エミッタフォロワは電圧は増幅できないが、たくさん電流を流せるのでバッファ回路として使える。
LTSpiceでシミュレーション
回路図
信号源はAD9833の出力(0.6Vp-p)ではなく、4Vp-pに電圧増幅したものを想定している。
実験にはAD9833ファンクションジェネレーターのAmp部で増幅して信号源として使う予定。
AD9833ファンクションジェネレーターのAmp部の出力段はAD822のボルテージフォロワで組んでいて出力インピーダンスは十分低い。AD822自体の出力インピーダンスはDATASHEETによると1kHzで0.04Ωとなっている。(実測については後述)
ベースバイアスはR1とR2で分圧して4.5Vとした。
エミッタ電流Ieを10mA程度流すつもりでIe = (Ve / R3)なので
R3 = (4.5V - 0.6V) / 10mA = 390Ω
で、手持ちの200Ωの抵抗を2本直列にして使うことにして、400Ωとした。
負荷抵抗の影響を見るために、R4を100Ω~1kΩでパラメータ解析した。
出力電位
出力電位V(out)は負荷が軽いときはほぼ4Vp-pで出力できているが、負荷抵抗が400Ω以下のときは下側がクリップしている。
エミッタ電流
エミッタ電流Ie(Q1)を見ると、負荷が重いときは0mAで出力電流がクリップしている。ベース・エミッタ間はP→Nのダイオードなので逆向きに電流は流れない。この回路定数だと、負荷は500Ω程度までということになる。
負荷が軽いときはエミッタ電流は10mAを中心に流れている。
周波数特性
周波数特性は、高域は1THz(!)までシミュレーションしてみたが、一向に減衰しない。(もちろん実際の回路はそうはいかないですが)
逆に、低域は負荷抵抗によってかなり減衰する。ACカップリングしているC2(10uF)と負荷抵抗R4によってHPFを構成するためで、負荷が100Ωの場合カットオフ周波数は、
fc = 1 / (2 * π * 100Ω * 10uF) ≒ 150Hz
になってしまう。
というわけで、単純なエミッタフォロワ(かんたんなA級アンプ)でスピーカーやヘッドホンを歪みなく駆動するのはなかなか難しい話になってくる。
エミッタフォロワは発振しやすい
「定本 トランジスタ回路の設計」にエミッタフォロワは発振しやすいと書いてあったが、デカップリングコンデンサを入れておけばそうそう発振しないと思っていたが、ブレッドボードで組んだ回路だといとも簡単に発振してしまった。
ブレッドボード図
AD9833ファンクションジェネレータのAmp出力から1kHzのサイン波を出力した場合、発振しない。(負荷抵抗:1kΩ、電源電圧9.00V)
Amp出力 2Vp-p出力
ch1:入力 ch2:出力
※0Vに線が出てますが、キャプるタイミングミスだと思います。次回(?)測定し直します。
Bypass出力の場合、発振。(負荷抵抗:1kΩ、電源電圧9.00V)
Bypass出力 0.6Vp-p出力
ch1:入力 ch2:出力
拡大
ch1:入力 ch2:出力
また、AD9833ファンクションジェネレータの電源をOFFにしても発振してしまった。
Bypass出力 AD9833ファンクションジェネレータ電源OFF
ch1:入力 ch2:出力
これだけ発振しやすいと測定が難しいので、ブレッドボードではなくユニバーサル基板でエミッタフォロワの回路を組んで測定してみる予定です。
AD822の出力インピーダンス
AD9833ファンクションジェネレータのAmp部(AD822を使用)の出力インピーダンスを測定(する努力を)してみた。
1kHz、1Vp-pのサイン波を出力して負荷を変えて測定。
無負荷
負荷100Ω(実測値:100.13Ω)
負荷10Ω(実測値:9.93Ω)
出力負荷が10Ωになると波形の上側がクリップしてしまった。これは出力インピーダンスによる減衰ではなく、中の回路の影響でクリップしているんだと思う。
ともあれ、100Ωまでは電圧降下することなく十分ドライブ出来ている。
0 件のコメント:
コメントを投稿