OPAMP以外にもLadder Filterの電流制御部やVCAの電流制御増幅器として使われることが多く、アナログ・シンセでもとても重要な回路です。
シミュレーション回路図
入力はIN1、IN2の差動入力で50mVp-p、100mVp-p、200mVp-pのサイン波を入力してパラメータ解析しました。
Q3のあたりは定電流源で2mA程度流す設計になっています。Q1、Q2の増幅率は制限せずQ1、Q2のhFEとエミッタ電流によって増幅率が決まります。
入出力
出力を見ると、入力が100mVp-pで歪み始め、200mVp-pだとクリップしています。
Q1、Q2と入出力の対応を見ると、V(in1)(緑)に対しV(out1)(赤)、V(in2)(青)に対しV(out2)(シアン)で、それぞれ出力が反転しています。←基本的にはエミッタ接地増幅回路。
エミッタ電流
-Ie(Q3)(緑色の線)は定電流源のQ3のエミッタ電流(≒コレクタ電流)で1.7mA程度になっています。
-Ie(Q1)(青色の線)、-Ie(Q2)(赤色の線)はそれぞれQ1、Q2のエミッタ電流で中心は0.85mA程度で、-Ie(Q3)を分け合っています。振幅が大きくなると0mAと-I3(Q3)によって電流が制限されるようです。
Trの各端子の電位
V(Ve)はQ1とQ2のエミッタ電位で、GNDからVbe分低い-633mV程度になっています。←ベースがGNDに接地されているため。
Q1のコレクタ電位V(Vc1)、Q2のコレクタ電位V(Vc2)は3.2V程度です。Q1のコレクタ電流が0.85mAだとすると
Vc1 = Vcc - Ic * R3 = 5V - 0.85mA * 2.2kΩ = 3.13V
定電流源をcurrentコンポーネントにしてみる。
シミュレーション回路図
Q3まわりの定電流源をLTSpiceのcurrentコンポーネントI1に置き換えて、入力を50mVp-pに固定、I1の電流値を1mA、1.5mA、2mAにしてパラメータ解析しました。
入出力
エミッタ電流によって増幅率が変わることがわかります。←電流制御増幅器として使える。
入力を片チャンネルのみにする。
シミュレーション回路図
信号源の片側をGNDに接地してQ1片チャンネルのみの入力にしてみました。
入出力
出力は800mVp-p程度になっています。
また、出力波形を見ると正側と負側で振幅が異なっていて、若干歪んでいるように見えます。
両チャンネルに入力した場合の入出力
Q1、Q2両チャンネルに50mVp-pを入力した場合、出力は1.6Vp-p程度なので、Q1片側のみの入力の場合出力振幅は約半分になっています。
こちらは出力の正負の振幅は同じで、歪も無いようにみえます(@@?
出力を片チャンネルだけ使う。
シミュレーション回路図
「定本 トランジスタ回路の設計」によると、出力を片側だけ使う場合、Q2のコレクタ抵抗R4を取り除いてもOKとあるのでシミュレーションしました。
入出力
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