コモンモード・チョークも片側だけ見ればただのコイルです。L1とC1で2次ローパスフィルタになります。
コモンモード・チョークとコンデンサの仕様を見てLTSpiceでシミュレーションしてみました。
コモンモード・チョーク: SCHAFFNER EV20-1.0-02-3M9
デカップリング・コンデンサ: ルビコン・アルミ電解 LZH 100uF
シミュレーション回路図
L1はコモンモード・チョークの片側、C1はデカップリングコンデンサです。
Rslはコモンモード・チョークの内部抵抗(168mΩ)、Rclはデカップリング・コンデンサの内部抵抗(94mΩ)です。
R1はダンピング抵抗としてシミュレーションのために入れました。L1とC1の2次LPFのQをコントロールします。
RLは負荷抵抗で、RLの値によって出力電流が変化します。電源電圧が15Vなので、RLが10Ωだと1.5A、100Ωだと150mAの出力になります。
AC解析
ダンピング抵抗4.7Ω
青色の線が出力電圧です。
ダンピング抵抗R1が4.7ΩのときのAC解析です。カットオフ周波数fcはL1とC1の値から計算すると
fc = 1 / ( 2 * π * √(L1 * C1)) ≒ 255Hzで、AC解析のグラフの肩のあたりと合致します。
ダンピング抵抗を入れないものとしてR1=0.1としてシミュレーションすると
ダンピング抵抗なし(0.1Ω)
Qがあがってカットオフ周波数でピークが発生します。
過渡解析
入力を+15Vで500kHz/1Vの矩形波のノイズを加えて過渡解析しました。
ダンピング抵抗ありR1=4.7Ω
ダンピング抵抗なしR1=0.1Ω
当たり前の話ですが、ダンピング抵抗(4.7Ω)を入れると出力が低下します。
低抵抗の世界は高周波の世界と並んで闇が深いと思いました。
無駄なことをしてしまいましたが、寄り道するのも楽しい。
<追記:2019.02.16>
ダンピング抵抗を入れるか入れないかを比較しやすいようにLTSpiceの過渡解析のグラフの縮尺を同じにしてシミュレーションしました。
ダンピング抵抗ありR1=4.7Ω
ダンピング抵抗なしR1=0.1Ω
比較すると、ダンピング抵抗を入れた場合(R1=4.7Ω)は振動が抑えられますが出力電流(赤色の線)が大きくなると出力電圧(青色の線)が低下します。
ダンピング抵抗を入れない場合(R1=0.1Ω)は、出力電流が小さい場合は初期の振動が大きく出ますが、出力電流が大きくなっても出力電圧はほとんど下がりません。
定常状態になるまでの時間がかかりますが、やはり電源ラインには無駄に抵抗を入れないほうが良いと思います。
</追記>
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