2023年11月8日水曜日

 3340VCO基板セットをBOOTHに出品しました。



ご質問があれば、コメントいただければフォローします。

2023年8月22日火曜日

3340VCO Ver.1.1の製作

 
AS3340/CEM3340を使ったVCOを製作しました。回路について解説します。組み立てについては別記事をご参照ください。

回路図


CV入力の加算


3340の周波数をコントロールするVFCI(15PIN)はサミング・ノードとなっており入力信号が加算されます。OPアンプの加算回路と同様です。

サミング・ノードでない場合


2Vp-pのサイン波を3つ抵抗を介してバッファに入力しています。3つ入力していますが、出力も2Vp-pです。

サミング・ノードの場合


サミング・ノード(加算回路)の場合、3つの入力が加算され、出力が6Vp-pになります。反転加算回路の場合サミング・ノード(OPアンプの反転入力端子)が仮想GNDとなるため、それぞれの入力が干渉しません。

加算回路の場合、入力抵抗(R1、R2、R3)が加算の比率・増幅率となるので、抵抗値のばらつき・確度が重要となります。

出力振幅をそろえる


3340を±12V駆動した場合の出力振幅は、ノコギリ波は8V、三角波は4V、矩形波は11Vとなります。ノコギリ波の8Vに揃えるために、U4A、U4B周りの回路で減衰、増幅しています。


ACカップリング


3340の出力はGNDより上の波形であるためU2A、U2B周りの回路でACカップリングしています。ACカップリングの本体はC17(1uF)、R30(100kΩ)です。カットオフ周波数fcは

fc = 1 / (2 * π * C * R)
   = 1 / (2 * π * 1 * 10^(-6) * 100 * 10^3)
   = 1.59Hz

R15(220kΩ)を大きな値にするとVCLFOとしても使用できます。その場合ACカップリングが問題となります。

3.43Hz OUT出力(ACカップリングあり)

3.43Hz J5出力(ACカップリングなし)

カットオフ周波数付近になるとACカップリングすると波形が崩れます。さらに低い周波数では信号が出力されなくなります。低周波数で使用する場合C17をバイパスするか、ロータリースイッチのCOM端子から直接出力するなどすると良いと思います。

CV電圧 VS 出力周波数


オクターブSW(3)、通電してから20分後に測定開始、室温29.2℃


想定していたより高精度です。10オクターブのポリフォニック・シンセも組めそうです。

EXT端子(J4)


HARD_SYNC、SOFT_SYNC、LIN_FM(リニアFM)に信号を入力した場合の出力です。

3340VCOの設定: ノコギリ波/440Hz

HARD_SYNC


C1:OUT C2:HARD_SYNC入力

HARD_SYNC入力に380Hz/±4Vp-pのノコギリ波を入力。HARD_SYNCがHになったとき3340VCOの出力の位相がリセットされます。

SOFT_SYNC


C1:OUT C2:SOFT_SYNC入力

HARD_SYNCとは異なる同期の仕方です。

LIN_FM


C1:OUT C2:LIN_FM入力

リニアな周波数変調です。MOD入力と異なりアンチログ回路を通っていません。

MODによる周波数変調

C1:OUT C2:HARD_SYNC入力

MOD入力による周波数変調はLIN_FMよりも変化量が大きくなります。

3340VCOとAnVCOの比較


Analog 2.0を参考に個別部品で作ったAnVCOと比較して、3340VCOは周波数の精度が良いのに加えて、発振周波数が安定しています。AnVCOは起動後しばらく周波数が変動しますが、3340VCO起動直後から周波数が安定しています。

オーディオ用DACとの比較

オーディオ用のDACは量子化歪とDigital Filterの振動が現れることが多いです。自作のPCM2704ヘッドホンアンプからWaveGeneで生成した波形を出力したものと比較します。

PCM2704 48kHz/16bit ノコギリ波/1kHz


3304VCO ノコギリ波/1kHz

CEM3340 Rev.GとAS3340

CEM3340 Rev.Gと差し替えてみましたがAS3340との差は特に無いようです。


AS3340

CEM3340

出力信号の周波数は、AS3340で440Hzに設定してそのままCEM3340に差し替えると180Hzでした。同じ440Hz出力になるようにCVおよびFINEで調整しました。

メモ:

  • FINEつまみが-0.5oct~+0.5octという仕様、-1oct~+1octに変更する?
  • Pulse Widthつまみの設定が0~5Vになっているが、0~4.2Vに修正する。
  • ACカップリングではなくバイアスをかけてDC成分を除去する?

2023年8月14日月曜日

3340VCO Ver.1.1 追加情報 '23夏コミケ頒布分

訂正


解説冊子に誤りがありましたので訂正します。

3340VCOとは

基音がC3(真ん中のC)の場合Eは329.6Hz、Ebは311.1Hz、わずか16Hz程度の違いです。
基音がC3(真ん中のC)の場合Eは329.6Hz、Ebは311.1Hz、わずか18Hz程度の違いです。

調整 2.

CV=1V 220Hz以上の場合はSCALE_ADJ(RV5)を左、220Hz以上の場合は右に回して出力が220Hz付近になるように調整。

CV=1V 220Hz以上の場合はSCALE_ADJ(RV5)を左、220Hz以下の場合は右に回して出力が220Hz付近になるように調整。

3340VCO Ver.1.1 部品表(基板外)

ステレオミニジャック    4

モノラルミニジャック    4

※ステレオミニジャックでもRingをオープンにすれば使用できます。

基板実装例


R15(220kΩ)はピンソケットを使って抵抗値を変えられるように実装しています。この抵抗値を大きくすると発振周波数が低くなり、小さくすると発振周波数が高くなります。

パネル加工図(ご参考)


コミケで展示したモジュールのパネル寸法図です。


PDFファイル(実寸)

外付けの3.5mmモノジャックはマル信無線MJ-355、3接点ロータリースイッチは

秋月で販売されているもの(26mm径)を使用される場合はパネル幅と穴位置を調整してください。

パネル取付のヒント


基板上の可変抵抗、ロータリースイッチの配置の関係で、そのままパネルに取り付けると安定しないと思います。その場合、ボリューム用ナット(M7薄型)を別に用意してパネルの裏側にスペーサーとして入れると良いと思います。

ボリューム用ナットはAmazonなどで販売されています。





2023年8月9日水曜日

'23夏コミ8月13日(日)西か-19a AS3340VCO基板セットを頒布します。

 2023年8月13日(日) 西地区 か-19a 「電磁工廠」でAS3340を使ったVCO基板を頒布します。AS3340の実験用基板と5接点ロータリースイッチ、解説冊子のセットです。

友達のスペースにお邪魔させていただきます。どうぞお立ち寄りくださいませ。




2023年7月7日金曜日

ERK01-Portable 持ち運び用ユーロラックケースの製作

電子工作の例会で自作シンセのデモをするために、持ち運び用のユーロラック・ケースを製作しました。

コンパクトにするためHP84、1段です。最小限のモジュールしか積めません。堅牢性を確保するため、15㎜厚の合板を使用し、操作パネル面には蓋を設けました。



使用部材

ケース


品名 メーカー 型番等 個数
フロントレール タカチ FFR-43N 2
バーナット タカチ BN43-M3 2
ラワン合板 450x300x15 2
ラワン合板 910x450x2.5 1
鬼目ナットM4 4
鬼目ナットM3 6
取っ手 ギターケース補修用 1
パッチン錠 トラスコ P-24 4
ワトコオイル ワトコ ナチュラル 200mL 1

ケースの部材費は1万円弱です。

電源


品名 メーカー 型番等 個数
ERK_PSU 自作 1
ERK_PSU_EXT 自作 2
トロイダルトランス RS-PRO 2x15VAC/30VA 671-9072 1
トランス保護シート RS-PRO 671-9214 2
トランス取付金具 RS-PRO 671-9208 1
鬼目ナット M6 1
トラスねじ M6x40mm 1

フロントパネル


品名 メーカー 型番等 個数
Eurorackパネル 自作 5HP 1
AC100V用白色LED OptoSupply OSWW425111A-PPW 1
トグル・スイッチ 2P ミヤマ MS-500-K-B 1
ミニ・ヒューズ・ケース 1
ミニ・ヒューズ 125V/0.5A 1
ケーブル中継カプラー エーモン 250型 1

ケース


レールはタカチFFR-43Nを使用ました。84HPです。バーナットはねじ穴がM3のものにします。木材はラワン合板15mm厚です。450mmX300mmのものを2枚使用しました。


木工用ボンドで組み立てます。コーナークランプを使用していますが、圧がかからないので直角出しのガイドの役目です。同時にハタガネを使って圧を掛けました。木工用ボンドは接着時に圧をかけないと強度が得られません。


底板を接着する前にトランス固定用の鬼目ナットを打ち込みます。使用したのは六角ナットで木材にねじ込むタイプです。トランス固定用のねじはM6 40mmのトラスねじを使用しました。



板が厚すぎてFFR-43N付属のビスが届きませんでした9mmの皿取錐でダボ穴を開けました。




本体上部を接着する際は、フロントレールにブランクパネルなどを取り付けガイドにします。


本体下部は、コーナークランプで直角を出します。木材のみだと直角の’精度が出せず、後で組み合わせたときにはまらなかったり、ずれたりして困ることになります。


蓋部の枠の接着もコーナークランプとハタガネを併用しました。


本体上部と下部は分解できるようにM5の鬼目ナットとトラスねじを使用しました。



蓋の木枠に2.5mm厚の合板を接着します。


電源基板は3mmのタッピングビスとM3/5mm高の中空スペーサで板に取り付けました。


全体に紙やすりで研磨、面取りしたあと、ワトコ・オイル ナチュラルの2度塗りです。200ml缶で足りました。見栄え的にはニスを使いたかったのですが、時間がなく失敗したくなかったのでワトコです。ワトコは初心者にやさしい。


本体下部に取り付けたトランスと、レールに取り付けた電源パネル間の電線を中継カプラーで分離できるようにしました。車載で使われる250型です。


背面は2.5mm厚のラワン合板をM3の鬼目ナットとねじで固定しています。6か所止めています。

取っ手とパッチン錠を取り付け


電源部


電源はERK-PSU。±12V/+5V出力です。トランスはRS-PROの2x15VAC/30VA(RS品番671-9072)です。+5Vは1A、±12Vは600mA出力できます(+5Vと+12Vの合計は1A以下)。84HPなので十分な容量でしょう。


回路図

電源周りの配線


自転車に積載

メモ

・15㎜厚は厚すぎたかも。12㎜厚でも良さそう。
・パッチン錠の位置決めが難しい。少しガタついてしまった。
・電源パネルはアクリルだと柔らかすぎて扱いづらい。
・次回塗装はニスにしたい。 

2023年5月1日月曜日

ERK_PSU_DEV 実験用±12V/+5V電源の製作

アナログシンセ・モジュールの開発用に±12V/+5V電源を製作しました。



回路図

電源基板はシンセラックの電源用に製作したものです。+5V電源は三端子レギュレータの7805を使う予定で設計しましたが発熱が大きすぎました。発熱の小さくピンコンパチのDC-DCコンバータ(M78AR05-1)に差し替えて製作しました。

実験の結果、M78AR05-1は発熱が少なくリプル等出力品質もも7805と遜色無いようです。


トランスのケーブルの色

一次側を115V(実際には100Vですが)場合は、(Brown + Green) : (Blue + Violet)という風に並列につなぎます。二次側を +15V : GND : -15V として使う場合は (Red) : (Black + Yellow) : (Orange) という風に直列につなぎます。

ケース内配線図

トランス


トランスはRS PRO 671-9094を使用しました。定格入力は115Vであるため日本の100Vで使用すると出力電圧が低くなります。

トランスの出力(無負荷)

無負荷時に21.0Vp-pなので、実効値は14.8Vrmsです。データシートでは無負荷時17.10Vとなっています。17.10V * ( 100 / 115 ) = 14.87V。

また、トランス本体とは別に、取付用の金属製ディスクとシートが必要で、10枚単位での購入になります。固定用のねじはM6x40mmです。

ヒューズ


トランスの容量は50VAなので、100Vで使用する場合ヒューズは0.5Aとなりますが、電源切断時にヒューズが切れます。1.0Aなら常用可能です。

メモ:


三端子レギュレータが過電流のためシャットダウンすると基板上のLEDが消灯します。便宜上、天板を透明な塩ビでカバーしていますが、ケースにLEDをつけた方が見栄えが良いと思います。基板上でLEDを実装しているところにコネクタをつけて、ケースに取り付けたLEDに配線します。

実験用電源なので、レギュレータのサーマルシャットダウンに頼らずに電流値を制限したいところです。