2019年12月28日土曜日

ACS712利用両電源電流計の構想

自作の電流/電圧計付可変両電源は一応電流を測定できますが、ローサイドで測定しているため、片電源で利用する場合でしか電流を測定できません。

単電源の電流計は以前、LED電圧計を利用したものを製作しました。精度はあまり良くありませんが、電源電流を測定するのに便利です。電源と回路の間に入れておくと、電源電流が流れすぎて「何かがおかしいぞ」とすぐに判断できます。

秋月でAllegroのACS712を使った電流センサーモジュールが販売されていたので、これを使って同じように両電源電流計が作れないか考えました。

ACS712の特徴はホール素子を利用して、被測定電流側と、電圧出力と電源側が絶縁されていることです。絶縁されているので正側、負側の出力電圧を測定してマイコンで処理すれば、比較的かんたんに両電源の電流が測定できそうです。

ホール素子を利用しているということは、測定対象の電流によって発生する磁力をホール素子で電圧に変換しているということでしょうか。とにかく磁気は厳禁です。

購入したACS712使用電流センサー

表面実装部品ははんだ付けされているので、スルーホールの大きな部品だけ自分ではんだ付けする必要があります。

オフセット、ゲイン調整


マニュアルに従って出力オフセットとゲインを調整しました。100mA→500mVの設定です。5V電源を使うと±500mAまで測定できます。

磁気を避けるために樹脂製の調整ドライバーを近所で探したのですが、売っていなかったので田楽用の竹串をカッターで削ってマイナスドライバー状のものを作りました。


竹なのでまずまず強度はありますが、すぐにボロボロとヘタってきます。カッターで削り直しながら使いました。ちなみに、割り箸だと弱すぎて実用になりませんでした。

両電源の電流測定のテスト


測定回路図

測定時のようす

被測定電流用の電源(可変両電源)と、モジュールの電源(5V/3.3V安定化電源Ver.2)は分離しました。(GNDも分離)

モジュール側電源電圧
正側: +5.020V
負側: +5.018V

無電流時出力電圧
正側: +2.460V
負側: +2.490V

測定対象抵抗(100Ω)端間電圧
正側: +5.080V
負側: -4.996V

50mA時出力電圧
正側: +2.200V
負側: +2.744V

正側が2.25V、負側が2.75Vになるはずですが誤差が結構あります。

- 理論値[V] 測定値[V] 誤差[mV] 誤差[mA]
正側 2.25 2.200 -50 -10mA
負側 2.75 2.744 +11 +2.2mA

環境の磁界が影響しているのでしょうか。測定中も出力電圧がかなりふらつきます。もう少ししっかりと組んでみて調整しようと思います。

仕様案


Auduino Pro miniを使う予定。

ADCは精度を上げるため外付けのMCP3208を利用。

表示はI2C LCDまたはOLED。

電池電源を使ってポータブルにする。

過電流が流れている場合(例えば500mA以上)ブザーを鳴らす?

電磁シールドを使う?

2019年12月26日木曜日

USBヘッドホンアンプ:PCM2704_HPA 一旦完了

ケース(タカチYM-200)に組み込んで配線しました。

基板のはんだ付けは割とルーチン化してきているんですが、筐体内部のケーブルの配線はいまだにどこに向かえば最適解にたどり着けるか分かっていません。

最初の設計にムリがあって、じっくりやった割には乱雑になってしまいました。

方針としては以下のようなもの

  • 信号経路となるケーブルは必ずGND線とペアにして電流のリターンパスを作る。
  • できるだけシールド・ケーブルを使う。
  • LME49600_HPA V2.1の基板とPCM2704_LineAmpは取り替え可能。

シールド・ケーブルはヘッドホン端子につなぐところは比較的大電流が流れるので4.0Φのものを使いましたが、他は0.07SQの細径シールド・ケーブルを使ってみました。

内部

前面

背面

苦労したフロントパネル周り
I

電源とスタック
I

ケース内配線図

成り行きで配線して、完成後、図を起こしましたが、みごとにスパゲッティ。構想段階ではGND線が必要なことやL/Rの2線必要なことをあまり考えていませんでした。(めんどくさいのであえて気にしていない)

PCM2704の出力以外にも外部入力を受けてLME49600のヘッドホン・アンプとして使えるようにしたかったので配線で苦労する結果になったのかもしれません。

構成が複雑になると信頼性が低下するのでAUXなしでもっとシンプルに作っても良かったかも。LME49600_HPAはPCBを10枚焼いているので活用したいと思います。

現状ではLME49600_HPAの入力段でACカップリングとDCサーボをかけていて冗長なので、これらを外したバージョンの基板を組んで比較したいと思います。

2019年12月10日火曜日

LME49600_HPA V2.1に使うOPAMP比較 過渡応答 NJM4580 MUSES8820 MUSES8920 OPA2134 OPA2604など

LME49600_HPA V2.1の増幅およびDCサーボに使用する2回路入りOPAMPを取り替えて過渡応答を測定しました。LME49600は電流増幅に特化したバッファICで、OPAMPを使ったボルテージフォロアと比較して広帯域、高速なため出力に前段のOPAMPの特性が如実に現れることが期待できます。

実験のようす

製作途中ですが、PCM2704_HPAの筐体に収めているLME49600_HPAの基板を使用しました。ケース内部の左側のPCM2704_LineAmp基板は使用せず、右側の緑色のLME49600_HPAの基板に直接信号を入力しています。

電源: ±9V安定化電源
信号源: SQR_FG
出力負荷: 100Ωの酸金を3本並列にした約33Ωの抵抗負荷

比較したOPAMP


品種 メーカー 動作電源電圧 消費電流 スルーレート 利得帯域幅積 入力換算雑音電圧 THD VIO IIO IB RIN 価格@秋月 備考
NJM4580 NJR ±2~±18V 6mA 5V/us 15MHz 0.8uVrms 0.00050% 0.3mV 5nA 100nA - 36円(5個入り180円)
NJM4558 NJR ±4~±18V 3.5mA 1V/us 3MHz 1.4uVrms - 0.5mV 5nA 25nA 5MΩ 25円(8個入り200円)
NJM2114DD NJR ±3~±22V 9mA 15V/us 13MHz 0.9uVrms 0.00050% 0.2mV 0.01uA 0.5uA 100kΩ 70円(5個入り350円) NJM5532互換
NE5532 TI ±5~±15V 8mA 9V/us 10MHz - - 0.5mV 10nA 200nA 300kΩ 90円(マルツ)
MUSE8820 NJR ±3.5V~±16V 8mA 5V/us 11MHz 0.8uVrms 0.00100% 0.3mV 5nA 100nA - 400円
LME49720 TI ±2.5V~±18V 10mA 20V/us 55MHz 0.34uVrms 0.00005% 0.1mV 11nA 10nA 30kΩ 270円
NJM072 NJR ±4~±18V 3mA 13V/us 3MHz(fT) 4uVrms - 3mV 5pA 30pA 10TΩ 50円
NJM072B NJR ±4~±18V 3mA 13V/us 3MHz(fT) 4uVrms - 5mV 5pA 30pA 10TΩ 50円 TL072互換
NJM2082 NJR ±4~±18V 4mA 20V/us 5MHz 1.6uV - 2mV 5pA 30pA 10TΩ 50円
OPA2134 BB ±2.5V~±18V 4mA 20V/us 8MHz 1.2uVrms 0.00008% 0.5mV 2pA 5pA 100TΩ 200円
OPA2604 BB ±4.5V~±24V 10.5mA 25V/us 20MHz 1.5uVp-p 0.00030% 1mV 4pA 100pA 10TΩ 300円
MUSE8920 NJR ±3.5V~±16V 9mA 25V/us 11MHz 1.1uVrms 0.00004% 0.8mV 2pA 5pA - 480円

電源OFF時

ch1:入力

バイポーラ入力


NJM4580DD

ch1:入力 ch2:出力

NJM4558D

ch1:入力 ch2:出力

NJM2114DD

ch1:入力 ch2:出力

NE5532

ch1:入力 ch2:出力

MUSE8820

ch1:入力 ch2:出力

バイポーラ入力のOPAMPでは、4558系より5532系のほうが立ち上がりが高速なようです。MUSES8820は5532系に近い波形でオーバーシュートが少なくなっています。

FET入力


NJM072D

ch1:入力 ch2:出力

NJM072BD

ch1:入力 ch2:出力

NJM2082

ch1:入力 ch2:出力

OPA2134

ch1:入力 ch2:出力

OPA2604

ch1:入力 ch2:出力

MUSES8920

ch1:入力 ch2:出力

LME49720

ch1:入力 ch2:出力

FET入力のOPAMPはおおむねバイポーラ入力のOPAMPよりも高速です。

NJM072DとNJM072BDはTL072のセカンドソースで「072は072BのCcを小さくし、AC特性をアップさせております。いっぽう発振に対する安定度は072Bが優れています。」とあり、072Bのほうが少し立ち上がりが遅くなっています。

OPA2134、OPA2604、MUSES8920、LME49720といったオーディオ用と言われるOPAMPは072系に比べてレスポンスがよくなっています。MUSES8920とLME49720はオーバーシュートもほとんど見られません。

※LME49720はDATASHEETに特に記載がなく、入力インピーダンス等を見るとバイポーラ入力のようですが、過渡応答の波形からJFET入力に分類しました。

入力波形の歪

特にバイポーラ入力のOPAMPで入力波形が歪んでいて品種によっても歪み方が異なります。

信号源のSQR_FGはAVRのGPIO出力を300ΩのPOTで分圧して振幅を減衰させて矩形波出力としています。

これが、LME49600_HPAの入力のACカップリング用のCと干渉しているものと推測しています。電源を投入した場合だけ波形が崩れ、品種によって崩れ方が異なるのでOPAMPの入力インピーダンスも影響していそうです。

いずれもう少し詳しく調べたいと思っています。



2019年12月6日金曜日

USBヘッドホンアンプ:PCM2704_HPA ケース加工

タカチYM-200に穴あけ加工しました。

内部

前面

裏面

USB端子用の穴

仕上げは雑ですが、穴の位置はうまくいきました。ドリルで穴をいっぱい開けてニッパでつないで平ヤスリで削るという加工方法です。

回路自体も今の所順調に動作しているようなので、配線はじっくりやって、LME49600_HPAのサーボやACカップリングのありなし、OPAMP交換など聴き比べてみたいと思います。

2019年11月27日水曜日

USBヘッドホンアンプ:PCM2704_HPA モックアップ作製

タカチYM-200に収めるつもりで、厚紙でモックアップを作りました。

寸法図がA4では収まらないのでコンビニでB4にプリントアウトして厚紙に貼り付けてペーパークラフトしました。







USBコネクタ用の角穴が最難関。

2019年11月23日土曜日

USBヘッドホンアンプ:PCM2704_HPA ラインアンプ部はんだ付け完了

回路図

基板図

LME49600_HPAにつないで特性を測定しました。


電源: ±9V安定化電源

WaveGeneで1kHzのサイン波をPCM2704に出力して測定しました。

電源電流


正側 +46mA
負側 -45mA
GND 0.9mA(ACモード)

GND電流はテスタをDCモードで測定すると+11mAでした。+11mAとするとキルヒホッフの電流則に照らして辻褄が合いません。おそらく出力するサイン波の振幅によってGNDに流れ込む電流が変化しているためだと思います。テスタをACモードにして計測すると+0.9mAなので辻褄が合います。

歪み率


100ΩのRを3本並列にして約33Ωの負荷としてWaveSpectraで測定しました。音量ボリュームは最大に設定。

Lチャンネル 1kHz



Rチャンネル 1kHz



実際にヘッドホン(SONY MDR-CD900ST)をつないで測定しました。

Lチャンネル


Rチャンネル


抵抗を負荷としてもヘッドホンを負荷としても歪み率は0.04%程度で十分ドライブできていると思います。

MDR-CD900STの再生周波数帯域は5Hz~30,000Hzとなっているので、低域10Hzと高域20kHzをWaveGeneで出力して測定しました。WaveSpectraではまともに測定できないのでオシロの測定のみです。またヘッドホンに出力するとヘッドホンに悪影響があるかもしれないので約33Ωの負荷抵抗のみの測定です。

Lチャンネル 10Hz

Rチャンネル 10Hz

Lチャンネル 20kHz

Rチャンネル 20kHz

LME49600の表面温度


ヘッドホンをつなぎフルボリュームにして音楽を再生してLME49600の表面温度を測定しました。

室温 20℃

開始時 20℃
5分後 23℃
10分後 23℃
15分後 22℃

温度上昇はあまり見られないのでヒートシンクは不要でしょう。

久しぶりにバーンスタインのマーラーを聴いてみましたが、マーラーの快楽が感じられました。(←わかるひとにはわかると思います^q^;)

2019年11月10日日曜日

秋月のACアダプター出力ノイズ比較: GF12-US0913、GF18-US0920T

秋月取り扱いの9V ACアダプターのGF18-US0920T(最大2A)とGF12-US0913(最大1.3A)の出力を比較しました。


どちらもメーカーは「Go Forward Enterprise Corp.」で、サイズは結構異なります。

測定回路

負荷抵抗を100Ωとし(出力電流:90mA)、デカップリングとして470uFのOSコンと0.1uFの積セラを入れたり外したりして測定しました。

出力電圧
GF12-US0913(1.3A): 9.00V
GF18-US0920T(2A): 8.98V

GF12-US0913(1.3A) R1=100Ωのみ

GF18-US0920T(2A) R1=100Ωのみ

1.3A出力のGF12-US0913はスパイク状のノイズとリプルが乗っています。2A出力のGF18-US0920Tの方はリプルが目立ちません。周波数は目視で35kHz~40kHz程度です。

GF12-US0913(1.3A) R1=100Ω C2=0.1uF

GF18-US0920T(2A) R1=100Ω C2=0.1uF

0.1uFの積セラを入れるだけでだいぶきれいになります。

GF12-US0913(1.3A) R1=100Ω C1=470uF

GF18-US0920T(2A) R1=100Ω C1=470uF

470uFのOSコンだけでもきれいになります。

GF12-US0913(1.3A) R1=100Ω C1=470uF C2=0.1uF

GF18-US0920T(2A) R1=100Ω C1=470uF C2=0.1uF

1.3A出力のGF12-US0913は大容量のキャパシタでデカップリングしたほうがよさそう。2A出力のGF18-US0920Tは大容量のキャパシタを入れても効果があるかどうかは疑問です。