2019年5月21日火曜日

Analog VCOの構想

DASS01に組み込むAnalog VCOを作りたいと思います。例によって一番簡単そうな回路を使います。OPAMPを使ったヒステリシス付きコンパレーターと積分器の組み合わせで、入力電圧(CV)に比例した周波数の矩形波と三角波を出力するものです。

参考
新日本無線の「オペアンプの応用回路例集」の「電圧制御発振器(VCO)」
トランジスタ技術2015年8月号 特集・第4章「ラックマウント型モジュラ・アナログ・シンセサイザ」のVCO
「Melodic Testbench」さんの「VCO Theory



シミューレーション回路図

U1周りが積分器、U2周りがヒステリシス付きコンパレーターです。U2まわりはコンパレーターなので、出力はHまたはLになり、Q1をスイッチングします。Q1のOn/OffでU1周りの積分器の充放電をコントロールします。

過渡解析

CVを1V~5Vで1V刻みでパラメータ解析しました。出力周波数は100Hz~245Hz程度になっています。

三角波出力(TRI_OUT)は5.1V~6.3V程度の振幅ですが、矩形波出力は電源レールいっぱいの振幅なので、音源として使う場合はDC成分の除去やレベル合わせが必要になりそうです。

このVCOの動作の詳細や数学的な検証は「Melodic Testbench」さんの「VCO Theory」で詳しく述べられています。数式が出てきますが、キルヒホッフの法則と「Q=It」「Q=CV」あたりがわかれば大丈夫です。

ヒステリシス付きコンパレーターと積分器をそれぞれ単体でシミューレーションしました。

ヒステリシス付きコンパレーター


シミューレーション回路図

過渡解析

入力は積分器から出力される三角波です。

ヒステリシス付きコンパレーター(反転回路)なので、入力の三角波(V(in))がH→LのときとL→Hのときで閾値が異なっていて、矩形波が出力されます(V(sqr))。入力と出力では位相が反転しています。

積分器(Q1 off時)


シミューレーション回路図

Q1がOffのときVCOの回路図のR4より下は無視できます。Q1がOffのときC1は放電され出力電圧は低下します。

過渡解析

放電は直線的に行われます。

積分器(Q1 on時)


シミューレーション回路図

Q1がOnのときVCOの回路図のR4はGNDに接地しているのと同等です。Q1がOnのときC1は充電され出力電圧は上昇します。

過渡解析

充電も直線的に行われます。

Q1のベースに矩形波が入力されるのでOn/Offが繰り返され、出力は三角波となります。

メモ:


理屈ではそうだろうと思いますが、連結すると発振器としてちゃんと動作するところがすごいですね。

過渡解析の「.tran」コマンドに「startup」オプションをつけていますが、つけなくても発振をシミューレートできるようです。


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