エミッタ抵抗を定電流源にする
定電流源を使ったシミュレーション回路図
Q1のエミッタフォロワのエミッタ抵抗をQ2周りの定電流源で置き換えた回路で、エミッタ電流を定常時で前回の実験と同じく10mA程度流す設計にしている。
入力の振幅を変えて、エミッタ電流を決めるのに抵抗を使うか定電流源を使うかでどうなるかをシミュレーションしてみた。
抵抗を使ったシミュレーション回路図
エミッタ電流の設定に470ΩのRを使った場合の出力
エミッタ電流の設定にTrによる定電流源を使った場合の出力
エミッタ電流を決めるのに470ΩのRを使った場合はマイナス側が-2.5V程度でクリップしているのに対し、定電流源に置き換えた場合は-3.5V程度までクリップポイントが下がっている。
アイドル時にエミッタ電流をどれくらい流すかによってクリップポイントが変わってくるので、ホントに同じぐらいながれているかエミッタ電流も比較。
470ΩのRを使った場合エミッタ電流
定電流源を使った場合のエミッタ電流
定電流源を使った場合はクリップポイント付近になるとエミッタ電流は非線形になっているが、抵抗を使った場合も定電流源を使った場合もどちらも約8mAを中心に電流が流れている。←定常時(入力がGNDレベルの時)はエミッタ電流は約8mAで同じ。
定電流源として使っているQ2のバイアスポイントは9VのVCCをR3とR5で分圧して約2Vに設定している。
Q2のベース電位
出力がクリップしている場合はQ2のベース電位も下がってしまって、1.3V程度でクリップ。
エミッタフォロワ本体のQ1のバイアスは「定本 トランジスタ回路の設計」で15VのVCCの1/2(7.5V)より1V上の8.5Vに設定されていたので、習って中点より少し上の5Vに設定した。(抵抗の場合のバイアスポイントはちょうどVCCの1/2の4.5Vにしている)
Q1のベース電位
エミッタフォロワ本体のQ1のベース電位を5Vにしているので、Vbeの電圧降下分を差し引いてQ1のエミッタ電位が約4.4Vに落ち着いているかどうかもチェック。
Q1のエミッタ電位
Q1のエミッタ電位はVCCの1/2あたりに持ってこれた。
周波数特性
AC解析
エミッタ抵抗を定電流源にした場合も、ほとんど出力に入れているACカップリング用のC2によって周波数特性が決まっている。
電源電流
エミッタ電流を10mA程度に節約しても電源からその他に電流が流れてしまっては節約の意味がないので、電源電流も比較してみた。
470Ω抵抗
定電流源
定電流源にした場合、クリップした場合は突入電流が流れるかもしれないが定格内だと抵抗を使った場合より消費電流も少なくてすむように見える。
<追記:2017.10.21>
シミュレーション結果をよく見ると、エミッタ抵抗を使った場合の電源電流は8mA強、定電流源を使った場合は9mA程度なので消費電流が少なくてすむということはないようです。
同じぐらいエミッタ電流を流すと、定電流源を使ったほうが出力がクリップしにくくなるということだと思います。
</追記>
このあたりになると実験で確かめるにはかなり根気がいる話になってくるので、動作確認だけはしてみたいと思います。
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