AS3340/CEM3340を使ったVCOを製作しました。回路について解説します。組み立てについては別記事をご参照ください。
回路図
CV入力の加算
3340の周波数をコントロールするVFCI(15PIN)はサミング・ノードとなっており入力信号が加算されます。OPアンプの加算回路と同様です。
サミング・ノードでない場合
2Vp-pのサイン波を3つ抵抗を介してバッファに入力しています。3つ入力していますが、出力も2Vp-pです。
サミング・ノードの場合
サミング・ノード(加算回路)の場合、3つの入力が加算され、出力が6Vp-pになります。反転加算回路の場合サミング・ノード(OPアンプの反転入力端子)が仮想GNDとなるため、それぞれの入力が干渉しません。
加算回路の場合、入力抵抗(R1、R2、R3)が加算の比率・増幅率となるので、抵抗値のばらつき・確度が重要となります。
出力振幅をそろえる
3340を±12V駆動した場合の出力振幅は、ノコギリ波は8V、三角波は4V、矩形波は11Vとなります。ノコギリ波の8Vに揃えるために、U4A、U4B周りの回路で減衰、増幅しています。
ACカップリング
3340の出力はGNDより上の波形であるためU2A、U2B周りの回路でACカップリングしています。ACカップリングの本体はC17(1uF)、R30(100kΩ)です。カットオフ周波数fcは
fc = 1 / (2 * π * C * R)= 1 / (2 * π * 1 * 10^(-6) * 100 * 10^3)= 1.59Hz
R15(220kΩ)を大きな値にするとVCLFOとしても使用できます。その場合ACカップリングが問題となります。
3.43Hz OUT出力(ACカップリングあり)
3.43Hz J5出力(ACカップリングなし)
カットオフ周波数付近になるとACカップリングすると波形が崩れます。さらに低い周波数では信号が出力されなくなります。低周波数で使用する場合C17をバイパスするか、ロータリースイッチのCOM端子から直接出力するなどすると良いと思います。
CV電圧 VS 出力周波数
オクターブSW(3)、通電してから20分後に測定開始、室温29.2℃
想定していたより高精度です。10オクターブのポリフォニック・シンセも組めそうです。
EXT端子(J4)
HARD_SYNC、SOFT_SYNC、LIN_FM(リニアFM)に信号を入力した場合の出力です。
3340VCOの設定: ノコギリ波/440Hz
HARD_SYNC
C1:OUT C2:HARD_SYNC入力
HARD_SYNC入力に380Hz/±4Vp-pのノコギリ波を入力。HARD_SYNCがHになったとき3340VCOの出力の位相がリセットされます。
SOFT_SYNC
C1:OUT C2:SOFT_SYNC入力
HARD_SYNCとは異なる同期の仕方です。
LIN_FM
C1:OUT C2:LIN_FM入力
リニアな周波数変調です。MOD入力と異なりアンチログ回路を通っていません。
MODによる周波数変調
C1:OUT C2:HARD_SYNC入力
MOD入力による周波数変調はLIN_FMよりも変化量が大きくなります。
3340VCOとAnVCOの比較
Analog 2.0を参考に個別部品で作ったAnVCOと比較して、3340VCOは周波数の精度が良いのに加えて、発振周波数が安定しています。AnVCOは起動後しばらく周波数が変動しますが、3340VCO起動直後から周波数が安定しています。
オーディオ用DACとの比較
オーディオ用のDACは量子化歪とDigital Filterの振動が現れることが多いです。自作のPCM2704ヘッドホンアンプからWaveGeneで生成した波形を出力したものと比較します。
PCM2704 48kHz/16bit ノコギリ波/1kHz
3304VCO ノコギリ波/1kHz
CEM3340 Rev.GとAS3340
CEM3340 Rev.Gと差し替えてみましたがAS3340との差は特に無いようです。
AS3340
CEM3340
出力信号の周波数は、AS3340で440Hzに設定してそのままCEM3340に差し替えると180Hzでした。同じ440Hz出力になるようにCVおよびFINEで調整しました。
メモ:
- FINEつまみが-0.5oct~+0.5octという仕様、-1oct~+1octに変更する?
- Pulse Widthつまみの設定が0~5Vになっているが、0~4.2Vに修正する。
- ACカップリングではなくバイアスをかけてDC成分を除去する?
0 件のコメント:
コメントを投稿