シミュレーション回路図
電流源のI1の電流がコピーされてR1に流れます。実際の回路では電流は測定しにくいので、R1を100Ω、1kΩ、10kΩにしてパラメーター解析しました。R1の値を変えても電流は変わらないので、R1の値によって電圧降下が変化します。
I1をDC解析の「Source to Sweep」としてR1の電圧降下(VCC-OUT)をDC解析しました。
DC解析
RL=1kΩのとき(青色の線)を見ると、おおよそ V(VCC,OUT) = 1k * I1 で比例しています。RL=10kΩのとき(赤色の線)では、おおよそV(VCC,OUT) = 10k * I1 です。
I = E / R なのでR1に流れる電流はI1と同じことになります。
ブレッドボード配線
電流源には自作の可変電流源を使いました。入力電圧に比例した電流が出力されます。出力電流(mA) = 入力電圧(V)となるように調整しています。
0V~2Vの電圧を入力すると0mA~2mAの電流源になります。
入力電圧は5V電源を10kΩのPOTで分圧して作っています。
入出力の測定(DC)
可変電流源への入力電圧とQ2のコレクタ電圧をテスタで測定してグラフ化しました。
負荷抵抗1kΩ、電源電圧5.052V
ほぼ比例していますが、少し傾きが大きくなっています。←入力電流より出力電流の方が大きくなっている。
負荷抵抗10kΩ、電源電圧5.052V
横軸の300mV、400mVあたりの縦軸を見るとこちらも傾きが少し大きくなっています。VCC付近になると出力がなだらかに頭打ちになるのはシミュレーションと同様です。
RLの値を変えてもほぼI1と同じ値の電流が流れていると言えます。
測定データ
RL=1kΩ(0.9994kΩ@DE-5000(DCR))
PWR(mV) 5052
IN(mV) | OUT(mV) | PWR-OUT(mV) |
---|---|---|
0 | 5055 | -3 |
200.2 | 4844 | 208 |
398.2 | 4632 | 420 |
603 | 4406 | 646 |
804 | 4185 | 867 |
997 | 3966 | 1086 |
1201 | 3732 | 1320 |
1400 | 3494 | 1558 |
1599 | 3241 | 1811 |
1797 | 3010 | 2042 |
2001 | 2751 | 2301 |
RL=10kΩ(9.980kΩ@DE-5000(DCR))
PWR(mV) 5052
IN(mV) | OUT(mV) | PWR-OUT(mV) |
---|---|---|
0 | 5022 | 30 |
49.5 | 4517 | 535 |
100 | 3982 | 1070 |
151.1 | 3392 | 1660 |
199.3 | 2950 | 2102 |
251.2 | 2410 | 2642 |
302.4 | 1723 | 3329 |
350.6 | 1278 | 3774 |
401.8 | 820 | 4232 |
450.6 | 336 | 4716 |
498.7 | 119.5 | 4932.5 |
551.1 | 85.9 | 4966.1 |
600 | 72.2 | 4979.8 |
RL=10kΩの時、IN=400mV(可変電流源によって0.4mAに変換される)以上になると出力電圧の測定値がふらついてなかなか定まらないようなので、この間買ったロギング機能付きテスタのOWON B35を使って変動を見てみました。(Sampling Interval: 0.5s)
IN=485.2mV
最大値 183.4 mV
最小値 162.2 mV
平均 169.9599646 mV
標準偏差 3.689718804 mV
IN=100.7mV
最大値 4009 mV
最小値 3994 mV
平均 3998.055014 mV
標準偏差 1.591573913 mV
標準偏差を見ると、IN=485.2mVの方が大きくなっています。発熱の影響なのかテスタの読み取り精度の影響なのか(@@?
入出力の測定(AC)
シミュレーション回路図
過渡解析
1mAp-pのサイン波を入力して、V(OUT)(Q2のコレクタ電位)を測定しています。V(OUT)はおおよそ4.0V~5.0Vの1Vp-pで、入力に対して反転しています。
ブレッドボードで実験
AD9833ファンクションジェネレータで1kHz/1Vp-pのサイン波を出力して入出力をオシロで測定しました。
ブレッドボード配線
ch1:可変電流源への入力電圧 ch2:OUT
オシロの表示値をみると、OUTは3.960V~5.040Vで入力に対して反転。歪も見られないようです。
Q1、Q2のベース電流をTrで駆動
EDN Japanの「電流信号をコピーする! カレントミラー回路をマスターしよう (1/3) 」にTrを1つ追加してベース電流を供給する回路が紹介されています。
シミュレーション回路図
DC解析
過渡解析
シミュレーションだとTr 2個バージョンとほとんど差がないようです。
ブレッドボードで実験
前述の入出力の測定(AC)だけ行いました。
ブレッドボード配線
ch1:可変電流源への入力電圧 ch2:OUT
実験でもほとんど差がありません。
入力するサイン波の周波数を上げてみる
300kHzまで周波数を上げると波形に歪が出ました。
Tr 2個バージョン
ch1:可変電流源への入力電圧 ch2:OUT
Tr 3個バージョン
ch1:可変電流源への入力電圧 ch2:OUT
ただし、これは使っている可変電流源の歪です。
可変電流源の出力負荷を単に1kΩの抵抗にして、抵抗の両端の電圧を測定すると下のようになります。
ch1:可変電流源への入力電圧 ch2:負荷抵抗の両端の電圧
※可変電流源のOPAMPにはAD8532を使用
参考:「可変電流源 AD9833ファンクションジェネレータでOPAMPを評価」
実験に使ったTrの特性
Q1: 2SC1815Y B=164 Vf=706mV
Q2: 2SC1815Y B=157 Vf=706mV
Q3: 2SC1815Y B=169 Vf=708mV
※AVRトランジスタテスタで測定
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