電流源の回路図

VCCからR4、T3、T4を通してJP5に電流を吐き出します。

トランジスタ・ラダーの電流源は回路図の通り、吸い込み型である必要があります。

可変電流源の回路図のJP5に電流値を決める抵抗を挿入して、R4のTR4のエミッタ側を出力とすれば、吸い込み型の電流源になりそうですが、テストがめんどくさいので、一旦抵抗1本を簡易的な定電流源として実験することにします。

<追記:2018.06.05>

R4のTR4のエミッタ側を出力としても吐き出し型にならないです。T3、T4をNPNに変更する必要があります。

参考「JFETを使った可変電流源

</追記>

電源電圧


今まではトランジスタ・ラダー回路の電源電圧を±12Vでシミュレーションしていましたが、BSM02の電源は±9Vなので、今後は電源電圧を±9Vとします。

コントロール電流を決めるRi=1kΩ、フィードバック量を決めるR14=10Ωに固定してシミュレーションしました。

シミュレーション回路図 ±12V電源

シミュレーション回路図 ±9V電源

Q1~Q10のベースに加える電圧は、±9V電源では±12V電源の2/3程度になります。

各部の電位 ±12V電源

各部の電位 ±9V電源

V1~V5は1V電位差があればいいのですが、V5は+1.5Vになるので問題が出るかもしれないので、V5が+2Vになるように値を調整したほうがいいかもしれません。

AC解析 ±12V電源

AC解析 ±9V電源

±12V電源の場合はカットオフ周波数fc=3kHz付近、±9V電源の場合はfc=2kHz付近になりました。

1kHz/1Vp-pのノコギリ波を入力して応答をシミュレーションしました。

過渡解析 ±12V電源

過渡解析 ±9V電源

過渡解析でも、±12V電源の方が振動が多く出ています。

カットオフ周波数をコントロール


コントロール電流を決めるRiの値を1kΩ~100kΩにしてパラメータ解析しました。Rq=100Ωで固定。

シミュレーション回路図

コントロール電流

入力信号につられて、コントロール電流I(R15)が変化していますが、おおよそ10uA~1mA程度でI(R15)が変化しています。

AC解析

カットオフ周波数は200Hz(Rq=100kΩ/暗青の線)~20kHz(Rq=1kΩ/緑の線)で変化しています。

過渡解析

1kHz/1Vp-pのノコギリ波を入力して応答を見ました。Rqの値によって振幅が変化しています。Ri=1kΩ(緑の線)のときコントロール電流I(R15)が最大で、カットオフ周波数が最高になり、振幅が最大になります。また、振動も現れています。

Q値(レゾナンス)をコントロール


Q値を決めるRqの値を1Ω~10kΩにしてパラメータ解析しました。Ri=1kΩで固定。

シミュレーション回路図

AC解析

Rq=100Ω(赤の線)のときピークが最大になっています。Rq=1Ω(緑の線)、Rq=10Ω(青の線)の時はフィードバック量が多く、通過域で-6dB程度まで低下していて、位相も反転しています。

過渡解析

1kHz/1Vp-pのノコギリ波を入力して応答を見ました。Rq=10kΩ(マゼンタの線)の時、フィードバック量最小で振動は現れてません。Rq=1Ω(緑の線)の時、フィードバック量最大で振動が多く現れています。

デバイスを実際のものに置き換えたので、次回はブレッドボードで実験したいと思います。

2018年5月29日火曜日

トランジスタ・ラダー・フィルターの実験 その2

前回抽象化してシミュレーションした回路を実際のデバイスに置き換えてしてシミュレーションしました。

直流電圧源を抵抗による分圧、eコンポーネント(Voltage dependent voltage source)をOPAMPの差動アンプに変更しました。

なお、カットオフ周波数をコントロールする電流源はcurrentコンポーネントのままです。

カットオフ周波数をコントロール


シミュレーション回路図

NPNトランジスタは2SC1815にしました。

R2+R3+R4+R5+R6+R7=1.19kΩで、電源電圧VCC=12VなのでV1~V5の各ポイントの電位はおおよそ抵抗値÷100となり計算しやすいと思います。

信号源V1はGNDから+2V浮かせる必要がありますが、C7でACカップリングしてV5(約+2V)でバイアスをかけています。

Q1、Q2のエミッタがトランジスタ・ラダーの出力で、MiniMoogやAnalog2.0では後段にディスクリートの差動増幅回路を使っていますが、簡単にするためにOPAMPの差動アンプをつかっています。もっとしっかりと組むためにはOPAMPを3つ使ったインスツルメンテーション・アンプにした方がいいかもしれません。

U1周りの差動アンプの増幅率は、R12 / R10 = R13 / R11 = 100kΩ / 4.7kΩ ≒ 21.3(≒26.6dB)です。

Q値を決めるフィードバックはC1でACカップリングした後、R14(Rq)とR1の分圧によってフィードバック量を調整しています。

周波数コントロールをみるために、Rq=1kΩでフィードバック量を固定して、周波数をコントロールするI1(Ictrl)を10uA~1mAにしてパラメータ解析しました。

AC解析

Ictrl=10uAのとき(緑の線)、カットオフ周波数fc=200Hz付近、Ictrl=1mAのとき(マゼンタの線)20kHz付近でカットオフ周波数が変化しています。Rq=1kΩに固定していますが、カットオフ周波数が高くなるほどQが大きくなっています。

位相をみると、Ictrl=1mAのとき位相が反転していて、出力波形があやしくなりそうです。

V1~V5の電位

V5が+2.0V(線が重なって見にくくなっています)、その上は+1.5Vずつ増加しています。

Q9とQ10のベース電位V(vb9)、V(vb10)とも約+2Vのバイアスがかかっています。

過渡解析

1kHz/1Vp-pのノコギリ波を入力して応答を見ました。

Ictrlの値によって出力振幅が変化し、Ictrl=1mAのとき(マゼンタの線)発振波形があらわれています(^q^/

シンセの出音で言うとこのあたりから「ギョーン」とか「ギョギョギョギョ」といった感じになってくると思います。

Q値(レゾナンス)をコントロール


シミュレーション回路図

こんどはIctrl=500uAに固定して、フィードバック量(Q値)を決めるRqを10Ω~10kΩでパラメーター解析しました。

AC解析

カットオフ周波数fc=10kHz~15kHz付近でQ値が変化しています。Rqが小さいほどフィードバック量が多くなります。Rq=1kΩのとき(赤色の線)もっとも鋭くなっていて、Rq=100Ωのとき(青色の線)、Rq=10Ωのとき(緑色の線)はピークが小さくなって振幅も小さくなり位相も反転しています。

過渡解析

1kHz/1Vp-pのノコギリ波を入力して応答を見ました。

Rq=10kΩのとき(シアンの線)はフィードバック量が最小で振動があらわれていません。Rq=1kΩのとき(赤色の線)よりRqの値が小さくなると出力に派手に振動があらわれています。←緑の線がフィードバック量最大。

過渡解析(フィードバック)

下側のペインのV(vb12)はQ12のベース電位でRq=10Ωのとき(緑色の線)が一番フィードバック量が多く、出力と同様に振動があらわれています。