2017年11月7日火曜日

Tr回路の実験 プッシュプル その2

実験編です。

単純なプッシュプル


回路図

AD9833ファンクションジェネレータのAmp出力に合わせて、信号源を単電源波形の1kHz/2Vp-pのサイン波にした。

入出力のシミュレーション

ブレッドボード配線図


負荷抵抗RLを100Ω、47Ω、10Ωにして入出力波形を見てみた。電源電圧+8.99V。

RL:100Ω

ch1:入力 ch2:出力

RL:47Ω

ch1:入力 ch2:出力

RL:10Ω

ch1:入力 ch2:出力

RLが100Ωの時出力は554mVp-p、47Ωの時520mVp-p。シミュレーションでは700mVp-p程度なので少し小さい。RLが10Ωの時はシミュレーションも実験結果も振幅がかなり小さくなって波形が歪んでいる。

単純なプッシュプル回路は、2Vp-p程度の信号だとトランジスタの不感帯が大きく、振幅も小さくなってしまうので、なかなか使いどころが難しそうだ。

ダイオード1個でオフセットをかけたプッシュプル


回路図

入出力のシミュレーション

ブレッドボード配線図


これも負荷抵抗RLを100Ω、47Ω、10Ωにして入出力波形を見てみた。電源電圧+8.98V。

RL:100Ω

ch1:入力 ch2:出力

RL:47Ω

ch1:入力 ch2:出力

RL:10Ω

ch1:入力 ch2:出力

RLが100Ωの時出力は1.68Vp-p、47Ωの時1.52Vp-p。シミュレーションでも1.6Vp-p程度なのでほぼ合致している。

RL:10Ω、RL:47Ωのときはハッキリスイッチング歪が出ていて、100Ωのときも0Vあたりが少しガタっとしている。

RL:47Ω(拡大)

エミッタ電位

RL:47ΩとしたときのQ1とQ2のエミッタの電位。動作点は4.483Vとなっていて電源電圧(8.98V)のほぼ半分になっている。

ダイオード2個でオフセットをかけたプッシュプル


回路図

入出力のシミュレーション

ブレッドボード配線図


負荷抵抗RLを200Ω、100Ω、47Ωにして入出力波形を見てみた。電源電圧+8.98V。

RL:200Ω

ch1:入力 ch2:出力

RL:100Ω

ch1:入力 ch2:出力

RL:47Ω

ch1:入力 ch2:出力

出力振幅はほぼシミュレーション通りになっている。(無負荷のときも計測すれば出力インピーダンスがわかるが、測り忘れてました)

スイッチング歪は出ていないように見える。

RL:100Ω(拡大)

エミッタ電位(RL:100Ω)

ch1:Q2のエミッタ電位 ch2:Q1のエミッタ電位

Q1のエミッタ電位は4.925V、Q2のエミッタ電位は4.038Vで、電位差は約900mV。これがR3とR4にかかる電圧となっている。

出力点の電位(RL:100Ω)

出力のACカップリングの手前の電位で、4.475V。電源電圧(8.98V)の約半分で、Q1のエミッタ電位とQ2のエミッタ電位の中点あたりになっている。

周波数特性


ダイオード1個でオフセット

ダイオード2個でオフセット

高周波数側はどちらも4MHzまでは減衰しないようだ。

測定値
ダイオード1個でオフセットをかけたプッシュプル
f(kHz) in(mVp-p) out(mVp-p) Av Av(dB)
100 544 500 0.919117647 -0.732577907
200 544 496 0.911764706 -0.802344464
300 536 496 0.925373134 -0.673662264
400 536 492 0.917910448 -0.743993739
500 528 488 0.924242424 -0.684282011
600 528 488 0.924242424 -0.684282011
700 520 488 0.938461538 -0.551670433
800 512 472 0.921875 -0.706559247
900 512 464 0.90625 -0.855039608
1000 504 464 0.920634921 -0.718251118
2000 432 400 0.925925926 -0.66847511
3000 360 336 0.933333333 -0.599264468
4000 312 288 0.923076923 -0.695242125

ダイオード2個でオフセットをかけたプッシュプル
f(kHz) in(mVp-p) out(mVp-p) Av Av(dB)
100 568 516 0.908450704 -0.833972682
200 560 508 0.907142857 -0.846486294
300 560 504 0.9 -0.915149811
400 560 508 0.907142857 -0.846486294
500 560 504 0.9 -0.915149811
600 552 496 0.898550725 -0.929148025
700 544 496 0.911764706 -0.802344464
800 528 484 0.916666667 -0.755771218
900 528 480 0.909090909 -0.827853703
1000 520 472 0.907692308 -0.8412269
2000 440 400 0.909090909 -0.827853703
3000 360 332 0.922222222 -0.703288341
4000 312 288 0.923076923 -0.695242125

歪率


PCM5102Aファンクションジェネレータで1kHz/1Vp-pのサイン波を出力し、WaveSpectraでFFTしてみた。

負荷抵抗RL:1kΩ

WaveSpectraのFFTの設定は、サンプルデータ数:32768、窓関数:FlatTop

オーディオ・インターフェイスの入力モードはGuitarモード(1MΩ)

入力

ダイオード1個でオフセット

THDの表示値はあやしいの無視して、入力と比較すると2次、3次の高調波歪は少なくなっているが、10kHzより上で細かな歪が出ている。スイッチング歪によるものでしょうか?

また、60Hzとその倍数にもピークが現れている。60Hzなので商用電源によるものだと思うが、他の計測には出ていない(@@?

ダイオード2個でオフセット

入力と比較すると2次高調波歪が大きくなっているが、その他はほとんど劣化が見られない。ダイオード1個の時の高域の歪がスイッチング歪によるものだとすると、ダイオード2個だとそれがないということになると思う。

42kHzは前も同じところにピークが出ていたことがあったが、これはよくわからない。

実験に使ったTrの特性


実験に使った2SC1815と2SA1015の特性をAVRトランジスタテスターで測ってみた。

- 2SC1815 β 2SC1815 Vf(mV) 2SA1015 β 2SA1015 Vf(mV)
単純なプッシュプル 167 698 296 656
ダイオード1個でオフセット 309 679 291 656
ダイオード2個でオフセット 162 702 158 652

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