2017年10月11日水曜日

JFET入力のOPAMP比較 TL072 NJM072 NJM2082 OPA2134 MUSES8920

JFET入力のOPAMPの定番といえばTL072だとおもうが、セカンドソースのNJM072は特性が同じというわけではなく、性能を向上させているそうだ。

入力インピーダンスの高いOPAMPを使いたいとき選択に迷うので、手持ちのJFET入力のOPAMPの中でいくつか比較してみた。

DATASHEETの仕様比較

品種 動作電源電圧 消費電流 スルーレート 利得帯域幅積 入力換算雑音電圧 THD VIO IIO RIN
TL072CP ~±18V 1.4mA x 2 13V/us 3MHz 4uV / 18nV/√Hz 0.00300% 10mV 100pA 10TΩ
NJM072D ±4V~±18V 3mA 20V/us 5MHz(fT) 4uVrms - 10mV 50pA 10TΩ
NJM2082 ±4V~±18V 4mA 20V/us 5MHz 1.6uV / 13nV/√Hz - 2mV 200pA 10TΩ
OPA2134 ±2.5V~±18V 4mA x 2 20V/us 8MHz 1.2uV / 8nV/√Hz 0.00008% 0.5mV 5pA 100TΩ
MUSES8920 ±3.5V~±18V 9mA 25V/us 11MHz 1.1uVrms / 8nV/√Hz 0.00040% 0.8mV 2pA -
NJM4580 ±2V~±18V 6mA 5V/us 15MHz 0.8uVrms 0.00050% 0.3mV 5nA -


いつも使っているバイポーラのNJM4580も比較対象としてテストしてみた。

ステップ応答


回路図

増幅率は、1 + (R2 / R1) = 2で2倍増幅となる。R1=R2なら同じ2倍の増幅率となるが、実はここの抵抗値によってレスポンスが変わってくる。いずれ調べてみたいと思いますが、今回は保留。


LTSpiceのUniversal Opamp2を使って500kHzの矩形波を入力してシミュレーションすると、ちょうど2倍の増幅になっていてRise Timeは0.4us(400ns)程度になっている。


電源電圧は±5Vとした。

TL072

ch1:入力 ch2:出力

NJM072

ch1:入力 ch2:出力

TL072とNJM072を比べると波形は似ているが、多少違う。個体差もあるのかも知れない。Rise Timeは180ns程度で、LTSpiceのUniversal Opamp2と比べると2倍ぐらい速いレスポンスだと思う。

入力が2Vp-pで出力が4Vp-pぐらいなので、2倍の増幅率はキープ出来ている。

NJM2082

ch1:入力 ch2:出力

NJM2082は少し応答が遅いようだ。

OPA2134

ch1:入力 ch2:出力

OPA2134は優秀なOPAMPだが、ステップ応答は謎の振動が現れている。全体で見るとぐちゃぐちゃだが、波形の上昇時から最大値になるあたりはパキッとしている。

ヘッドホンアンプでOPA2134を使うと独特のきらびやかさが出るが、この特性が影響しているのかも知れない。

MUSES8920

ch1:入力 ch2:出力

NJRのオーディオ用のハイグレードOPAMP。OPA2134に比べるとクセがない波形だと思う。スルーレートも072系より高速だと思う。

NJM4580

ch1:入力 ch2:出力

比較用に計測してみたが、JFET入力のOPAMPと比べると立ち上がり/立ち下がりが遅く、500kHzの矩形波入力だと、ほとんどLPFを通したような波形。

まったりしているがクセがないとも言えるかも。

周波数特性


周波数を変えて周波数特性のグラフを作るのはさすがにめんどくさいので、AD9833ファンクションジェネレーターで2MHzのサイン波を出力して入出力の増幅率を見てみた。

2MHzはAD9833でギリギリサイン波っぽい波形が出力できる周波数。

シミュレーション

Universal Opamp2だとちゃんと増幅出来ているところは6dB(約2倍)で、2MHzだと5.4dB程度になる。

比較対象としてNJM4580を使って1kHzのサイン波を測定してみた。

NJM4580@1kHz

ch1:入力 ch2:出力

入力が568mV、出力が1,144mVなので、1,144mV / 568mV ≒ 2.01 でほぼ2倍の増幅になっている。

以下、2MHzでの測定。

TL072

ch1:入力 ch2:出力(以下同)

NJM072

NJM2082

OPA2134

MUSES8920

NJM4580

NJM4580は波形が歪んでいて、OPA2134とMUSES8920は位相差が少ない。

出力 / 入力で増幅率をグラフ化してみた。


6dBが本来の増幅率なので、上にずれている場合は高周波数(@2MHz)でピークがあり、下にずれている場合は帯域が狭いことになると思う。

バイポーラのNJM4580に比べるとJFET系はおおむね帯域が広そうな感じだ。

さすがに2MHzの音を聴ける人はいないと思うが、測定用途で使う場合は帯域が狭すぎたり特性にピークがあると何かと心配になる。


2MHz In(mV) Out(mV) Av Av(dB)
TL072 432 840 1.94 5.78
NJM072 432 968 2.24 7.01
NJM2082 424 848 2.00 6.02
OPA2134 448 1376 3.07 9.75
MUSES8920 432 1136 2.63 8.40
NJM4580 416 656 1.58 3.96

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