入力インピーダンスの高いOPAMPを使いたいとき選択に迷うので、手持ちのJFET入力のOPAMPの中でいくつか比較してみた。
DATASHEETの仕様比較
品種 | 動作電源電圧 | 消費電流 | スルーレート | 利得帯域幅積 | 入力換算雑音電圧 | THD | VIO | IIO | RIN |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
TL072CP | ~±18V | 1.4mA x 2 | 13V/us | 3MHz | 4uV / 18nV/√Hz | 0.00300% | 10mV | 100pA | 10TΩ |
NJM072D | ±4V~±18V | 3mA | 20V/us | 5MHz(fT) | 4uVrms | - | 10mV | 50pA | 10TΩ |
NJM2082 | ±4V~±18V | 4mA | 20V/us | 5MHz | 1.6uV / 13nV/√Hz | - | 2mV | 200pA | 10TΩ |
OPA2134 | ±2.5V~±18V | 4mA x 2 | 20V/us | 8MHz | 1.2uV / 8nV/√Hz | 0.00008% | 0.5mV | 5pA | 100TΩ |
MUSES8920 | ±3.5V~±18V | 9mA | 25V/us | 11MHz | 1.1uVrms / 8nV/√Hz | 0.00040% | 0.8mV | 2pA | - |
NJM4580 | ±2V~±18V | 6mA | 5V/us | 15MHz | 0.8uVrms | 0.00050% | 0.3mV | 5nA | - |
いつも使っているバイポーラのNJM4580も比較対象としてテストしてみた。
ステップ応答
回路図
増幅率は、1 + (R2 / R1) = 2で2倍増幅となる。R1=R2なら同じ2倍の増幅率となるが、実はここの抵抗値によってレスポンスが変わってくる。いずれ調べてみたいと思いますが、今回は保留。
LTSpiceのUniversal Opamp2を使って500kHzの矩形波を入力してシミュレーションすると、ちょうど2倍の増幅になっていてRise Timeは0.4us(400ns)程度になっている。
電源電圧は±5Vとした。
TL072
ch1:入力 ch2:出力
NJM072
ch1:入力 ch2:出力
TL072とNJM072を比べると波形は似ているが、多少違う。個体差もあるのかも知れない。Rise Timeは180ns程度で、LTSpiceのUniversal Opamp2と比べると2倍ぐらい速いレスポンスだと思う。
入力が2Vp-pで出力が4Vp-pぐらいなので、2倍の増幅率はキープ出来ている。
NJM2082
ch1:入力 ch2:出力
NJM2082は少し応答が遅いようだ。
OPA2134
ch1:入力 ch2:出力
OPA2134は優秀なOPAMPだが、ステップ応答は謎の振動が現れている。全体で見るとぐちゃぐちゃだが、波形の上昇時から最大値になるあたりはパキッとしている。
ヘッドホンアンプでOPA2134を使うと独特のきらびやかさが出るが、この特性が影響しているのかも知れない。
MUSES8920
ch1:入力 ch2:出力
NJRのオーディオ用のハイグレードOPAMP。OPA2134に比べるとクセがない波形だと思う。スルーレートも072系より高速だと思う。
NJM4580
ch1:入力 ch2:出力
比較用に計測してみたが、JFET入力のOPAMPと比べると立ち上がり/立ち下がりが遅く、500kHzの矩形波入力だと、ほとんどLPFを通したような波形。
まったりしているがクセがないとも言えるかも。
周波数特性
周波数を変えて周波数特性のグラフを作るのはさすがにめんどくさいので、AD9833ファンクションジェネレーターで2MHzのサイン波を出力して入出力の増幅率を見てみた。
2MHzはAD9833でギリギリサイン波っぽい波形が出力できる周波数。
シミュレーション
Universal Opamp2だとちゃんと増幅出来ているところは6dB(約2倍)で、2MHzだと5.4dB程度になる。
比較対象としてNJM4580を使って1kHzのサイン波を測定してみた。
NJM4580@1kHz
ch1:入力 ch2:出力
入力が568mV、出力が1,144mVなので、1,144mV / 568mV ≒ 2.01 でほぼ2倍の増幅になっている。
以下、2MHzでの測定。
TL072
ch1:入力 ch2:出力(以下同)
NJM072
NJM2082
OPA2134
MUSES8920
NJM4580
NJM4580は波形が歪んでいて、OPA2134とMUSES8920は位相差が少ない。
出力 / 入力で増幅率をグラフ化してみた。
6dBが本来の増幅率なので、上にずれている場合は高周波数(@2MHz)でピークがあり、下にずれている場合は帯域が狭いことになると思う。
バイポーラのNJM4580に比べるとJFET系はおおむね帯域が広そうな感じだ。
さすがに2MHzの音を聴ける人はいないと思うが、測定用途で使う場合は帯域が狭すぎたり特性にピークがあると何かと心配になる。
2MHz | In(mV) | Out(mV) | Av | Av(dB) |
---|---|---|---|---|
TL072 | 432 | 840 | 1.94 | 5.78 |
NJM072 | 432 | 968 | 2.24 | 7.01 |
NJM2082 | 424 | 848 | 2.00 | 6.02 |
OPA2134 | 448 | 1376 | 3.07 | 9.75 |
MUSES8920 | 432 | 1136 | 2.63 | 8.40 |
NJM4580 | 416 | 656 | 1.58 | 3.96 |
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