2019年12月10日火曜日

LME49600_HPA V2.1に使うOPAMP比較 過渡応答 NJM4580 MUSES8820 MUSES8920 OPA2134 OPA2604など

LME49600_HPA V2.1の増幅およびDCサーボに使用する2回路入りOPAMPを取り替えて過渡応答を測定しました。LME49600は電流増幅に特化したバッファICで、OPAMPを使ったボルテージフォロアと比較して広帯域、高速なため出力に前段のOPAMPの特性が如実に現れることが期待できます。

実験のようす

製作途中ですが、PCM2704_HPAの筐体に収めているLME49600_HPAの基板を使用しました。ケース内部の左側のPCM2704_LineAmp基板は使用せず、右側の緑色のLME49600_HPAの基板に直接信号を入力しています。

電源: ±9V安定化電源
信号源: SQR_FG
出力負荷: 100Ωの酸金を3本並列にした約33Ωの抵抗負荷

比較したOPAMP


品種 メーカー 動作電源電圧 消費電流 スルーレート 利得帯域幅積 入力換算雑音電圧 THD VIO IIO IB RIN 価格@秋月 備考
NJM4580 NJR ±2~±18V 6mA 5V/us 15MHz 0.8uVrms 0.00050% 0.3mV 5nA 100nA - 36円(5個入り180円)
NJM4558 NJR ±4~±18V 3.5mA 1V/us 3MHz 1.4uVrms - 0.5mV 5nA 25nA 5MΩ 25円(8個入り200円)
NJM2114DD NJR ±3~±22V 9mA 15V/us 13MHz 0.9uVrms 0.00050% 0.2mV 0.01uA 0.5uA 100kΩ 70円(5個入り350円) NJM5532互換
NE5532 TI ±5~±15V 8mA 9V/us 10MHz - - 0.5mV 10nA 200nA 300kΩ 90円(マルツ)
MUSE8820 NJR ±3.5V~±16V 8mA 5V/us 11MHz 0.8uVrms 0.00100% 0.3mV 5nA 100nA - 400円
LME49720 TI ±2.5V~±18V 10mA 20V/us 55MHz 0.34uVrms 0.00005% 0.1mV 11nA 10nA 30kΩ 270円
NJM072 NJR ±4~±18V 3mA 13V/us 3MHz(fT) 4uVrms - 3mV 5pA 30pA 10TΩ 50円
NJM072B NJR ±4~±18V 3mA 13V/us 3MHz(fT) 4uVrms - 5mV 5pA 30pA 10TΩ 50円 TL072互換
NJM2082 NJR ±4~±18V 4mA 20V/us 5MHz 1.6uV - 2mV 5pA 30pA 10TΩ 50円
OPA2134 BB ±2.5V~±18V 4mA 20V/us 8MHz 1.2uVrms 0.00008% 0.5mV 2pA 5pA 100TΩ 200円
OPA2604 BB ±4.5V~±24V 10.5mA 25V/us 20MHz 1.5uVp-p 0.00030% 1mV 4pA 100pA 10TΩ 300円
MUSE8920 NJR ±3.5V~±16V 9mA 25V/us 11MHz 1.1uVrms 0.00004% 0.8mV 2pA 5pA - 480円

電源OFF時

ch1:入力

バイポーラ入力


NJM4580DD

ch1:入力 ch2:出力

NJM4558D

ch1:入力 ch2:出力

NJM2114DD

ch1:入力 ch2:出力

NE5532

ch1:入力 ch2:出力

MUSE8820

ch1:入力 ch2:出力

バイポーラ入力のOPAMPでは、4558系より5532系のほうが立ち上がりが高速なようです。MUSES8820は5532系に近い波形でオーバーシュートが少なくなっています。

FET入力


NJM072D

ch1:入力 ch2:出力

NJM072BD

ch1:入力 ch2:出力

NJM2082

ch1:入力 ch2:出力

OPA2134

ch1:入力 ch2:出力

OPA2604

ch1:入力 ch2:出力

MUSES8920

ch1:入力 ch2:出力

LME49720

ch1:入力 ch2:出力

FET入力のOPAMPはおおむねバイポーラ入力のOPAMPよりも高速です。

NJM072DとNJM072BDはTL072のセカンドソースで「072は072BのCcを小さくし、AC特性をアップさせております。いっぽう発振に対する安定度は072Bが優れています。」とあり、072Bのほうが少し立ち上がりが遅くなっています。

OPA2134、OPA2604、MUSES8920、LME49720といったオーディオ用と言われるOPAMPは072系に比べてレスポンスがよくなっています。MUSES8920とLME49720はオーバーシュートもほとんど見られません。

※LME49720はDATASHEETに特に記載がなく、入力インピーダンス等を見るとバイポーラ入力のようですが、過渡応答の波形からJFET入力に分類しました。

入力波形の歪

特にバイポーラ入力のOPAMPで入力波形が歪んでいて品種によっても歪み方が異なります。

信号源のSQR_FGはAVRのGPIO出力を300ΩのPOTで分圧して振幅を減衰させて矩形波出力としています。

これが、LME49600_HPAの入力のACカップリング用のCと干渉しているものと推測しています。電源を投入した場合だけ波形が崩れ、品種によって崩れ方が異なるのでOPAMPの入力インピーダンスも影響していそうです。

いずれもう少し詳しく調べたいと思っています。



0 件のコメント:

コメントを投稿