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2024年8月7日水曜日

5V 1A DC-DCコンバータ ROHM BP5293-50とMinmax M78AR05-1

15Vのトランス出力を、リニアレギュレータ(7805)で5Vに降圧・安定化しようとすると発熱が大きすぎて実用的ではありません。

秋月では5Vで1A出力できるDC-DCコンバータとして、いくつかの販売されています。以下2種の出力品質を比較してみました。
  • ROHM BP5293-50 (販売価格:240円)
  • Minmax M78AR05-1 (販売価格:730円)
秋月の販売価格で約3倍の価格差があります。

トランスは共立のトロイダルトランスHDB-30(L)(0-15V 1A/0-15V 1A)、整流はERK_PSU(参考「ERK_PSU_DEV 実験用±12V/+5V電源の製作」)と同等の基板を使用しました。

ROHM BP5293-50 実装基板

※AC平滑部と+5V DC-DCコンバーター部のみで、±12V部は実装していません。

Minmax M78AR05-1 実装基板

ROHM BP5293-50

実験の様子

無負荷 (<5mA)

負荷は繋いでいませんが、パイロットランプとして3mmの緑色LEDと1kΩの抵抗を繋いでいるので数mA流れています。

RL=100Ω (50mA)

RL=50Ω (100mA)

RL=10Ω (500mA)

無負荷時にはノコギリ波状のノイズが重畳しています。出力電力が大きくなるとノイズが小さくなっていきます。

データシートに
SLLMTM(Simple Light Load Mode)制御により軽負荷 状態の効率特性が良好で、待機時電力を抑えたい機器に 最適です 
とあり、軽負荷時は出力特性より無駄な消費電力を抑えることを優先しているようです。

これだけノイズが大きいとシンセの電源に不向きです。

Minmax M78AR05-1

実験の様子

無負荷時 (<5mA)

負荷は繋いでいませんが、パイロットランプとして3mmの緑色LEDと1kΩの抵抗を繋いでいます。

RL=10Ω (500mA)

ROHM BP5293-50と比較して低ノイズです。シンセ用の電源には多少高価ですが、こちらが適しています。

リニアレギュレータ(L7812/L7912)で降圧・安定化している+12V/-12V出力 RL=50Ω/50Ω (240mA/240mA)

C1:+12V出力 C2:-12V出力

リニアレギュレータと比較しても、Minmax M78AR05-1は出力品質が良好です。

2023年5月1日月曜日

ERK_PSU_DEV 実験用±12V/+5V電源の製作

アナログシンセ・モジュールの開発用に±12V/+5V電源を製作しました。



回路図

電源基板はシンセラックの電源用に製作したものです。+5V電源は三端子レギュレータの7805を使う予定で設計しましたが発熱が大きすぎました。発熱の小さくピンコンパチのDC-DCコンバータ(M78AR05-1)に差し替えて製作しました。

実験の結果、M78AR05-1は発熱が少なくリプル等出力品質もも7805と遜色無いようです。


トランスのケーブルの色

一次側を115V(実際には100Vですが)場合は、(Brown + Green) : (Blue + Violet)という風に並列につなぎます。二次側を +15V : GND : -15V として使う場合は (Red) : (Black + Yellow) : (Orange) という風に直列につなぎます。

ケース内配線図

トランス


トランスはRS PRO 671-9094を使用しました。定格入力は115Vであるため日本の100Vで使用すると出力電圧が低くなります。

トランスの出力(無負荷)

無負荷時に21.0Vp-pなので、実効値は14.8Vrmsです。データシートでは無負荷時17.10Vとなっています。17.10V * ( 100 / 115 ) = 14.87V。

また、トランス本体とは別に、取付用の金属製ディスクとシートが必要で、10枚単位での購入になります。固定用のねじはM6x40mmです。

ヒューズ


トランスの容量は50VAなので、100Vで使用する場合ヒューズは0.5Aとなりますが、電源切断時にヒューズが切れます。1.0Aなら常用可能です。

メモ:


三端子レギュレータが過電流のためシャットダウンすると基板上のLEDが消灯します。便宜上、天板を透明な塩ビでカバーしていますが、ケースにLEDをつけた方が見栄えが良いと思います。基板上でLEDを実装しているところにコネクタをつけて、ケースに取り付けたLEDに配線します。

実験用電源なので、レギュレータのサーマルシャットダウンに頼らずに電流値を制限したいところです。

2023年3月20日月曜日

三端子レギュレータ(NJM7805FA)とDC-DCコンバータ(M78AR05-1)

NJM7805FAのサーマルシャットダウン


回路図

入力は15V 2出力のトランスを使用しています。
ヒートシンクをつけない状態で大きな電流を流し、サーマルシャットダウンする様子を測定しました。


入力: 15V AC
出力: 5V
負荷抵抗: 20Ω

15V入力、5V出力なのでドロップ電圧が10Vとなり、この分が三端子レギュレータの発熱として消費されます。出力電流は、5V / 20Ω = 250mAです。

表面温度

出力電圧

NJM7805FAは表面温度125℃でサーマルシャットダウンし、表面温度が下がると再び動作します。動作範囲内の温度でも出力電圧に変動があります。

NJM7805FAの出力


入力が15Vと高い場合、出力できる最大電流はかなり制限されます。ヒートシンクをつけた状態でNJM7805FAの表面温度を測定しました。

回路図


表面温度 RL=20Ω

出力のリプル RL=20Ω

出力電流は、5V / 20Ω = 250mAです。ヒートシンクをつけても160秒程度で表面温度が80℃に達します。動作範囲は85℃までなので出力250mAでは運用できません。

M78AR05-1の出力


三端子レギュレータとピンコンパチのDC-DCコンバータ、MINMAX M78AR05-1に差し替えて出力と表面温度を測定しました。M78AR05-1はコンデンサなど外付け部品は不要です。

回路図


負荷抵抗20Ωの場合


NJM7805FAと同じ条件で負荷抵抗20Ω(出力電流250mA)の場合の出力のリプルです。

出力のリプル RL=20Ω

表面温度はほとんど変化せず、出力のリプルもNJM7805FAと変わらないようです。

負荷抵抗5Ωの場合


定格の1A出力です。5V / 5Ω = 1A。

表面温度温度 RL=5Ω

出力のリプル RL=5Ω(開始時)

出力のリプル RL=5Ω(30分経過後)

30分程度通電しましたが、表面温度は15℃程度上昇するだけでリプルも良好です。別途出力電圧のログも取りましたが大きな変動はありません。


MAX 4.97257 V 11.05 mV
MIN 4.95722 V -3.81 mV
AVG 4.96152 V -

M78AR05-1の容量負荷


データシートによるとM78AR05-1の容量負荷は最大470uFとなっています。100Ωの抵抗と470uF、1000uFのケミコンを並列につないで出力を観測しました。出力電流は、5V / 100Ω = 50mAです。



C=470uF

C=1000uF

簡単な実験では1000uFの負荷容量でも出力に問題はないようです。出力電流が大きい場合に問題が出る可能性はあると思います。

L7812CV L7912CVの出力


+12VのL7812CV、-12VのL7912CV(STMicro製)の出力と表面温度を測定しました。

入力: 15V AC
出力: ±12V
負荷抵抗: 20Ω

出力電流は12V / 20Ω = 600mA、負荷の消費電力は7.2Wです。

測定の様子

L7812CV/L7912CV 出力のリプル RL=20Ω 開始時

L7812CV/L7912CV 出力のリプル RL=20Ω 30分経過後

L7812CV表面温度

L7912CV表面温度

発熱は65℃程度なので±12Vで出力600mAは実用的と言えます。

もう少し出力電流を大きくしてみたいのですが、30分通電後に負荷抵抗の表面温度が116℃まで上昇したため、これ以上は抵抗の発熱対策が必要です。

実験に使ったメタルクラッド抵抗

今回は放熱器をつけないで使用しましたが、消費電力が大きい場合相当発熱します。目安として5W程度で100℃近くまで発熱するので、それを超える場合は相応の放熱器に取り付ける必要があります。

メモ:


入力15V、出力5Vでは三端子レギュレータの発熱が大きく実用的ではないようです。もちろんトランスの出力電圧が低いもの(例えば7V程度)を使えば三端子レギュレータの発熱は小さくなります。

三端子レギュレータの入力に直列にドロップ抵抗を入れて電圧降下させ、三端子レギュレータの入力にかかる電圧を下げる方法があります。500mAで5Vドロップさせると、5V × 0.5A = 2.5W 分抵抗が発熱します。


2021年10月29日金曜日

中華製可変両電源基板 問題発生

LM317/LM337を使用した中華製の可変両電源基板を使用して、LME49600 HPAを製作中に問題が発生しました。

気が付くとLME49600基板の電源デカップリング用のコンデンサに付着物が。正負それぞれ2個の電解コンデンサを並列にしていますが、正側の並列しているコンデンサに付着しています。


取り外して裏側を見てみるとパッケージが一部損傷しているようです。下2つが付着物があったコンデンサです。目印としてセロテープを貼っています。基板から取り外す際に多少コジッたのでその傷もありますが、被膜の左下のあたりがめくれているように見えます。おそらくここから内部の液体が噴出したものだと思われます。


新品ではないですが、正常と思われる個体はこんな感じです。


今回使用している可変両電源基板


今回使用している可変両電源基板の回路図



両電源のレギュレーターを使った場合、一般的に逆向きにダイオードを入れて逆電圧を防止します。

LM317/LM337を使った回路では、図のようにダイオード(4007)を入れてクランプしていることが多いようですが、電解コンデンサに逆電圧がかかるのを防止するには不十分なのかも知れません。

電源投入時の出力電圧のあばれ


測定のようす


対応


Facebookで先輩方にアドバイスを頂き対処しました。

電源基板を修正するのは大変なので、LME49600基板で並列にしているデカップリング・コンデンサの一方をショットキーバリアダイオードで置き換えました。ショットキーバリアダイオードはシリコンダイオードより順電圧が低いので良い効果が期待できます。


回路としてはこのようになります。


何度か電源を入り切りして通電テストをしましたが、コンデンサの破損は見られないようです。

この状態で電源投入時の電源電圧を測定


まだ暴れているようですが、変更前より暴れが少なくなっていると思います。

メモ


実験中に電源をプラスマイナス逆接続して壊した可能性はあります。手持ちの電源の出力から考えて、過電圧の可能性は低いです。

LME49600HPA基板は、コンデンサのACカップリングではなく、サーボ回路でDC成分を除去しているので、影響があるかも知れません

参考


LME49600_HPA V2.1 ACカップリングなしバージョン製作予定 https://dad8893.blogspot.com/2020/05/lme49600hpa-v21-ac.html

トランスを使った±9V安定化電源 はんだ付け完了