単純なプッシュプル
回路図
AD9833ファンクションジェネレータのAmp出力に合わせて、信号源を単電源波形の1kHz/2Vp-pのサイン波にした。
入出力のシミュレーション
ブレッドボード配線図
負荷抵抗RLを100Ω、47Ω、10Ωにして入出力波形を見てみた。電源電圧+8.99V。
RL:100Ω
ch1:入力 ch2:出力
RL:47Ω
ch1:入力 ch2:出力
RL:10Ω
ch1:入力 ch2:出力
RLが100Ωの時出力は554mVp-p、47Ωの時520mVp-p。シミュレーションでは700mVp-p程度なので少し小さい。RLが10Ωの時はシミュレーションも実験結果も振幅がかなり小さくなって波形が歪んでいる。
単純なプッシュプル回路は、2Vp-p程度の信号だとトランジスタの不感帯が大きく、振幅も小さくなってしまうので、なかなか使いどころが難しそうだ。
ダイオード1個でオフセットをかけたプッシュプル
回路図
入出力のシミュレーション
ブレッドボード配線図
これも負荷抵抗RLを100Ω、47Ω、10Ωにして入出力波形を見てみた。電源電圧+8.98V。
RL:100Ω
ch1:入力 ch2:出力
RL:47Ω
ch1:入力 ch2:出力
RL:10Ω
ch1:入力 ch2:出力
RLが100Ωの時出力は1.68Vp-p、47Ωの時1.52Vp-p。シミュレーションでも1.6Vp-p程度なのでほぼ合致している。
RL:10Ω、RL:47Ωのときはハッキリスイッチング歪が出ていて、100Ωのときも0Vあたりが少しガタっとしている。
RL:47Ω(拡大)
エミッタ電位
RL:47ΩとしたときのQ1とQ2のエミッタの電位。動作点は4.483Vとなっていて電源電圧(8.98V)のほぼ半分になっている。
ダイオード2個でオフセットをかけたプッシュプル
回路図
入出力のシミュレーション
ブレッドボード配線図
負荷抵抗RLを200Ω、100Ω、47Ωにして入出力波形を見てみた。電源電圧+8.98V。
RL:200Ω
ch1:入力 ch2:出力
RL:100Ω
ch1:入力 ch2:出力
RL:47Ω
ch1:入力 ch2:出力
出力振幅はほぼシミュレーション通りになっている。(無負荷のときも計測すれば出力インピーダンスがわかるが、測り忘れてました)
スイッチング歪は出ていないように見える。
RL:100Ω(拡大)
エミッタ電位(RL:100Ω)
ch1:Q2のエミッタ電位 ch2:Q1のエミッタ電位
Q1のエミッタ電位は4.925V、Q2のエミッタ電位は4.038Vで、電位差は約900mV。これがR3とR4にかかる電圧となっている。
出力点の電位(RL:100Ω)
出力のACカップリングの手前の電位で、4.475V。電源電圧(8.98V)の約半分で、Q1のエミッタ電位とQ2のエミッタ電位の中点あたりになっている。
周波数特性
ダイオード1個でオフセット
ダイオード2個でオフセット
高周波数側はどちらも4MHzまでは減衰しないようだ。
測定値
ダイオード1個でオフセットをかけたプッシュプル
f(kHz) | in(mVp-p) | out(mVp-p) | Av | Av(dB) |
---|---|---|---|---|
100 | 544 | 500 | 0.919117647 | -0.732577907 |
200 | 544 | 496 | 0.911764706 | -0.802344464 |
300 | 536 | 496 | 0.925373134 | -0.673662264 |
400 | 536 | 492 | 0.917910448 | -0.743993739 |
500 | 528 | 488 | 0.924242424 | -0.684282011 |
600 | 528 | 488 | 0.924242424 | -0.684282011 |
700 | 520 | 488 | 0.938461538 | -0.551670433 |
800 | 512 | 472 | 0.921875 | -0.706559247 |
900 | 512 | 464 | 0.90625 | -0.855039608 |
1000 | 504 | 464 | 0.920634921 | -0.718251118 |
2000 | 432 | 400 | 0.925925926 | -0.66847511 |
3000 | 360 | 336 | 0.933333333 | -0.599264468 |
4000 | 312 | 288 | 0.923076923 | -0.695242125 |
ダイオード2個でオフセットをかけたプッシュプル
f(kHz) | in(mVp-p) | out(mVp-p) | Av | Av(dB) |
---|---|---|---|---|
100 | 568 | 516 | 0.908450704 | -0.833972682 |
200 | 560 | 508 | 0.907142857 | -0.846486294 |
300 | 560 | 504 | 0.9 | -0.915149811 |
400 | 560 | 508 | 0.907142857 | -0.846486294 |
500 | 560 | 504 | 0.9 | -0.915149811 |
600 | 552 | 496 | 0.898550725 | -0.929148025 |
700 | 544 | 496 | 0.911764706 | -0.802344464 |
800 | 528 | 484 | 0.916666667 | -0.755771218 |
900 | 528 | 480 | 0.909090909 | -0.827853703 |
1000 | 520 | 472 | 0.907692308 | -0.8412269 |
2000 | 440 | 400 | 0.909090909 | -0.827853703 |
3000 | 360 | 332 | 0.922222222 | -0.703288341 |
4000 | 312 | 288 | 0.923076923 | -0.695242125 |
歪率
PCM5102Aファンクションジェネレータで1kHz/1Vp-pのサイン波を出力し、WaveSpectraでFFTしてみた。
負荷抵抗RL:1kΩ
WaveSpectraのFFTの設定は、サンプルデータ数:32768、窓関数:FlatTop
オーディオ・インターフェイスの入力モードはGuitarモード(1MΩ)
入力
ダイオード1個でオフセット
THDの表示値はあやしいの無視して、入力と比較すると2次、3次の高調波歪は少なくなっているが、10kHzより上で細かな歪が出ている。スイッチング歪によるものでしょうか?
また、60Hzとその倍数にもピークが現れている。60Hzなので商用電源によるものだと思うが、他の計測には出ていない(@@?
ダイオード2個でオフセット
入力と比較すると2次高調波歪が大きくなっているが、その他はほとんど劣化が見られない。ダイオード1個の時の高域の歪がスイッチング歪によるものだとすると、ダイオード2個だとそれがないということになると思う。
42kHzは前も同じところにピークが出ていたことがあったが、これはよくわからない。
実験に使ったTrの特性
実験に使った2SC1815と2SA1015の特性をAVRトランジスタテスターで測ってみた。
- | 2SC1815 β | 2SC1815 Vf(mV) | 2SA1015 β | 2SA1015 Vf(mV) |
---|---|---|---|---|
単純なプッシュプル | 167 | 698 | 296 | 656 |
ダイオード1個でオフセット | 309 | 679 | 291 | 656 |
ダイオード2個でオフセット | 162 | 702 | 158 | 652 |
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