2020年8月13日木曜日

オペアンプ・チェッカーでパチもんのNE5532、TL072の正体を探る

AliExpressで購入したNE5532とTL072がパチもんくさいので、Analog Discovery 2を使ったOPAMPチェッカーのOPACHK_AD2で特性を測定しました。

測定条件

  • 非反転増幅回路 2倍増幅(帰還抵抗:1kΩ、1kΩ)
  • 負荷抵抗: 2kΩ
  • 電源電圧 ±5V

AC特性(Network)

NE5532P(パチもん)

NE5532P(正規品)

NJM4558D

パチもんのNE5532Pは帯域を見るとNJM4558D相当のようです。

TL072CP(パチもん)

TL072CP(正規品)

LM358N

パチもんのTL072CPは高域の周波数特性の暴れ方を見るとLM358N相当のようです。

過渡特性(Wavegen+Scope)

10kHz/±1Vの矩形波を入力

NE5532P(パチもん)

NE5532P(正規品)

NJM4558D

パチもんのNE5532Pはスルーレートを見てもNJM4558D相当のようです。

TL072CP(パチもん)

TL072CP(正規品)

LM358N

パチもんのTL072CPはLM358のようにスイッチング歪(クロスオーバー歪)が出ています。出力段がB級プッシュプルのようです。

以上より、パチもんのNE5532Pは4558相当、パチもんのTL072CPはLM358相当の製品だと思われます。

その他のOPAMPの特性

比較対象として数種のOPAMPを同じ条件で測定しました。

AC特性(Network)

NJM4556AD

NJM4580DD

NJM072BD

NJU7032D

過渡特性(Wavegen+Scope)

NJM4556AD

NJM4580DD

NJM072BD

NJU7032D

CMOSタイプのNJU7032は正側が1.3V程度で、2倍の増幅になっていません。周波数特性のグラフでも10dBに届いていません。他の個体でも同様です。こういうものなのでしょうか。OPAMPとしてどうかなと思いますが。

NJU7032の出力電流【2020.08.14追記】

NJU7032のデータシートを見ると出力電流は1mAで頭打ちになるようです。意外と少ないんですね。

負荷抵抗を2kΩとしているので、±1V入力2倍増幅で十分振幅が増幅されなかったのはこの制限のためでした。2V出力時の出力電流IOは、

IO = 2[V] / 2[kΩ] = 1[mA]

となります。

入力波形をサイン波にして、負荷抵抗が2kΩと100kΩにした場合の出力波形を測定しました。

負荷抵抗 RL=2kΩ

負荷抵抗 RL=100kΩ

負荷抵抗を100kΩにするとクリップされることなくきれいなサイン波が出力されています。また、負側(OPAMPにとっては電流吸い込み)は負荷が重くなってもクリップしていません。

反転増幅回路にするとこんな波形になりました。

反転増幅回路 負荷抵抗 RL=2kΩ


4 件のコメント:

  1. 型名だけでなく、電気的特性を見てから使うか判断できますね^^

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    1. コメントありがとうございます。Analog Discoveryと組み合わせると過渡特性、周波数特性が簡単に測定できて便利です。高価なOPアンプも測定しやすいようにゼロ・プレッシャーソケットを使ったものを企画してみます。

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  2. Analog Discoveryがなくても、ユニバーサル基板で作れるといいと思います。

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    1. コメントありがとうございます。
      オシロとファンクションジェネレータがあれば過渡応答は観測できますが、
      周波数特性の測定は難しいんですよね。ファンクションジェネレータは自作をいろいろしていますのでご参照ください。
      https://dad8893.blogspot.com/search/label/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%8D%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC
      でも、オシロを買うより多少無理してでもAnalog Disocoveryを入手した方がいいと思いますよ。

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