2021年2月19日金曜日

STM32CubeIDE: I2S DACのTDA1543を使う - OPアンプでI-V変換

TDA1543のデータシートに載っているようにOPアンプを使ってI-V変換を行います。STM32のプログラムは抵抗によるI-V変換の場合と同じです。サイン波とノコギリ波を出力します。

回路図 (I-V変換)

この回路は反転出力になりますが、TDA1543の電流出力が吸い込み型のためI2Sのデータと同相の電圧出力になります。

出力電圧 VO = I * R1 で、抵抗によるI-V変換の場合と同じ振幅になるように R1=2.2kΩとしました。TDA1543の出力電流のフルスケールは2.30mA(typ.)なので、出力電圧VOは

VO = I * R1 = 2.3mA * 2.2kΩ = 5.06V

となります。

今回は生の出力波形を見たいので、LPFの特性は必要ないのですがC1を入れないと発振してしまうのでC1=100pFとしました。

この回路の高域でのカットオフ周波数fcは、

fc = 1 / (2 * π * C * R) = 1 / (2 * π * 100pF * 2.2kΩ) ≒ 724kHz

となります。

R2は出力電流にかけるバイアス電流を設定するためのもので(TDA1543の機能)、この回路の場合1.8kΩにすると出力波形の中心がGND付近になります。きっちりDC成分を除去するにはトリムを入れて微調整するかACカップリングすると良いと思います。

配線


電源電圧は±5Vにしています。TDA1543のVDDの絶対定格はMin=0V Max=+9Vなので要注意。

出力波形



C1:Lch C2:Rch

振幅Vpp=5V、平均値average≒23mVとなりました。抵抗によるI-V変換の場合波形の下側がややつぶれて歪んでいましたが、OPアンプを使うとつぶれは見られません。

スペクトラム


Lch(サイン波) 500kHzレンジ

サンプリング周波数の48kHzの倍数付近にピークが現れています。

Lch(サイン波) 100kHzレンジ

サンプリング周波数以下でも、ナイキスト周波数の24kHzを中心に折返しノイズが見られます。特性の良いLPFを通すとどうなるかいずれ実験してみたいと思います。

Rch(ノコギリ波) 50kHzレンジ

ノコギリ波は基本波の整数倍の高調波で構成されますが、高調波の間のエイリアスが周波数が高くなると徐々に増えていき、サンプリング周波数の48kHz付近で共鳴しているかのようにピークが消えています。数式で求めるとどうなるんでしょうね。 

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