2018年5月25日金曜日

ダイオード・リミッターの実験 シリコン、ショットキー、ツェナーの比較

ダイオードは半導体の中でも最もプリミティブで、電流を一方向にしか流れなくするデバイスです。

でも、その原理を考え出すと夜も眠れなくなります(^q^;

シリコンは順方向で0.6Vぐらいの電圧降下、ショットキーはシリコンより電圧降下が少なくてスイッチング速い、ツェナーは逆方向で使って品種によっていろいろな電圧を作り出せる。というぐらいの認識でいます。

「回路の素101」にダイオードを使ったリミッターがいくつか紹介されているので、LTSpiceでシミュレーションしつつ実験してみました。


シリコン・ダイオード


シリコン・ダイオードの整流作用と電圧降下を利用して、正負の振幅を制限する回路です。

シミュレーション回路図

負側はGND、正側はVREF(+1V)のレールで振幅を制限します。入力は5Vp-pのサイン波で、シリコン・ダイオードの順方向の電圧降下によって、負側は-0.6V、正側は1.6V程度で振幅が制限されます。

ダイオードは小信号ダイオードの1N4148を使いました。

過渡解析

ブレッドボード配線図


+1VのVREFは100Ωのトリマで分圧して作りました。実測値VREF=1.028V。

オシロで測定

ch1:IN ch2:OUT

1kHz/5Vp-pのサイン波(-2.5V~+2.5V)を入れて、シリコン・ダイオードのリミッターで+1.68V~-0.68Vで振幅が制限されています。

ショットキー・ダイオード


シリコン・ダイオードと同じ回路ですが、より0V~1Vに近い振幅で制限されます。実験は1S4を使いました。1S4はLTSpiceにモデルがないのでシミュレーションはショットキーの1N5817で代用しました。

シミュレーション回路図

過渡解析

シリコン・ダイオードよりGND~+1Vに近い振幅で制限されています。

ブレッドボード配線図


+1VのVREFは100Ωのトリマで分圧して作りました。実測値VREF=1.016V。

オシロで測定

ch1:IN ch2:OUT

1kHz/5Vp-pのサイン波(-2.5V~+2.5V)を入力して、ショットキー・バリア・ダイオードのリミッターで+1.28V~-0.24Vで振幅が制限されています。

入力信号は±2.5Vp-pなのでの1.7Vrmsとして 1.7Vrms / 1kΩ = 1.7mA 流して0.25V~0.3Vの電圧降下といったところでしょうか。

ツェナー


ツェナーダイオード1本で正負両方の振幅を制限する回路です。正側はツェナー降伏(とかなんとか)、負側はダイオードの順方向の電圧降下によるものです。

モデルは(たぶん)トラ技の付録についてたSpiceモデルのEDZV3Bで、BvとVpkの値を1.8に変更して使いました。

シミュレーション回路図

過渡解析

-0.78V~+1.79V程度で振幅が制限されています。

ブレッドボード配線図


オシロで測定

ch1:IN ch2:OUT

1.8Vが定格のツェナーを使いました。型番は不明。

出力は-0.76V~+1.48Vの振幅です。1.8Vのツェナーと言っても流す電流によって電圧は変わります。PANJITのGDZJシリーズのデーターシートを見ると5mA流した時の電圧を定格としているようです。

ツェナー2個


ツェナーダイオード2本で正負両方の振幅を制限する回路です。

シミュレーション回路図

過渡解析

シミュレーションではリミッターが効いてません(@@?

ブレッドボード配線図


オシロで測定

ch1:IN ch2:OUT

実験すると-2.0V~+2.0Vの振幅で制限されています。

メモ:

ダイオードのリミッターと言ってもいろいろと効き方が違うもんだな~と思いました。ツェナーは効き方が丸くなっていて音楽信号を通すと面白いかも?

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