カットオフ周波数1kHzでバターワース特性、ベッセル特性、チェビシェフ特性(0.5dB)の特性で実装し、Analog Discovery 2を使って周波数特性と過渡応答を計測しました。
電源はAnalog Discovery 2のSupplyより±5Vを出力して利用しました。
周波数特性
WaveFormsのNetwork機能を使用しました。
バターワース特性
ベッセル特性
チェビシェフ特性(0.5dB)
カットオフ周波数1kHzの1オクターブ上の2kHzの利得を比較すると
- バターワース特性 約-50dB
- ベッセル特性 約-13dB
- チェビシェフ特性 約-50dB
となりました。
シミュレーションと比較するとバターワース特性とベッセル特性はほぼ合致しますが、チェビシェフ特性(0.5dB)は減衰量が少なくなっています。(シミュレーションでは-70dB)
実際の計測では1Vppの正弦波を入力して出力の振幅を観測します。-50dBは1/600なので1.67mVppの振幅となりこれより減衰した場合は計測出来ない結果です。
位相の回り方をカットオフ周波数1kHzで比較すると
- バターワース特性 約360°(180°+180°)
- ベッセル特性 約180°
- チェビシェフ特性 約440°(180°+180°+90°)
となっていて、シミュレーションとほぼ合致しています。
ステップ応答
WaveFormsのWavegenとScope機能を使用しました。入力は50Hz/1Vppの矩形波です。
バターワース特性
ベッセル特性
チェビシェフ特性(0.5dB)
ベッセル特性はほとんど振動がなく、立ち上がり・立ち下がりも最も速くなっていてシミュレーションと合致しています。
ノコギリ波の応答
WaveFormsのWavegenとScope機能を使用しました。入力は50Hz/1Vppのノコギリ波です。
バターワース特性
ベッセル特性
チェビシェフ特性(0.5dB)
ノコギリ波の応答もベッセル特性が最もきれいでノコギリ波の原形を保っています。
過渡特性の振動は楽器としての音作りには面白いかも知れませんが、再現性が要求されるオーディオ用途ではベッセル特性を利用するのが良さそうです。過渡特性が良い代わりにキレが悪い点は留意する必要があります。
カットオフ周波数1kHzでのステップ応答
カットオフ周波数の1kHz/1Vppの矩形波を入力して応答をみてみました。
バターワース特性
ベッセル特性
チェビシェフ特性(0.5dB)
どれも高調波歪が取れて正弦波が出力されています。チェビシェフ特性はカットオフ周波数付近にピークがあるため、出力振幅が大きくなっています。
カットオフ周波数の波形なので、位相はバターワース特性は360°回り同相、ベッセル特性は180°回り逆相となっています。
まとめ
8次という比較的高次のアクティブフィルタで性能が出せるか心配でしたが、まずまず満足できる結果です。
Rは金属皮膜の誤差1%品ですが、Cはフィルムコンデンサで材質はマチマチ、ほとんどが誤差10%品です。個体の選別も行っていませんがそれらしい特性の回路を組むことが出来ました。
この程度の規模の回路になると、ユニバーサル基板を使って手組みすると丸一日仕事となり検査も大変です。ミスが有った場合は原因特定や修正などさらに手間がかかります。
プリント基板を使った結果、部品の準備(値の確認、フォーミング、仮配置)で1時間程度、はんだ付けで1時間程度で組むことが出来ました。検査も電源系の導通、絶縁、容量をかんたんに確認したあと測定に移ることができました。
アナログ回路にデジタル回路を接続する場合、LPFはほぼ必須だと思います。基板を用意しておけば、所望の特性のフィルターがすぐに作れるので便利だと思います。
機会があれば、正帰還(VCVS)版のプリント基板も製造してもらって実験してみたいと思います。
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