最初にやみくもに実験したのは2014年4月21日なので、4年越しです(^q^;
参考にしたのは
「gaje.jp」さんの「Analog2.0」
「達人と作るアナログシンセサイザー自作入門」(Analog2.0の解説書)
「Tim Stinchcombe」さんの「Analysis of the Moog Transistor Ladder and Derivative Filters」
「Scott Bernardi」さんの「Moog Ladder Filter(og3)」です。
トランジスタではなくダイオードを使ったダイオード・ラダーもありますが、Analog2.0で使われているトランジスタ・ラダー回路をもとに実験してみたいと思います。
いずれにせよ、ディスクリート回路で規模が大きいので一歩一歩やっていきたいと思います。
動作原理
「Analysis of the Moog Transistor Ladder and Derivative Filters」に載っている回路をシミュレーションしました。
Voltage Control(電圧制御)の4次LPFとして使うつもりでいますが、基本部分はCurrent Control(電流制御)の4次LPFです。
カットオフ周波数をコントロール
シミュレーション回路図
実際の回路では各部の電圧は抵抗による分圧で作りますが、シミュレーションでは直流電圧源に置き換えています。出力はQ1とQ2のエミッタ電位の差分なので差動増幅回路を使いますが、spiceのeコンポーネント(Voltage dependent voltage source)のE1で置き換えています。
出力をC1とR1でACカップリングしてQ11、Q12の差動入力ペアのQ12のベース側にフィードバックしていて、このフィードバック量によってQ値が変化します。電流源I1の値(Ictrl)によるカットオフ周波数の変化を見るために、E1の増幅率は3に固定しています。←Q値は一定になります。
ラダー・フィルターのカットオフ周波数は電流源I1の電流値Ictrlで決まるので、Ictrlを10uA~500uAにしてパラメーター解析しました。
AC解析
カットオフ周波数(-3dBのポイントorピーク)は、Ictrlが10u(緑色の線)が60Hz付近~500uA(グレーの線)が10kHz付近で変化しています。フィードバック量は同じですが、カットオフ周波数が高いほどQ値が上がっています。これは帰還に入れているACカップリング用のC1の影響です。
「Analysis of the Moog Transistor Ladder and Derivative Filters」の回路図のようにACカップリングの影響を少なくするためにCq=1Fとして(実際にはほぼあり得ない値ですが(^q^;)シミュレーションすると下図のようになります。
<追記:2018.06.03>
Cqの値を「1ファラド」にするつもりで、「1F」と書いてシミュレーションしましたが、Spiceでは1Fは「1フェムト」と解釈されるようです。Cqの値に単位をつけず「1」にしてAC解析すると下図のようになりました。
「1フェムト」だと低周波数だとほぼ絶縁でフィードバックがかかっていないことになります。
Spiceでは「1メガ」のつもりで「1M」と書くと「1ミリ」と解釈されるので「1Meg」と書かなければならないのは有名ですが、ファラド/フェムトは盲点でした。
</追記>
過渡解析 (Cq=0.1uF)
100Hz/1Vp-pのノコギリ波を入力しています。入力信号V(in)はV7によって+2VのバイアスがかかってQ11のベースに入力されています。
出力V(out)はカットオフ周波数の変化によって振幅が減衰しています。Ictrl=10uAのとき(緑色の線)はカットオフ周波数fc=60Hz付近のため、出力振幅はほとんどありません。Ictrl=500uAのとき(グレーの線)はfc=10kHz付近なので振幅が大きくなります。
Q値(レゾナンス)をコントロール
シミュレーション回路図
同じ回路でE1の増幅率Aq(フィードバック量)を変化させてQ値の変化をシミュレーションしました。Aq=3~Aq=6。
シンセのフィルタではQ値をレゾナンスと表記されている場合が多いようです。最初はよくわからなかったし、今でもインダクタのQ値との違いはよく分かっていません(^q^;
AC解析
カットオフ周波数付近でQ値が変化しています。Aq=4(青色の線)でピークが一番鋭くなっていて、それ以上(赤、シアンの線)ではかえってピークが小さくなっています。位相をみると赤色の線で位相が反転しています。
おそらくこのあたりであやしい波形が出てくると思います。
過渡解析
AC解析ではピークが変化しましたが、過渡解析でははっきりとわかりません。増幅率Aqを変えているので出力の振幅が変わっているだけのようにも見えます(@@?
メモ:
「Analysis of the Moog Transistor Ladder and Derivative Filters」もちゃんと読んでいないし(伝達関数やボルツマン定数が出てくると途端に読む気がなくなる…)、細かいところはよくわかりません。しかし、よくもまあ、こんな複雑な回路を考案した上に安定して動作させているとは驚愕です。
上手くいくかどうかわかりませんが、習うより慣れろで引き続き実験したいと思います。
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